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墓場珈琲店。

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現代社会における『死』をテーマとした、フィクションの短編集です。抵抗のある方はご遠慮ください。
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#未練

墓場珈琲店6。

墓場珈琲店6。

「いらっしゃい」

マスターはそう言って、俺に微笑みかけた。
俺は彼の笑みを睨みつけ、
乱暴に近くの四人用席に座った。

無論、四人用とはいうものの、
俺は一人である。

メチャクチャに濃いコーヒーの臭いに、嫌気が差す。
ここには最近バイトが入ったと聞いているが、
俺に近づいてきたのはバイトではなく初老の店長の方だった。

「……お客さん、注文は?」

店長の眼鏡越しに、鋭い眼光が見え隠れしている

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