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ぶらり途中下車で競馬場の旅 ~大井競馬場・後編~

大井競馬場に到着したのは15時10分ごろだった。何とか中央競馬のメインレースには間に合った。
今日の大井競馬場では、2種類の馬券が買える。一つはJ-PLACEとして中央競馬の馬券。もう一つは、普段の地方競馬の馬券。7月最後の開催日である。
中央と地方のあいがけで競馬を楽しめる。そんなレアな1日なのである。
特に中央のメインレースと大井の1~2レースが重なる15時から16時の段階が一つの山場だ。

自分の計画はクイーンS、アイビスSD、比較的頭数の少ない小倉12R、新馬戦である大井第2レースの4つで勝負をする算段だった。この時間帯でがっつり稼ぎ、トゥインクルナイターで晩酌を楽しみたい…

クイーンSは◎アドマイヤリードと〇クイーンズミラーグロの単勝で完敗。一方、アイビスSDは◎レジーナフォルテで複勝とワイドを拾う。小倉12Rは④-⑤のワイド1点勝負も空振り。一進一退の攻防が続く。

さて、最終戦は大井第2レースの新馬戦。1番人気はエターナルモールでオッズは1.3倍。期待のエスポワールシチー産駒である。
電光掲示板を眺めて思う。単勝1倍台か。これは固いレースで終わるのかなあ…。

そう思った次の瞬間、僕の体がぶるっと震えた。大井競馬場の単勝1倍台…。
この競馬場ではあってはならない負け方や、勝つことはないだろう馬がゴール板を飛び込む瞬間を、僕は何度も目撃してきた。大井とはそういう場所なのである。
ひょっとすると、これは罠かもしれない…!

視点を変えて、穴馬を探す。しかし、新馬戦の穴馬ほど難しいものはない。各馬の血統を見てみるか…
いや、血統の前に見逃していたものがあった。馬名だ。4枠4番の馬名が目に止まった。

ヒヒンチャン

これだ! この響きだ!

理屈なんていらない。直感を刺激するような、そんな馬を信じれば良いのだ…。

第3コーナーで遅れ、最後の直線で大外を回された段階で、僕はまた大井の悪魔にやられたと思ったものだった。
しかし、長い長い直線が功を奏した。エターナルモールが馬群でもがく中、その外を悠々と走り抜ける1頭の牝馬。
えーっ! と思わず声をあげてしまった。まんまと逃げ切った1着とは8馬身差も離れたとは言え、上がり2位の末脚で2着を確保。僕の馬券も見事的中となった。最終オッズは5.1倍。美味しすぎた。

やった! このお金さえあれば、4号スタンドの赤モツに広場の売店のコロッケを付けても大丈夫だ…!

そんな旅の思い出を、僕は今、羽田空港内にある喫茶店で記している。
午後8時すぎの空港は誰もいなくて、少し寂しい。それに、お土産屋の殆どがもう閉まっていることが誤算だった。
馬券は諦めて、早く出ていけばよかったのかなあ…。

ヒヒンチャンのあと、何レースか馬券は買ったのだが、大した当たりを得ることはなかった。結局トータルはトントン。まあ、トントンなら良いか。でも、何だかもったいない。はっきり言って、このアイスティー代で儲けは全て消えてしまったのだから。

かくして、そんなかたちで、ぶらり競馬場へ途中下車の旅は幕を下ろした。馬券代を除けば、トータルで3,000円もいかない安い旅である。8月12日、13日もJ-PLACE+地方競馬のあいがけを楽しめるので、興味を持たれた方はぜひチャレンジして欲しい。

そして、羽田空港の中を行き交う旅人たちを眺めながら、僕は心に誓った。まだまだ夏も折り返しなんだ。今年はもう一度、旅打ちをするぞ! と...

(続くかも?)

どうもです。このサポートの力を僕の馬券術でウン倍にしてやるぜ(してやるとは言っていない)