見出し画像

問題は数個の腐ったリンゴが樽全体をだめにするおそれがあることではなく、悪い樽がどのリンゴも腐らせる恐れがあること

セザンヌのリンゴの絵を見つめるとき、私たちは彼の脳の内部にいる。

セザンヌ(引用者撮影)

固定観念はしばしば無意識のうちに起こる。脳は私たちが意識する10秒前に意思決定を行なっている。ノーベル賞を受賞した神経科学者のエリック・カンデルは、私たちのこころの約80%は無意識に働いていることを解明した

自分にとって不利かもしれない情報を心理的に重視しないというわたしたちの心の習性(中略)危険かもしれない情報をなるべく学ばないようにするという戦略的無知(中略)情報が脳の別の場所にあるかぎり、わたしたちは知っていながら、同時に無知であり続けることができる(中略)情報の扱いに慎重を要する理由は、ひとつにはその情報が自分の自己像、ひいては社会的な印象を驚かす可能性があるためだ。そこで脳の残りの部分は、そのような情報が必要以上に目立たないように、とりわけ意識されないようにと、結託(中略)意識である自我は保護されなければならないと述べたフロイトは正しい。けれどもその理由はわたしたちが傷つきやすいからではなく、不利になる情報が脳から漏れ出して他者の心に入り込まないようにするためである(中略)わたしたちが「心の奥深くまで」あるいは「頭の裏へ」考えを押しやるとき、それは不利になるかもしれない情報を目立たないように隠しているのだ。

新入生を研究した学者チームが、若い医学生たちは、なにか非論理的なことを見聞きしても、内部告発をする可能性が低いことを発見した。しかしさらに驚くべきなのは、三年間医学の勉強をし、論理のクラスをとった者は、さらに波風を立てなくなることだ(中略)勉強が終わるころには、九七パーセントが波風を立てなくなっている(中略)「我々がしなければ、別のところがやる」、「長い物には巻かれろ」、「踊りつづけなければいけない」ということなのだ(中略)(※懲役刑受けた現在講師となり活動する)サーノフが見たのは、増幅されていく見て見ぬふりだった。みな間違っているのを知っていても、目をそらしていれば、自分も他人も見なくてすむ(中略)医学生たち自身は、自分たちが保守的で従順な「良い子」である傾向が強く、いわれたことにはあまり逆らわないと答えている。そして医学教育の「隠れたカリキュラム」を受けることによって、その傾向はあきらかに悪化する(中略)「この間、サザンカリフォルニア大学で講義をしたときに訊いてみたんです。『この中で人を喜ばせようとする人はどのくらいいますか?』と。四分の三ぐらいの手が挙がりました。それから私は、『いまの教室の中での態度は、就職してからの職場での態度と同じです。私は人を喜ばせようとしていました。あなた方もいまAを取るためにしていることを、将来上司のためにすることになるでしょう』と話しました」(※サーノフから医学生に対しての皮肉)。※引用者加筆.

ヨハネ目次録には、「この世の終わり」に「苦よもぎ」という名の星が落ちてくるという記述がある。「苦よもぎ」をチェルノブイリという

一九八六年、チュルノービリ(チェルノブイリ)で原子炉火災が起きたとき、彼(※アナトリー・グラシュチェンコ)は有害な放射性ガスを吐き出している原子炉の排気口のひとつに、砂とコンクリートをヘリコプターで投下する任務についていた。原子炉をセメント漬けの石棺に変える任務だ。彼はおそらく、頭のてっぺんからつま先まで、鉛の防護服で覆われていたはずだが、放射能は防護服を貫いて彼の身体へ達し、そして骨髄へ到達した ※引用者加筆.

