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📚小説感想文「沈黙法廷」佐々木譲さん

こんばんは。

新しい職場の近くに素敵な図書館があり、とっても感動。
小説を読みたーい!ということで、こちらを選びました。
「沈黙法廷」by 佐々木譲さん

佐々木氏の著作は、警察官シリーズを何冊か読んだことがあります。北海道警察のお話とか(道警っていうんですよね。。)。ミステリーや警察・法律ものが結構好き。今回は、法廷もの?完全黙秘のお話なのかな?どんな事件かな?という感じで選んでみました。

あと、図書館で借りるから、買うのと比べると場所をとらないのでハードカバーをわざわざチョイス。単行本より贅沢な気がする。

【ストーリー】
老人男性が自宅で殺害され、お金を奪われていた。犯人は家事代行の山本美紀に絞って捜査され、罪状は強盗殺人で起訴された(裁判員裁判となる)。老人から金を巻き上げていると疑われ、他のお客とも不適切な関係を持っていることが判明し、マスコミが騒ぎ世間から注目を浴びる。このため彼女に去られたが彼女を忘れられないでいた恋人が事件を知り、本当に彼女が有罪なのか傍聴に訪れる。彼女は、有罪とされるのか??彼女が法廷で沈黙したのはなぜか??

【感想】
ストーリーに沿って、捜査手続きも公判手続きも、ものすごく具体的に書かれており、リアリティや臨場感があった。
裁判員裁判の事件は、公判前手続きがあるのですが、そのこともきちんと記載されているし、冒頭陳述、証拠調べ、最終弁論、判決など公判の様子も具体的記述が多かったです。
佐々木氏、取材しっかりしてるんだろうなあ。。
これ、法学部やロースクールの生徒の刑事訴訟法の勉強に役立つんじゃないかな?と思ったり。

最後のほう、検察官の論告求刑と弁護人の最終弁論が印象的だった。
同じ事実について光の当て方を変えて、真反対の結論に導くもので、検察官・弁護人いずれの光の当て方も納得がいくものだった。事実をどう評価するかで結論(意見)が異なってくるのがおもしろい。法律の世界に関わらず、事実をどのように評価して結論を導くかは大事だ。

ちなみに、民事と違って、刑事は、被告人の弱い立場を考慮して、検察官が常に挙証責任を負う。それゆえ、挙証責任が果たせなければ、検察官は負けて、疑わしきは罰せず(無罪推定)、に落ち着きます。

小説は気楽に読みつつも、考えさせられることもあり、おもしろい!
さてさて、次は何を読もうかな!



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