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自然のなかに住まずに、気候変動なんてわかるわけがない

最近、身のまわりで起きている「自然の悲鳴」に衝撃を受けています。

日本でもニュースになっていると思うけど、オーストラリアの森林火災(bushfires)が本当に大惨事。もう手がつけられません……と消防の偉い人が公に諦めてしまうほどの状況です。あっちの炎とこっちの炎が合流しパワーアップして森を燃やし続けながら進むという、地球滅亡系デストローイ映画みたいな世界が、現実になっています。

その影響で太陽が真っ赤。流れてきたスモークで街中が黄色っぽく霞んだ頭上に燃えるような赤い玉が現れるんだから、それはもう世紀末。

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私が住んでいるバイロンベイはまだ被害が少ないけれど、シドニーが本当に悲惨なようです。PM2.5がインドに匹敵とか。(インドはどれだけひどいんだ)

毎年この時期は乾燥するので森林火災は起きるのですが、今年は何もかもがワーストエバー、史上最悪の事態だとたくさん報道されています。その理由が、気候変動。雨がぜんぜん降らなくて例年以上に乾燥していて、火災がひどくなるばかりなのだそうです。


さらに最近ビーチに行ってみたら、ショッキングな光景が広がっていました。

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これ、、cornflakes weed(和名フクロノリ)という海藻らしく、砂浜にまでびっちり打ち上げられていて、それはそれは気持ち悪い。

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これぜんぶ海藻。犬も歩けなくて困っちゃってましたよ。生臭い匂いもしていて、サーファーどころか海に入っている人がひとりもいませんでした。

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左が最近で、右がいつものきれいな海(フリー素材)。森林火災による空気の濁りと、海藻だらけの砂浜が相まって、なんかビーチが地獄のようです。ここはどこ。。

なぜ今こんなに汚いのか……と気になっていたら、これも気候変動の影響だと、地元民に教えてもらいました。

この時期にcornflakes weedが打ち上げられるのは毎年のこと。普段ならすぐに引くはずが、今年は北風がいつもより強く吹き続けていて、引けずに大量に打ち上げられっぱなしになってしまう。どんどん次のが来るから、積もる一方で山盛りになる。

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美しい自然が目の前で壊れてゆく……。なんだか、ショックで立ち直れません。

そんなバイロンベイは、オーガニックやエコの街とも言われていて、本当に取り組みが先進的です。

先日はサーファーたちが板を持ち寄り海岸にやってきて、気候変動や環境への意識を高めあう(?)ビッグイベントをやっていました。集まるのは地元のサーファーたちです。

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環境に配慮したモノやブランドもかなり盛ん。先日、プラスチックフリーなことをメインコンセプトに展開する今超人気のギフトブランド「SEED & SPROUT」が近くでポップアップをやっていたので行ってきました。

このイベントも、「環境のこと考えようね!」とかいう意識高いくだりはないんです。"Say See Ya To Plastic." というスローガンが掲げられてはいるものの、ただのふつうに素敵なパーティー。そもそもSay See Ya!って軽くないですか笑

だけどイベント自体もかなりエコ。アルコールドリンクは瓶のジャーで提供されるし、そこに刺さっているのはステンレスストロー。手でつまめるフィンガーフードを中心に、紙のフォークだけが置かれていました。もちろんフードロス配慮で元からサーブされる量が少なめに用意されているなど、パーティーフードとしての役割が明確です。

東京では、無限にフードが補充され、どれが自分のかわからなくなってプラカップを使いまくり、ゴミが大量に散乱しまくるケータリングパーティーにうんざりしていたので、精神衛生上かなり最高です。

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環境に配慮したおしゃれなブランドはありすぎて紹介しきれないくらいで、クリスマスギフトもそういうものを贈るのがセンス効いてる感があります、最近のトレンドとして。

あと当然、ビニール袋とかは一切配られません。もちろんスーパーの野菜・果物はすべて生のままだし、服を買っても袋を頼まない限りむき出しです。

海外が進んでてすごいでしょって言いたいわけではなくて、やっぱり「自然との距離が近いこと」がこうさせるんだろうなという話です。

私はだいたい神奈川〜東京で過ごしてきた、どちらかというと都会側の人間です。いま住んでいる所ですら、田舎すぎてどうしようと思ったレベル。環境問題への関心こそずっとあったけれど、正直ここに腰を据えてみるまで、こんなにリアルに自然の変化を感じたことはなかったかもしれません。

私の場合はたまたまそれが海外だったけど、日本の自然に近いエリアでも同じです。たとえば私がよく触れている雪山や白馬エリアでは、目に見えて雪の量が減り、滑れる期間も短くなって、周辺ビジネスにまで影響が出ています。

冬を前に、白馬村と長野県が続けて気候非常事態宣言を出したのですが、この宣言を推進したのは高校生だと聞きました。マイボトルを持つことが常識になり、みんなプラスチックを減らすことを考えていて、自宅の電気を自然由来のエネルギーに切り替えようという動きも出ていたりします。

自然に近い地域では、人々の意識が明らかに違う。

自分のすぐ近くの自然に、あからさまに変化が起きている。いつもの風景がみるみる変わっていく。自分の暮らしが脅かされる危険をリアルに感じる。

目の前で自然が壊れていくのを見てしまったら、考えざるを得ないですよね……。

一方で東京では、SDGs行動をするとポイントが付くなんていう驚きな動きがあったりし、グローバルの感覚とずれすぎていて悲しくなりました。

けどまあ、仕方ないかなという気にもなってきます。

だって東京にいたら感じないから。今年は異常に猛暑だなーとか、テレビで災害のニュースばかりだなーとか思うけど、ドアを開けたら煙ってて真っ赤な太陽が出ていたり、いつもの散歩道がいきなり海藻まみれになってたり、しないもん。

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ある程度の期間、自然のなかに身を置いてみて初めてわかることって、たくさんあります。私は波が毎日こんなに違うって知らなかったし、最初は「雨降らなくて快適だな〜」「太陽赤くてきれいだな〜」とかのんきに思っていたし。

環境活動家のグレタさんを叩く大人や、声を上げる人の揚げ足を取る人、企業の取り組みをマーケティングだと言って批判する人が都会にたくさんいるのを見ていると、やっぱり「感じる」しかないんだろうな、と思います。

自然は正直なので、ちゃんとピュアに助けの声を発しています。それを近くに行って聞いてみてほしいし、人生の一定期間(それが今かもしれない)、自然の近くで暮らしてみるのは、人生100年時代を生き抜く私たち人間にとってもはや必須教養ではないですか。

ということで、休日とかでもいいので、山に登ってみたり新鮮な空気を吸ってみたり、したほうがいいんじゃないかなと思いますね、とりあえず(気の抜けた結論)。

なんとかしたいですけどねぇ。自然が偉大すぎて、無力感しかない。


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