問題は数個の腐ったリンゴが樽全体をだめにするおそれがあることではなく、悪い樽がどのリンゴも腐らせる恐れがあることなのだ(中略)多種多様な社会経済的地位を平均すると、裕福な人ほど、苦境にある人への共感を報告することが少なく、思いやりある行いをすることが少ない。さらに裕福な人ほど、他者の感情に気づくのが下手(中略)(運転している車の価格で評価して)裕福な人のほうが貧しい人より、横断歩道で歩行者のために停止する率が低い

情報分析官

父親はソビエト連邦の崩壊の中で政府の技師の仕事を失った。炉心溶融後のチェルノブイリで働いたこと、それ以来、体調がよくないことを手短に話してくれた。しかし、父親が主に話したのは、友人のひとりに起こったことだった。その同僚はチェルノブイリのほとんど見捨てられた町で腕時計を拾い、ズボンのポケットに入れ、二日ほど持ち歩いた。そして入浴しようと裸になると、その時計が当たっていた部分の脚の皮膚が真っ黒になっていたそうだ。

平和な日常生活を送っているときは他人に親切な人でも、災害などの非常事態に遭遇すると、自分のことで精いっぱいになって利己的になることがあります。なかには、自分のためなら他人を犠牲にすることも躊躇しなくなるところまで豹変する人もいるのです。これが、「非常時にその人の本性がわかる」といわれる由縁

ストレスは利己的になるようにバイアスをかける(中略)ストレスは共感を弱めるのか? どうやら、マウスでもヒトでもそのようだ(中略)情けないことに、転移攻撃は加害者のストレスホルモン値を下げることがある。誰かを悩ませることで、自分が悩むのを避けることができるのだ

旧ソ連では反体制派の人間を精神病院に入院させ、ハロペリドール(※脳内のドーパミンを抑制する薬)を強制的に処方したことが知られている ※引用者加筆.

情報分析官

旧ソ連では、精神科医たちが自分たちの専門的立場を組織的に悪用して、反体制派の人たちに「精神病」のレッテルをはり、真理と治療にではなく、国家の利益に奉仕していた(中略)隠ぺいというのは集団の大きな虚偽(中略)この集団凝集力として最も大きな力をもっているのが、おそらく集団ナルシシズム(中略)この集団ナルシシズムはその最も単純かつ最も心地よいかたちとしては、集団のプライドというかたちで表出される。グループの構成員が自分の所属するグループに誇りをいだくと同様に、グループ自体が自分自身にたいして誇りをいだくようになる。現実に広く見られる集団ナルシシズムのかたちが、「敵をつくる」こと、すなわち「外集団」にたいして憎しみをいだくこと(中略)集団の行動は、個人の行動にくらべて、想像以上に原始的かつ未成熟なレベル(中略)こう考えると、物事に失敗した集団が最も邪悪な行動に走りやすい集団だということが明らかとなる。失敗はわれわれの誇りを傷つける。また、傷を負った動物はどう猛になる。ところが、邪悪な人間は自己批判に耐えることができない。したがって、邪悪な人間がなんらかのかたちで攻撃的になるのは、自分が失敗したときである。これは集団にもあてはまる(中略)「敵」にたいする憎しみをあおることによって集団の凝集性をたかめようとするのがつね(中略)専門家した集団は、とくにナルシシズムに傾きがちとなる。すなわち、自分たちの集団は、他に類をみない正しい集団であり、ほかの同質的集団より優れていると思い込むようになる(中略)反社会性人格障害者の特徴としてあげられるのは、自分の不品行や不正行為に対する懺悔の情や自責の念を欠いていることである。また、この種の人間は「良心のガン」あるいは、「超自我の乾腐病」におかされている、などともいわれる。 彼らがうそにたけているのは、まさしくこの自分の行動に対する不安を欠いていることによる(中略)彼らはなぜ人を信じさせることができて、人を欺いたり操作したりすることがうまいのだろうか?なぜ私たちは彼らの発言に一貫性のなさを見抜くことができないのだろうか?(中略)その疑問に簡潔に答えるならば、一見まともな彼らの仮面のせいだということになる。 彼らの発言の奇妙さは、うっかりすると気づかないほど巧妙で、まんまとショーを演じきってしまう。私たちは彼らの言うことにだまされているだけでなく、そのしゃべりかたや、それを口にするときに彼らが選択している感情表現にだまされているのだ(中略)彼らは、自分が宇宙の中心にいると思っていて、己のルールに従って生きることが許されている優秀な人間だと思っている(中略)反社会的性格の女性版がヒステリーだと考えている研究者もいる ※引用者加筆.

