【ぶんぶくちゃいな】米朝首脳会談の勝ち組って…本当は中国じゃね?

世紀のイベントだったことは疑う余地もない米朝首脳会談。その大騒ぎの余韻と成果とやらをあちこちのメディアで探しているうちに、今年もそろそろ半分が過ぎようとしていることに気がついた。

振り返ってみると、2018年前半は年明けに平昌オリンピックをテーマに始まった南北朝鮮の高官会談から、一転二転三転くらいして実現した米朝首脳会談まで、北朝鮮を中心とした東アジアの話題が世界の目を引っ張り続けた半年だった。この間、金正恩はトップ就任以来の初外遊で中国を初訪問、そして1度ならず2度目までも電撃訪問も行った。そのスキに南北朝鮮の間では2回目のトップ会合もさらっと開かれた。昨年年末には思いもよらなかったことの連続だった。

一方、中国も「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ大統領の就任以来ずっと心配されてきた、米国との貿易格差問題が浮上、貿易船突入か?!という緊張感にさらされた。3月に日本も対象となっている鉄鋼・アルミ製品への関税引き上げと中国に対する貿易制裁が明らかになると、中国は全面応戦体制を整えていった。メディアの報道を見ても、こんなに一つのテーマにピリピリした中国は久しぶりだったと言って良い。

その一方で動き始めた北朝鮮情勢において、中国は目立った発言はしないものの、金正恩の訪中や、トランプ大統領もことあるごとに習近平の名前を好意的に口にするところなどを見ても、明らかに仕掛け人のような立場にあることが伺えた。中国と米国は表向きには貿易戦争で激しい言葉を投げかけ合いながら、裏では北朝鮮を巡って世紀のイベントのために連絡、協力体制を取り続けた。これもまた、中国外交においてはなかなか珍しい動きといえる。

だが、その中国で北朝鮮関連の動向を知ろうとしても5年ほど前から厳しくなった北朝鮮に関する言論統制がこのところ特に強化されているようで、主だったメディアにはほとんど北朝鮮関連のめぼしい論評が流れてこない。そこで伝えられるのはほぼ、世界中どのメディアでも紋切り口調の公式発表か海外メディアで読める論評と同じものばかりで、中国の立場を解説するような分析はほとんど出てこなかった。

そのうち、民間軍事専門家の趙楚氏はネットメディア「捜狐網」に掲載されたコラムで、「北朝鮮が今回の首脳会談で巨大な勝利を手にしたのは疑う余地がない」と書きつつ、米中首脳が交わした共同宣言の朝鮮半島の安全保障についても、「北朝鮮はこれまでずっと、自身が核や長距離ミサイルを持つのは半島の非核化のためと言い続けてきた。それをただ踏襲したものでしかない」と切り捨てている。

一言で言えば、「トランプ-金会談」はトランプ大統領個人の思いつきのイベントとしては世界的な目を引いたが、北朝鮮の核問題と朝鮮半島問題にはまったく実質的な進展はもたらさなかった。逆に、目の前で打ち上げられる花火に気を取られているうちにそれがさらなるリスクをもたらすかもしれない。というのも、トランプの外交政策にはまったく系統だった考え方や目標がないことが暴露され、彼の手には巨大なアメリカの国家パワーが握られているものの、その目は自分勝手な夢物語のような空想にしか注がれておらず、国際政治における目標達成にはまったく無責任だということがわかったからだ。

●シンガポール会談直後に訪中したポンペオ国務長官

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