連休明けの塩麹漬け生姜焼きと、映画『あの夏のルカ』(連載なんて名乗れない「映画とごはんとワンルーム」005)
すっかり書かないうちに、7月も折り返しになってしまった。この間僕らは、悲しい別れを遂げてしまったわけでなく、なんちゃって同棲を解消してしまったわけでもない。作る料理のクオリティや品数は日に日に向上の一途をたどっていた。
しかし何を隠そう、まさにその生活の向上こそが【"連載"「映画とごはんとワンルーム」】が"連載"を名乗れなくなったきっかけなのである!
そう、我々は料理で著しい成長を遂げてしまったあまり、ただの「ごはんとワンルーム」になってしまったのだ!
休載していたこの2ヶ月弱、僕らの食卓には和食、中華、韓国、イタリアン、時にはなんちゃってフレンチまで、ありとあらゆる料理が並び、僕らのほっぺを何度も落としてきた。夜中にフライドポテトを揚げてみたり、夏野菜で揚げ浸しを作ってみたり、時にはズッキーニに大ハマりしてしまって毎日ズッキーニを食べた週もあった。
もちろん、映画も2人で見ていたのだけど、どうも食卓に料理が並ぶと映画をつけるという選択肢がなくなる。だってご飯が美味い。外食も全くしなく無くなっちゃうくらい、毎日毎日、家でお姉さんと食べるご飯がたまらなく美味しいのだ!!
そんな、映画監督より料理長を名乗った方が良い気がしている僕が今日書くのは、横浜までプチ旅行に行って帰ってきた三連休あけの僕たちが、やっぱりおうちごはんが一番美味しいと確信した火曜日の夜のこと。
かくいう今回も、映画をつけたのは生姜焼きをたらふく食って、すっかりお腹いっぱいになった僕らが食卓を片付けた後のことなのだけど、それはご愛嬌。
火曜日の20時。疾走するかのように過ぎ去った三連休と新たな週の到来に、世の大人たちはたいそう落ち込んでいることでしょう。
僕らもそうかって?いいや、おうちご飯にハマってしまった20代カップルの底力を舐めてもらっちゃ困る。
連休明けの僕たちを周りの社員よりもひとまわり強く見せていたのは、冷凍していた豚ロースの塩麹漬け。
最近主夫化が止まらない僕は、塩麹づくりにハマっている。
これはお姉さにも言ってないのだけど、実は僕、学生時代に何を思ったか塩麹づくりに挑戦してみたことがあったのだけど、そもそも自分が料理をしない人間だということを忘れていて、その時は数ヶ月後に冷蔵庫からただのカビとなって見つかった。
塩麹にはそんな苦〜い思い出があったのだけど、数年越しにいざ作ってみるとあら簡単!市販の麹の裏に書いてあるレシピ通り(レシピといっても3つしか工程がないのだけど)1週間毎日欠かさず名前を呼びながらネリネリしてあげるのが僕の日課なのだ。そうしてできた塩麹、使ってみると料理が美味しく、というかスーパーの安いお肉がプリプリほろほろモチモチになる!!!特に鶏肉の様変わり具合はもはや爆笑ものだった。ささみ特有のパサつきも、塩麹に一晩つければ一切なくなる。映画って、人によって合う合わないがあるから心からお勧めできるものってあまりないけど、塩麹に関しては心からお勧めだ。塩麹なくして肉料理なしと言い切ろう。
連休前、そんな塩麹をスプーン3杯くらいとスーパーの豚ロースを合わせてジップロックにブチ込み、その救いの手を必要とする日のために冷凍庫にそっとしまっておいた(塩麹、冷凍もできる)。
そんな冷凍豚ロース、在宅ワーク前に冷蔵庫に移しておき、出社したお姉さんの帰宅直前、いざご対面。
生姜焼きってなぜか手が込んでるイメージだったのだけど、今晩はここ最近作った料理の中で味と労力のコスパが一番良いといっても過言ではないほど大満足できる美味しいレシピをご紹介しよう。
塩麹から取り出した豚肉の表面に軽く薄力粉をまぶして、サラダ油で熱したフライパンでジュ〜っと焼く。我が家は最近ガスコンロの調子が悪くてデフォルトがとろ火なので、とろ火で焼く。
そこそこ焼けてきたら、そこにタレをぶちこむ。
確かタレは、醤油と酒とみりんを大さじ1.5ずつくらいと、そこに秘密兵器岩下の新生姜オイル漬け!
