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まかないはおっかない

 入社2年目にして異動命令が出た。

 新事業の飲食部門だ。リモートワーク中、電話での辞令にただ呆然となった。配属して少し経ってからずっと現在所属している部署に適性を感じていたし、仕事がうまくいっていないことは自他共に認めていた。突然の知らせにどこかホッとしている自分がいる。コロナ禍での異例の人事に期待と不安が入り混じる。期待されるポストとしてはランチ〜カフェタイムの運営らしい。

 まだ経験が浅いので運営というよりはまずは店舗を回すことになると思う。職業に貴賎なし、とはいうけれどオフィスワーカーでなくなることはショックなことだ。まだ自分の中で整理ができていない。コミュニケーションが苦手な私にできるであろうか?これからのキャリアは?期待と不安が入り混じるとはいったものの実際は8:2くらいでただただ不安ばかりが募っている。

 前にも少し書いたが一度カフェバイトで苦い経験をしている。今回はバイトではなく社員としての働きなので状況も異なってくるであろう。伴う責任もずっと重いものになることはわかっている。                                                         その中でひとつの懸念点は「賄い」だ。300円でシェフの美味しい料理がいただけるのだが、給与から天引きされるのは腑に落ちない。それと他のメンバーがよく食べるので少食の私にとっては気が引けてしまう。けれど食べること自体は大好きだし、シェフの作る料理もとっても素晴らしい。同じ料理を食べることは職場の団欒にもつながる。けれどどこかで心は食べたくないと叫んでいる。断ったらまた職場で浮いてしまうだろうか。

 初日は勝手がわからなかったのでお昼ご飯をいただいた。みんな賄いを食べるのが早い。せっかく美味しいものなのだからもっと時間をかけて味わいたい。しかし、普通の人にとってはたかが賄いなので一瞬でかき込み休憩に入る。それならば私は最初から「賄いいらない宣言」でもしてしまおうか。業務外のことで頭を悩ますのは少々面倒くさい。

 考えてみれば、今回の異動の理由は賄いに対する考え方にも関係しているのではないか。3食コントロールしたい自分のこだわりの強さが自分勝手さ・協調性の無さだと評価されてまったように思う。他の場面でもあまり報・連・相を行わずに仕事をしてしまった事も多々あり何度も注意を受けた。摂食障害は「甘え」「わがまま」であるという批判を受けやすい障害らしい。治療をするということは体重を増やすこととイコールである。すると私の病院へ通う足は遠のき医者もお手上げ状態だ。それでは治るものも治らない。

 つべこべ言わず食べれば、生まれ変われるのだろうか。一歩踏み出せば将来につながるとわかっているけれどまだ足がすくんでいる。

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