ムーミン童話の世界
昨年末くらいに、ふと
「ムーミンシリーズってどんな話だったっけ?」と、思いつき、ムーミン童話全集を順番に図書館から貸りて、少しずつ読んでみた。
子どもの頃にも読んだことはあったが、「アニメの『楽しいムーミン一家』と全然違うじゃん」と思った記憶くらいしかなかった。
読み返して軽い衝撃を受けた。(ムーミンパパが、新聞紙にくるまれていた捨て子だったというエピソードも含め)
こんなに深い話だったのか、と。
いや、当たり前だが、お話は昔読んだ時と変わらない。
私自身の視点や感覚が、当時と変わったのだろう。
『生き方』を考えるのに大切なことが、ムーミンたちの童話にちりばめられているのを、感じられるようになったのだ。
困難に直面した時、どんな風に乗り越えるのか。
ムーミン童話の登場人物たちそれぞれの様子が、様々に描かれている。
好きな人たちと過ごしていいこと
楽しいことをしていいこと
他のことでなく、大切なことだけをひたすら考えるようにすること
自分でのりこえていくこと
クスッと笑ってしまう場面から、「ああ、こういう時ってあるよね」「こういう人いるいる」な、怒ったり、悲しんだり、もちろん楽しんだりする生き生きとした登場人物たち
読み進めていくうちに、どんな無茶苦茶な困難も、その人らしい知恵と勇気(という言葉が適切な気がする)で、解決していく姿が、どことなく薄気味悪かったんだ、と薄っすら記憶の片隅に思い出してきた。
自由に生きている登場人物たちを、真正面から見ることができなかった。
自由と自立というのは、誰にでも得られる権利のようでいて、それを得るのには実は覚悟が必要だ。
春が来て年度も変わったが、まるで童話の世界並みに、いまだ社会の騒動は続いている。
好きな人たちと過ごしていいこと
楽しいことをしていいこと
他のことでなく、大切なことだけをひたすら考えるようにすること
自分でのりこえていくこと
ちょっと疲れたり、落ち込んだら、トーベ・ヤンソンの描くムーミン童話の世界をめくってみてほしい。
ひよっとすると自分も何があっても、大丈夫なのかもしれない、と感じさせてくれる。
今年も桜のお祭りはなかったけれど、桜の花は気持ちがいいほど満開になった。
新しい風は私たちに、次はどんな世界を見せてくれるのだろうか。
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