神経学者でソシオパス(※社会病質)の研究者でもあるジェームズ・ファロンは、ソシオパス(※社会病質)は「汚い仕事」をするのに優れていると述べている(中略)主な動機というのは利益の追求である。※引用者加筆.

知恵ある人とは体制など無用の長物だと証明する者のことだ。体制は人間のエゴの集まりにすぎない(中略)利口であるよりも、人に親切でやさしいことのほうが必要なのだ

情報分析官

最悪なのは、集団思考という危険な現象だ。

集団思考に巻き込まれると、集団のメンバーは共通の立場に立つことに同意し、どんなときにもそれに執着するようになる。その結果、MAD(頭が変)になってしまうことだってある。MADとは、Mu-tually Assured Delusion(相互確認幻想)の略で、メンバーが集団の外にいる人からすれば疑いようのない証拠を否定し、事実にはほとんど(あるいはまったく)基づかないことを信じ続け、「集合的な形をとった過信と意図的な妄信に陥った」状態

人が間違うことを嫌がるのは、その間違いが、身の危険や自信喪失を感じるような、ステータスの低下につながるから(中略)ステータスの低下は強烈な経験であるため、自分のステータスを危険にさらす状況を何としてでも避けようとする人は多い(中略)序列の変化は、数百万に及ぶニューロンのつながり方に変化をもたらす(中略)人が間違うことを嫌がるのは、その間違いが、身の危険や自信喪失を感じるような、ステータスの低下につながるから

BPDは人格に深刻な問題を抱えた状態である。BPDと診断された人には、自殺企図、情緒不安定、険悪な感情の抑制不能がよく見られる

歴史を振り返ると、良心をもたない指導者が国民の良心に催眠術をかけて、大きな破局をもたらした例が何度もある(中略)なぜ人類はこの悲惨な事態を、壊れたレコードのように何度もくり返すのか(中略) ひとことで言えば、私たちは自分の良心にさからってまで権威にしたがうようプログラムされている(中略)「かなりの割合を占める人が、しかるべき権威からの命令だと了解したとき、その行為の内容にかかわりなく、また良心の制約もなしに、命じられたとおりのことをおこなう」(中略)ミルグラムは、権威が良心を眠らせることができるのは、服従心が「思考調整する」ためだとみなした。つまり「行動について自分に責任がない」と考えるようになるのだ。自分はもはや道徳的に責任ある行動をとるべき人間ではなく、絶対的権威者の代理人にすぎなくなる(中略)良心のない人びとは、自分がほかの人よりすぐれていると考えたがる(中略)精神医学専門の人類学者ジェーン・M・マーフィーは、イヌイットの〝クンランゲタ〟について触れている。 クンランゲタは 「 自分のすべきことを知っていながら、それを実行しない人 」 を指す言葉だ。 イヌイットは暗黙のうちに、クンランゲタは治らないと考えていた(中略)平然と嘘をつき、涙で同情を誘い、都合が悪くなると逆ギレをする(中略)良心なき人びとにたいして行動を起こすためには、まず彼らを見分ける必要がある。最高の目安になるのは、おそらく〝泣き落としだ〟(中略)相手に自分の正体がばれそうになったとき、とりわけ空涙を使う。だれかに追いつめられると、彼らは突然哀れっぽく変身して涙を流すので、道義心をもつ人はそれ以上追求できなくなってしまう。あるいは逆の出方をする(中略)逆恨みをして起こりだし、相手を脅して遠ざけようとする(中略)そして恐ろしいことをする人間は、外見的には恐ろしいことをしそうに見えない。私たちは相手の外見でその人柄を判断しようとするが、たいていの場合うまくいかない。現実の世界では、悪者がいかにもそれらしい顔をしていることはないのだ(中略)「なぜあの人が、こんな恐ろしいことを?」私たちは自問する。「あの人」というのは、一見ふつうに見える人、という意味だ。それは肩書きをもち、動物を愛し、親であったり配偶者であったりする人だ(中略)感情的破綻には、彼らには感情的知能がまったくないことが見てとれる。つまり人間の世界で生きていくうえでのかけがえのない指標、人の心の動きを理解する能力が欠けている(中略)行動はあまりに突飛で、あまりに理不尽なことが多いため、私たちにはそれが意図的なものだとは考えにくく、起きたということさえ信じられない(中略)まわりの人をたえず傷つけておきながら同情を買おうと大げさに働きかけてくる相手に、ついほろりとすることが多い(中略)あなたの家族や友人に、自分がなぜ特定の相手を避けようとするのかわからせようとしても、むだだろう