先日両親に連れられて訪れた岩下の新生姜ミュージアムで手に入れた岩下の新生姜食品の中で最も感動し、最も食卓に欲しい、なんならこれが無くなったら買い足したいとすら本気で思ってる岩下の新生姜オイル漬け、これを入れるだけで料理が3倍美味くなる。
今、初めて商品説明を読んだけど本当に美味しそうだ。いや美味しいのだ。ただのオイル漬けではなく、バジル、ニンニク、ブラックペッパー、チキンエキスまで入っているとは・・・。
そりゃ、調味料としてこれを少し加えるだけで旨味が一気に増すのも納得。
今回は生姜焼きなので小さじ1くらいをたらり。
混ぜたタレを豚肉によーく馴染ませたら生姜焼きの完成。食べてから思ったけど、塩麹で塩味が既についているので、お醤油は風味漬け程度にたらっとで良いかも。
お姉さんから「ニトリで2,000円ちゃん」と呼ばれていた最強土鍋で炊くご飯は、実は炊飯器より早くて楽チン、ご飯も美味しいので、最近は我が家のレギュラーメンバー。お姉さんの実家からもらってきた精米と、僕の祖母からもらってきた玄米を1:1で合わせて炊く半玄米ごはんが僕らのデフォルトになったのもこの1ヶ月くらいのお話。
お姉さんがふわふわのご飯をお茶碗に盛り付けている間、丸いお皿に生姜焼きと、きゅうりの白だし漬けと、南瓜の煮物の余りを盛り付ける。ある時期からお姉さんが急に作り始めたこのきゅうりの白だし漬け、味がよく通るようきゅうりに切り込みを入れて、ジップロックに白だしと鷹の爪(あれば)と一緒にぶち込み一晩置くだけでできる簡単絶品おかずで、夏の暑い日の体にはたまらないからか、最近毎日食卓で顔を合わせる。大好きだ。
スーパーで¥88だったしめじを半分と、大根のあまりを入れたお味噌汁も揃ったら僕らの連休明け食卓の完成。お姉さんが今日も元気にご飯を4杯食べていた。
そんな夏の夜の僕らが観た映画は『あの夏のルカ』。
前から少しだけ気になっていた2021年公開のピクサー作品。
きゅうりの漬物みたいなあっさりさっぱり作品だった。
舞台となる北イタリアの港町の景色や音、青や水の描き方は流石のピクサーだったし、その爽やかさは夏の夜にぴったりだった。
「ひと夏の冒険を描いたファンタジーアドベンチャー」とあったが、まさに小学生が喜びそうなあっさり感と小学生の親が喜びそうな教育的側面を楽しめる。僕らは小学生よりちょっぴり大人なので、もうひと押しが足りなかった。
けど何度も言うが、夏の夜に観るにはぴったり、というか観るなら夏の夜。
色々な意味で綺麗な作品だった。映像や音楽ももちろん、話の内容やアニメーションの効果の使い方まで、爽やかでさっぱりで綺麗だった。僕個人としては、話の内容の綺麗さという側面では、人間の美しさを摘出したような好みの綺麗さではなく、見たいものにしか目を向けないという汚れ隠しの綺麗さを感じたので、この感想に留まる。
されど悪い映画ではまったくなかったと思う。ただ、僕は『リメンバー・ミー』とも相性があまり良くなかったので、気になってしまうところは気になってしまったというだけである。幼い子どもがいたら一緒に観たい。けど子どもが高校生になってもこれで泣いていたら「この子は心が美しすぎるのではないか」と思ってしまう。わかるだろうか。こんなパパ、卑屈で鬱陶しくて嫌われるだろうか。
ちなみにこの映画の監督の過去作に『月と少年』というものがある。
ピクサーの短編映画で、僕はちょうど1年前とかに観た記憶があるのだけど、確かに同じ監督が作ったという事実を知らずともLucaのいくつかのシーンではこの映画の映像を思い出したし、なんならパパに関しては同一人物と言いたいくらいだ。僕はこの短編、とっても綺麗(良い意味)と思った記憶があるので、後からお姉さんと観てみようかな。
そんなことをダラダラと書いていると、ベッドでお姉さんが生姜焼きの絵を描き始めてくれたみたいだ。横顔をチラッとみたら眉間に皺が寄っててとっても可愛い。
今週末はお姉さんが出張でとても暇なので、僕は大人しく「映画とごはんとワンルーム005」の執筆を終わらせて、週末の分までお姉さんとお話しようと思う。
次は何を観ようかな〜
おわり
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