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墓場珈琲店。

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現代社会における『死』をテーマとした、フィクションの短編集です。抵抗のある方はご遠慮ください。
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2021年3月の記事一覧

墓場珈琲店13。

墓場珈琲店13。

ところどころ穴の開いた薄灰色の壁と、金属製の檻に囲まれた狭い部屋の中、オレは煙草をふかしていた。

息を吐くと、灰色の煙が視界に映った。
タバコの煙は部屋に溜まり、視界が遮られるが、目を瞑ったので気にならない。オレは首を曲げ、隣から聞こえる怒鳴り声に耳を傾けた。

「……だーかーらー、俺は無罪だって! 何回言やぁわかんだよ!」
「何かしらやらかしてる奴は、全員そう言うんだよ」

囚人が怒鳴り、看守

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墓場珈琲店14。

墓場珈琲店14。

私はパソコンを叩く手を止め、あくびをした。
休日の昼下がり、カーテンも明けずに私はパソコンとにらめっこしていた。

その液晶の上には稚拙な文章がたくさん並んでいた。
私が書いた文章は、我ながら吐き気がする。でも具体的にその吐き気をどうやってなくせばいいのか分からず、結局諦めてそのまま投稿しているのだ。

そう、私はネット小説投稿サイトに作品を投稿している、いわば「作家志望」の人間だ。
いつか自分の

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