お釈迦様は、ビンビサーラ王から竹林精舎(Vihar ヴィハール)を貰いました。お金持ちが寄付する形で一山貰った。そこで500人の仏陀教団が世俗を捨てて修行した。この竹林精舎の中に女たちも50人ぐらいいた(中略)そうしたらビンビサーラ王が、息子の阿闍世に殺された。次の残虐な阿闍世王は、仏陀を呼びつけて「私はいっぱい人を殺した、それでも極楽に行けるか」と問うた。そのときに釈迦(ゴーダマ・シッダールタ)は、困った。自分の教団を生き残らせるために苦しんだ。そこで、釈迦(仏陀)は言い切った。「アジャセ王よ、それでもあなたは救われる。極楽に行けます」と言って、仏陀は難を逃れて、教団を守った。そしてこの思想が、日本の親鸞上人の悪人正機説となって現れている(中略)本当は、「悪人であればあるほど成仏出来る。権力者と大金持ちが成仏(往生)するに決まっている」という意味です。「私たち(教団)は、支配体制の方につくんだよ。当たり前じゃないか」ということです。だから救済というのはまず権力者と大金持ちに有る。彼らは現世でも救済されている。これが予定説(予め決まっている説)の真実です。この考え方がカルヴァンの予定説の真実

彼らは、献身的で思いやりのある夫であり父であり、親身になってくれる隣人であり、気前の良い慈善事業支援者であった。そして友人として、またある時は自治体の催しへの参加者として、周囲の人々から求められてきたのだ(中略)このような人々のパーソナリティプロフィールは、特定のパーソナリティ障害の診断基準を満たし損なうほど輝かしい。しかしそれは、モノマニア的な割合を占める、たった1つの欠陥によって曇らされているのである。その欠陥とは、貧欲である(中略)一般の人々は、外界からのフィードバックを参照にしながら自分自身と他者とを的確に把握しようとするが、こういった人々は、事実上、このフィードバックを自ら拒否している(中略)偏狭な人々が「自分の所属する集団が他の人々の属するある集団よりも明らかに優れている」という、彼らにはほとんど揺り動かし難い想定の下に機能する場合、偏狭性は(誤った) 高慢(※プライド)の類いであり、それゆえ自己愛に属する(中略)反社会性パーソナリティ障害(ASP)は精神病質(Psychopath)よりも広範囲分野を指す。※引用者加筆.

