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【保存版】バドミントンの年代・目的別トレーニングまとめ

【プレ・ゴールデンエイジ】 6歳〜9歳

>基礎トレーニング期
 「即座の習得」のための準備段階である、プレ・ゴールデンエイジでは、スポーツを”play”する基礎づくりのために、運動の多様化・豊かな言葉がけが求められ、特に動きづくりに主眼を置くプログラムを構成する。
 さらに、巧みな技術を駆使するためにシャトルの形状や運動をはっきりと捉える“ドンピシャの運動”が求められ、その感覚を養成することも求められる。

 以下に、具体的なトレーニング内容を記載する。

<身体づくり・動きづくり>
すりすりトントン:左右異なった動きを行う(すりすり・トントン)
 ⇛ 合図で逆にする
シャトルリフティング(身体):シャトルを捉える眼を養うため、自分の身体のどこででもリフティングする
 ⇛ 慣れてきたら、ラケットを用いて行う
シャトル投げ:シャトルをキャッチボールのように行う
 ⇛ 様々な投げ方、高さで投げ合う
シャトル投げ戦争(バクダン):ネットを挟んで時間制限内にシャトルを投げ合う
じゃんけん後出し:じゃんけんで負けた方が勝つように手を変える
じゃんけんダッシュ:ジャンケンでルール(勝ちor負けor足し算等)によってダッシュの方向を決める
脚ジャンケン:脚でグーチョキパーを作る
手つなぎ前後ランジ:左右どちらかの脚を軸足にしてランジを前後に組む
座ってウォーキング:椅子に座り、大腿部を交互に上げる
背中合わせペアスクワット:背中合わせになり腕を組んで椅子を作るようにスクワット
ペアツイストタッチ:背中合わせになりお互いが同じ方向に体幹を捻り両手で触り合う
コート内鬼ごっこ:コート感覚の養成
 ⇛ エリアをコート内に限定した鬼ごっこ
コート前後ダッシュ:ネットとバックバウンダリーラインの往復ダッシュ&ステップ
コート左右ダッシュ:シングルス・ダブルスのサイドラインの往復ダッシュ&ステップ
コート1歩軸足移動:トラベリングを意識して、軸足を固定し振り出し脚を大きく出す
フライングスプリット:ランジをジャンプで繋いで左右交互に繰り返す

<技術づくり・戦術づくり>
シャトルキャッチ:ラケットで飛んでくるシャトルをキャッチする(フォアハンド:以下fh / バックハンド:以下bh)
シャトルリフティング:ラケットでシャトルを跳ね上げ
 ⇛ 高さ・こすり・fh/bh等様々なやり方を指示
ラケットで色々なものを触る:身体・もの・シャトル等々を触ってみる
シャトル拾い:ラケットでシャトルを拾う(fh/bh)
シャトル投げ当て:シャトルを手で投げ、目標とするもの(筒等)に当てる
ラリー:ドライブを始めとして、技術レベルに応じた何百、何千単位での単純なラリーを行う
シャトル2つドライブ
サイドラインドライブラリー
コンタクト:ネット前のスピンネット・タンブル・クロスネット・デシーブ等々多彩なコンタクト方法を行う
回内・回外動作でのヒッティング:軸回転運動を制限した形で行う
他者のプレーを見ること・見せること

 以上、一貫して回数を少なくし、運動の種類や手立て・指示の方法を多様化させる。
 この年代では、集中力が低く、運動に対する感受性が高いため、バドミントンに対する意識を主体的かつ好印象を残すような工夫を持つことも求められる。


【ゴールデンエイジ】 10歳〜12歳

>発展トレーニング期1
 「即座の習得」の時期。
 あらゆるスキル(技能)の獲得と、よい習慣の獲得にとって、最適の時期である。
 コーディネーション能力が高くなり、運動のまとまりが生まれる。

<身体づくり・動きづくり>
ツーパーソンフィーディング:ネット前2人がそれぞれシャトルを持ち、ランダムに投げ入れる
前方へのトラベリング:シャセ・2歩それぞれをフィーディングされた位置で使い分けるように行う
 ⇛重力法・基本法を使い分ける
後方へのトラベリング:サイドオンジャンプ・シザースステップいずれでもストロークが出来るような繰り返しを行う
インターバルトレーニング:ダッシュやトラベリング・ノック等を休憩時間を定めた上で行う
サーキットトレーニング:自重で行うトレーニングを中心に組み合わせ、時間を定めて様々行う
基本6方向トラベリング:コート隅へ振り出し脚が届くように移動する
シャトル運び:コート6隅へトラベリングし、シャトルを置く
プレローディング〜1歩:最初の1歩を速く出すことを繰り返す
 ⇛振り出し脚の距離を伸ばす
左右ランジ:その場で開脚し、足の位置を変えないように、腰の高さを変えないように、ランジを左右方向へツイストして行う

