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ケンカ別れより、微妙な三角関係(あるいは魔性の美女)―ウクライナ情勢に思う

ロシアによるウクライナ侵攻には終わりが見えませんが、ロシアのことを勉強してきた私には一方的にロシアが悪い、ウクライナと連帯しよう、というふうに言うことができません。

まずは、戦争をしているのは「国家」であるということです。ロシア「国家」が戦争をしているのであって、そこで最高の権力を持っているのがプーチン大統領ということにすぎません。プーチン大統領が個人で戦争をしているとは思いません。一方で、ロシアに住む人々が戦争を直接的に引き起こしているわけでもありません。

ウクライナもゼレンスキー大統領がひとりで戦争しているわけではなく、ウクライナ「国家」として戦争しています。「国家」の主張を通した結果が人々の死であったり、人々が住み慣れた土地の放棄せざるをえなくなることであったりしているわけです。

「国家」の論理でなく人間としての論理で考えれば、解決法は即時停戦しかないと思います。しかし「国家」の論理ではそれは許されないことのようです。

人間はひとりで生きてゆくことができず、家族、親戚、そして社会、国家と様々な社会組織の中で暮らしています。その中で人間としての論理と、それらの社会組織の論理が離れてしまうことは常に起こっていることで、避けがたいことです。それを今、ウクライナやロシアで私たちは見ていることになります。

では、国家の論理でおこなわれている戦争をどうやって止めるかと考えてみると、当事者以外の国による調停しかないと思います。

欧米や日本の政府がやっていることは調停ではなく、当事者の一方を支援しもう一方に制裁を加えるという、対立や分断をさらに激化させる行為です。AとBが争っているときにAだけに与する行為です。

そうではなく、第三国が双方の当事者に働きかけることが大事だと思います。たとえばトルコはロシアにもウクライナにも働きかけ、停戦交渉の場を自国で提供しています。ただ、このときトルコは善意の隣人というわけではなく、ロシアともウクライナとも利害が一致するところもあれば対立するところを持っています。(そもそもトルコから見たらクリミア半島はロシアでもウクライナでもなく自分の土地でしょうから。)

こうした三角関係(ロシア、ウクライナともう1か国)の関係を、いくつもいくつも見出して、その無数の三角関係の中で何らかの合意を見出していくことが、今、もっとも大事ではないかと思っています。この三角関係を作り出せる国はいくつもあると思います。特にアジアの国が重要な立場にいるでしょう。インドであったり、中国、アラブ諸国、イラン。あるいはカザフスタン、ウズベキスタン、アルメニア、アゼルバイジャンなどの旧ソ連諸国。ヨーロッパの国ではハンガリーなんかはそうなれるのかなと思っていますが、勉強不足なのでEU内で本当にこういう三角関係の当事者になれるかは分かりません。

日本も本当はこういう三角関係を作れる国であってほしいと思います。しかいそのために必要な相手国との人脈が無いように見えますし、相手国の内在的な論理を理解する専門家が少なく、またいても尊重されていないように見えます。

日本はG7に入っていますが、今の世界ですでに時代遅れの枠組みだと思われます。もしG7に日本が入っていなければ、今回、日本はもう少し自主的な外交ができたのではないでしょうか。

雑多な文章になってしまいました。AさんともBさんとも微妙な駆け引きを繰り返しふたりともを籠絡してしまうような、そんな魔性の美女みたいな国があればいいのですが、少なくとも日本はそうではないでしょうね。

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