ASP(※反社会性人格障害)はどのような職種にも、また収入の多少にかかわらず存在する。なかには頭もよく、裕福で、さまざまなコネクションがあり、うまく世の中を泳いでいる者さえいる。ASPは社会のいたるところに存在し、医師、弁護士、政治家、そして聖職者(僧侶や牧師など)のなかにすらいる(中略)他のあらゆる人間と同じように、ASPも大金持ちから貧困層まであらゆる階級の家に、そしてあらゆる地域社会に生まれる。また、他人を押しのけてのし上がり、ASPであることを巧みに隠したまま成功者として振る舞い、人々の羨望の的となっている者もいる(中略)反社会的人間はどんな階級、職業、地域にも存在し、なかには人の尊敬を集めるような職業についている者もいる。また、もともと裕福な家に生まれたり、またはのし上がって社会的な成功を収め、貧困とは縁のない者もいる(中略)なかには知能指数が高く、その力で社会的地位を築く者もいるし、そういう能力がなくても狡猾さや外見的な魅力でそれを埋め合わせ、社会にうまくまぎれこんで普通の人と見分けがつかない詐欺師もいる(中略)裕福な家に生まれた者は、親から金を与えられたり、または財産を相続したりして、金の力と「裕福な家の人間」という見かけの立派さに守られ、人格障害を隠すこともできる。彼らのなかには、家族のはき違えた協力や金で動く弁護士の力によって、法を犯しても処罰をまぬがれる者もいる(中略)また、なかには学校でもなんとかいい成績をおさめたり、仕事をうまくやりおおす者もいる。弁護士その他の専門職についたり、ビジネスマンや政治家になる者さえいる。彼らの多くはそういう成功を可能にするような経済環境に育ち、そのため誤りを犯しても転落をまぬがれる機会に繰り返し恵まれている(中略)経済力や社会的地位がある者とない者とでは、反社会的行動の現れ方にも、またその行動が他人からどう見られるかにも、ともに大きな違いを作り出すことがある(中略)ASPは地域、職業、社会的地位、経済力などの違いに関係なく、どういう状況のもとでも存在する(中略)この障害がもたらす苦しみと絶望の種類はそれぞれの状況によって違っているものの、それに対して家族が示す反応は多くの場合きわめて似ているからである。彼らは身内のASPの人間の話題に触れられると、反射的に自己防衛的になり、事実を受け入れようとせず、問題を否定しようとする(中略)家族意識にさらに輪をかけるのが、家の面子(メンツ)である(中略)あなたは自分の行動上の問題がどれほど重症か気づいていないかもしれないが、あなたの妻子は十分知っている(中略)あなたの問題は、自分が負わねばならない責任を負おうとしないところから発生しているのである(中略)過去に起きたことはもう変えられないのだ。 だが、将来は変えることもできるということを理解すべきだ(中略)【真実の否定】心理学用語で、自分にとって耐えがたい記憶や都合の悪いこと否定して、不安感などを軽減しようとする無意識的または意識的な自己防衛のこと(中略)この障害が人類全体に及ぼす影響の広がりを理解し、その実体をつかむには、時間とお金がかかる(中略)だが、この問題の原因と究明と予防ということになると政治的な理由からどの政党も及び腰になってしまうのが実情だ。というのは、第1章でも少し触れたように、研究の結果、もし特定の民族や人種に強い暴力的傾向が遺伝的に伝わっているなどということが発見されでもしら、大問題になってしまうからである(中略)中流や上流の人々が家族にASPがいることを隠そうとする傾向がなくなることはない(中略)この障害を持った者たちは、今後も引き続き、あらゆる家庭や社会にさまざまな形で破壊と混乱を巻き起こすだろう。今こそ、この障害が現実にたくさんの悲劇を生んでいることを認めなくてはならない時なのだ(中略)ASPは現実認識能力の喪失を伴わない。本人は自分が何をしているのかも、十分によくわかっている。彼らは善悪の区別はできるのに、それを無視しているのである。彼らは意図的に行動しており、意識は極度に自己中心的なゴールに集中している。つまり、彼らは自分の行動に100パーセント責任を持っており、その責任は追求されなければならない(中略)ASPはいわゆる「精神病」ではなく、それで物事の善悪の判断がつかなくなるということはない。問題は、彼らはそれを知りながら、ためらいもなく行動に出てしまうところにある(中略)これほどよくある、そしてこれほど社会に大きな被害をもたらしているにもかかわらず、なぜ人々はこの心の障害にあまり注目しないのだろうか?(中略)それは、彼らの引き起こす問題が、一見異なる分野に属するさまざまな問題にまたがっているため ※引用者加筆.