<技術づくり・戦術づくり>
ミラートラベリング:2人1組でネットを挟んでトラベリング
 ⇛一方がリーダーとして行う
壁打ち:近距離・遠距離・バックハンドのみ等種類を多く提示し、多く繰り返す
インストラクションストローク:ノック形式
 ⇛フィーダーが指示を出したストロークを瞬時に判断して行う
基本6隅での多様なストローク:各部所で高さやシャトルアプローチの速さを変えて、様々な打点やタイミングでヒッティングを行う
ベース〜基本6隅でのストローク:10球前後のラリーを間欠的に行う
 ⇛基本的にベースへ戻るようにする。
プレイングセンター〜基本6隅でのストローク:打球後の動き出しの位置を毎回変え、アプローチを多様化させる
 ⇛打球後すぐのリプライに対するヒッティングの準備を意識させる
ジャンピングパワースマッシュ(JPS):全身のバネを使用したジャンピングパワースマッシュを連続して行う
 ⇛3本ずつJPSを行い、レシーバーを交代する
シングルス戦術:ノックにてシングルスでの繋ぎの練習や連続した攻撃の流れのトラベリングとストロークの習得をさせる
ダブルス戦術:ディフェンシブな体制からの切り返しやアタック時の連続性を出すための2:1を作り出すポジショニングと狙いを意識させる
ノック:フィーダーの位置にリプライを限定して、オールコートを動きストロークする
 ⇛フィーダーの位置を変えながら、相手の位置を把握することを加えて行う
サーブ:状況と目的、戦術に合うサービスを選択できるように狙いを定めて行う


【ポスト・ゴールデンエイジ】13歳〜15歳

>発展トレーニング期2
 思春期に入り「クラムジー(不器用さ)」の目立つ時期。
 あらゆる面でアンバランスな時期。
 悪い習慣を矯正することが重要な課題となる。
 個人差は大きいが、筋の発達(特に速筋)が見られる。

<身体づくり・動きづくり>
 パワーづくり(爆発的筋力)の要素を入れた、間欠的な運動を反復させるようにする。
 基本的にゴールデンエイジで行うことの爆発力や持久性を増した形で行う。
 無酸素性持久力を向上させるトレーニングを追加する。

ツーパーソンフィーディング:ネット前2人がそれぞれシャトルを持ち、ランダムに投げ入れる
 ⇛ラケットにヒットした瞬間に次へのトラベリングの準備を始めるように切り替えさせる
前・後方へのトラベリング:重力法・基本法を使い分け、またサイドオンジャンプ・シザースステップを組み合わせて、インターバル(W:R=1:1〜1:2)で行う
サーキットトレーニング:プライオメトリックトレーニングを中心に組み合わせ、時間を定めて様々行う
 ⇛切り返しや爆発的な動きを瞬間的に意識させるように行う
基本6方向トラベリング:コート隅へ振り出し脚が届くように速く移動する
シャトル運び:コート6隅へトラベリングし、シャトルを置く
 ⇛制限時間を追加し、スピードを意識させる
プレローディング〜1歩:最初の1歩を速く出すことを繰り返す
 ⇛振り出し脚の距離をより伸ばす

<技術づくり・戦術づくり>
基本的技能の習熟・戦術的な広がりや意図を意識させる

ミラートラベリング:2人1組でネットを挟んでトラベリング
一方がリーダーとして行う
 ⇛回数・セット数を増やし、お互いがスピードを維持できるように行う
壁打ち:近距離・遠距離・バックハンドのみ等種類を多く提示し、それぞれ1種類ずつを多く繰り返す(精協調の誘導)
インストラクションストローク:ノック形式
 ⇛フィーダーが指示を出したストロークを瞬時に判断して行う
 ⇛アプローチを同じにし、ストロークを多様化させるように同じフォームで打ち分けられるようにする
基本6隅での多様なストローク:各部所で高さやシャトルアプローチの速さを変えて、様々な打点やタイミングでヒッティングを行う
 ⇛相手6隅のエリアへ正確に返球ができることを強く意識させる
ベース〜基本6隅でのストローク:20球前後のラリーを間欠的に行う
基本的にベースへ戻るようにする
プレイングセンター〜基本6隅でのストローク:打球後の動き出しの位置を毎回変え、アプローチを多様化させ、トラベリングとストロークの習熟度を高める
 ⇛打球後すぐのリプライに対するヒッティングの準備を意識させる
ジャンピングパワースマッシュ(JPS):全身のバネを使用したジャンピングパワースマッシュを連続して行う
 ⇛15本のJPSを連続的に行い、それを1セットとしてレシーバーを交代する
シングルス戦術:ノックにてシングルスでの繋ぎの練習や連続した攻撃の流れのトラベリングとストロークの習得をさせる
 ⇛自身のスタイルに合った、攻撃ポイントの把握とポイントを決めきる場面の想定を行う
ダブルス戦術:ディフェンシブな体制からの切り返しやアタック時の連続性を出すための2:1を作り出すポジショニングと狙いを意識させる
ダブルスのパートナーとの話し合いを重視し、協同した動きづくりを習熟させる
 ⇛スペースをつく球出しでローテーションを加速させ
ノック:フィーダーの位置にリプライを限定して、オールコートを動きストロークする。
 ⇛フィーダーの位置を変えながら、相手の位置を把握することを加えて行う 
 ⇛フィードのタイミングを上げていく
サーブ:状況と目的、戦術に合うサービスを選択できるように狙いを定めて行う
 ⇛狙いのエリアを狭めて成功率を求めて行う


参考文献

 バドミントンの指導理論1 阿部一佳(日本バドミントン指導者連盟)

バドミントンコーディネーション 平井博史(日本コーディネーショントレーニング協会),渡辺哲義(大阪トリッキーパンダース)

 バドミントン6歳児からのコーチングQ&A 石黒之武久,能登則男(日本バドミントン協会)

 バドミントンノックバイブル 能登則男(ベースボールマガジン社)

 基本レッスンバドミントン 阿部一佳,渡辺雅弘(大修館書店)

 バドミントン 阿部一佳,岡本進(ぎょうせい)

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