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都市対抗野球へ、ようこそ!【大会総括前編/みんな守安・藤井が大好きだった】

守安重工守安・藤井
藤井重工藤井・藤井
守安重工守安・守安
守安乳業守安・藤井

この文字列を見て「作者は都市対抗の見過ぎで頭がおかしくなったのか…」と言われれば、ハイと答えるしかない。
ひとまず、よくわからない方はこちらの記事を一読して頂ければ幸いである。
補足すると「守安乳業守安・藤井」は、「本大会で完封した投手は某乳業メーカーよりビヒダスが15個贈呈される」ことを踏まえ、本大会でひたすら完封を繰り返す両投手にファンたちが与えた尊称である。

さて、第89回都市対抗野球大会における最大の衝撃は「三菱重工神戸・高砂に所属する、守安と藤井の両先発」になるだろう。1回戦・七十七銀行との試合における1回表以降、このチームは失点を喫していないのだ!
今まで守安頼みだったチームが、日本生命からの補強選手である藤井を加えることで、守安・藤井頼みになる。矢は1本よりも2本あったほうが折れにくい。何より、48年ぶりの決勝進出ということは、この起用法が正しいことを証明している。補足しておくが、両投手以外はまだ、今大会マウンドに上がっていない。

決勝で対戦するのは同じ近畿地区所属の大阪ガス。こちらは打線と走塁が好調なチームだ。特に期待の2年目・近本の活躍は目覚ましいものがあり、何と打率は驚異の5割超え。盗塁も4つ決めており、守安崩しのキーマンと言えよう。

仕事帰りに訪ねた東京ドームは、午後7時の段階で3回を終えていた。良いテンポだ。三菱重工神戸・高砂の先発は、もちろん守安。対する大阪ガスは温水。こちらも近本と同じく、プロ注目のプレーヤーである。関西地区どおしのため、観客席は少々寂しい。でも、緊張感は決勝戦そのものだった。

そして、試合は淡々と、投手戦で進む。確かに、両チームはチャンスもつくっていた。4回表は三菱重工の4番・藤原がレフトに大きな当たりを飛ばすも、大阪ガスの中継プレーがはまり3塁で憤死。7回裏は大阪ガスが1アウト・一二塁のチャンスをつくるも、代打・室屋がダブルプレーに終わりチャンスを逃す。この試合はどういう結末を見せるのだろうか?

分岐点は直後にやってきた。8回表、1アウト二塁のピンチを迎えた大阪ガス。ここで先発の温水から、クローザーを務めている緒方へとスイッチ。三菱重工は1・2番の津野と和気を共にショートゴロに抑え、このピンチを難なく乗り越えた。
ここで少し、三菱重工側には嫌な空気が流れた。ピッチャーが変わっても、大阪ガスには抑えられるプレーヤーがいる。対する自分たちはどうか? 守安にもしもがあったら? 藤井は前日の準決勝で、100球以上投げている……。

8回裏。大阪ガスは強気の攻撃を始める。先頭バッターの青柳がヒットで出塁。2番・小深田の打席でエンドラン(小深田はショートゴロでアウト)を仕掛け、1アウト・ランナー二塁に。徐々に守安のプレッシャーは強まっていく。
3番バッターは峰下。3年前の大会では決勝進出メンバーだった。優勝したい気持ちは非常に強いだろう。対する守安も意地を見せるが、際どいコースに決まった一球はストライクにならなかった。
5球目、球音がドームのど真ん中を突き抜ける。タイムリーヒット。大阪ガスの応援席にいた僕も、思わず叫んでしまった。「守安!」。

ここでピッチャーは藤井にスイッチした。デッドボールを与えたり、近本に追加点を奪われたりと、内容としてはあまりよくなかった。でも、藤井は耐えきった。大阪ガス、2点先制。それは三菱重工神戸・高砂にとって、初戦の1回表に喫して以来の失点だった。この大会の最初と最後で失点するだなんて、なんとも出来過ぎじゃないか……。

9回表の攻撃。三菱重工神戸・高砂は三者凡退に終わった。第89回都市対抗野球大会は大阪ガスの優勝で幕を下ろした。
なお、本大会における最優秀投手を表彰する「久慈賞」は守安が受賞した。もしも二人選べるのならば、藤井も加えて欲しいところだが……。

ところで、守安は87年、藤井は88年生まれ。ようするに、昭和の終わりに誕生したピッチャーだ。この2人が、平成最後の夏に忘れがたい輝きを放った。ここに僕は不思議な因果というか、平成最後だからこその意味を有していると感じている。
さて、「平成」という時代において、「都市対抗野球」は日本のスポーツ界に何を残したのか? 平成最後の夏に東京ドームへ通いながら感じたことを、次回の投稿にて記していこうと思う

どうもです。このサポートの力を僕の馬券術でウン倍にしてやるぜ(してやるとは言っていない)