結婚した相手だから、家族の一員だから、または仕事をくれた人だからと、このような人物に対しても責任を感じてしまうかもしれない。それでも気づいてほしい(中略)プレデターの特徴は微妙なもので、何を探せばよいかわかっていないと、見分けるのは難しい(中略)成功しているから、友だちがいるから、地位が高いからといって、プレデターでないとは言い切れない(中略)プレデターは人の人生をめちゃくちゃにし、夢や願いを打ち砕いてしまう。彼らは自分が一番大切で、誰かに邪魔されるのを嫌うからだ(中略)これらの危険な人格は、自分の言動によって家族や友人が危険にさらされることなど、なんとも思っていない(中略)プレデターは書類上ではいい人に見えるかもしれないが、プレデターであることに変わりはない(中略)被害を受けた人から話を聞くと、これと同じことを何度も耳にした。「何が起きているか気づいたときには手遅れでした」(中略)大変な苦労をして私が思い知ったのは、危険な人格は見かけにはよらないことがあるという事実だ。表面的には姿も態度もごくふつうかもしれない。知性的で、好感がもて、チャーミングで、魅力的なことさえある。それでも彼らは常に危険であることに変わりはない(中略)境界性パーソナリティ障害(※BPD)は女性で診断されることが多い(中略)この本で説明しているプレデターと情緒不安定の人格に見られる言動の特徴とたくさんの共通点をもっている(中略)この人格は社会のあらゆる階層で見つかるが、一番高い位置にいた人物が戦争を勃発させて住民を皆殺しにした歴史の残酷な記録も残っている。ただしこの人格の持ち主は、同じ職場にも、バーの隣の席にも、家庭やスポーツチームや教室にも、スピリチュアル系の団体にさえいる(中略)この人格に関わる人々はいつも気を張りつめ、リラックスすることも楽しむこともないまま、ただ悪いことが起きるのを恐れて過ごす。これらの人物の機嫌を心配しながら生きるばかりで、自分の人生を生きることはできないのだ。何がきっかけになるだろうか? また爆発するだろうか?(中略)この人格は自分の非をほとんど認めず、自尊心の高い自分を尊重してくれない相手は人とも思わずに、容赦なく中傷したり苦しめたりする。※引用者加筆.

高い機能性を示す成人のBPDの人たちの場合、仕事で成功をおさめ、家庭人としての務めを果たし、友人や仲間などの温かい支えもあるかもしれません(中略)BPDの人たちはつねに自分の演じる「完璧」な「いい役」を求めつづけています(中略)BPDの人の大部分は、自分ですべきことが明確に規定される、体系化された環境においては、すばらしい活躍を見せています(中略)家族の全員がBPDの対人様式に従っていることもめずらしくありません(中略)BPDの人たちは、体系化された職場環境や専門家として腕をふるう場面では、すばらしい活躍を見せることもありますが、その裏では強い自己不信、疑念や恐れを抱いています(中略)自分を受け入れ、導いてくれるものを切望するBPDの人たちは、強力な指導者や規律を重んじる集団に惹きつけられることがあります(中略)他人を責めることで、BPD(※精神病と神経症の境界に位置する境界性人格障害)の人たちは自分自身の行動に責任をとることを避けようとします(中略)BPDははしかのように感染力のあるものではありません。しかしながら、長い間BPD行動にさらされた人々は、意図せずして、BPDをもつ人の病の中核部になってしまう(中略)一般に私たちは、セラピストがBPD診断を非常に頻繁に隠蔽すると考えています(中略)BPDの治療に成功するには、たぐいまれなる人が必要です。自己抑制、規律、正直さ、率直さ、共感、忍耐、そして逆境に直面しても不屈の楽観主義を有する人です。※引用者加筆

高機能で見た目にはわからないボーダーラインの人たちは、ほとんどの時間、正常に行動しています。少なくとも家族以外の人の前では(中略)高機能のボーダーラインの人たちは、きっかけとなるようなことがなければ、全く正常にふるまうことができます。障害をもっているとは思えないほどです。

BPDが自然に起こることはめったにないといっても過言ではありません(中略)BPDの症状は主に五つのカテゴリーに分類されます。感情、人間関係、認識、同一性(自我) 、そして行動です。BPDをもつほとんどの人は、これらすべての面で苦しんでいます。つまり、感情、考え方や人間関係に問題がある(中略)たくさんの異なった要因が複雑に入り混じってお互いに反応し合うことで、BPDが引き起こされ長引いてしまいます(中略)BPDから回復するには積極的に問題解決に取り組むことが大切なので、どんな回避でも快方を妨げる(中略)BPDをもっている場合、ストレスを受けると乖離が起こります。実は乖離は苦痛から逃れる手段でもあります(中略)「認知調整不全」をもつ人がストレスをためこむと、否定的な考えをもったり、自分や現実からの解離を経験することがあります。ここで注意しなければならないのは、この種の問題はいつもあるわけではなく、主に、BPDをもつ人が多大なストレスを感じたり非常に動揺している場合に起きるということ(中略)認知調整不全の問題の一つは、人の動機を疑う、否定的または誇大妄想的な考え(中略)認知調整不全のもう一つの側面は解離です。「解離」とは、心がそこにない、現実から離れたような、もうろうとした状態(中略)解離の問題点は、もちろん何も解決されないということと、解離状態のときには危険なことやあとになって覚えていないようなことをするかもしれないということです。

前帯状皮質は大脳皮質の下側にあって、注意力を働かせ、思考を集中させる。この領域は退屈なこと、むずかしいこと、不快なことに集中する能力に関連していて、境界性パーソナリティ障害やそれに類する障害ではここに障害があるため、聞きたくない話に集中することができない(中略)反社会性パーソナリティ障害や境界性パーソナリティ障害とは双子の姉妹のように見分けがつきにくいこの障害は、邪悪な成功者によくある他者操作と嘘の原因となることがある(中略)ほとんどすべての集団で、しばしば、邪悪な行いをする人々がおどろくほどの多数派を占めており、具体的な対策が必要だとだれかが感じたときにはすでに遅いのである(中略)真剣で利他主義的な人々さえ、自分自身や愛する人々の安全のために沈黙してしまう。これらの原因によって「邪悪なシステム」が安定的に維持される(中略)高い地位になれば邪悪な成功者がいる割合は高く、そのような社会での相互作用がかなり異なったものになることはたしかだ。邪悪な戦略をまったく用いずに生き残ることはむずかしい。邪悪な成功者のあくどい手口は、倫理というシステムがときにおどろくほど無力で、さらには逆効果でさえある理由を説明してくれる。法律やルールを作って邪悪な行動を阻止しようとする利他主義者は、その方針がねじ曲げられ邪悪な目的に利用されることにおどろく。

この世にいるのが、謙虚で誠実で博愛精神に満ちた人間ばかりなら、たしかに世界はもっと美しく思いやりに満ちた場所になるだろう。だがそのような世界は存在しない(中略)権力者の周りには、気に入られようとしてお追従を言う輩が集まる。この連中は権力者に服従し、命令通りに動く

「セルフイメージが不安定な人」に見られる特徴(中略)この極端なかたちは、境界性(ボーダーライン)パーソナリティー障害(BPD)だろう。『精神疾患の診断・統計マニュアル(DMS)』の最新版が挙げるBPDの特徴は、「発達が不良な、または不安定な自己像」「慢性的な空虚感」「不信、困窮、および現実のまたは想像の中で見捨てられるという不安に満ちたとらわれによって特徴づけられる、激しく、不安定で、かつ葛藤を抱えた親密な関係」「重要な他者からの拒絶および/または別離についての恐怖」「低い自尊心」など(中略)なぜ「自分がない人」ほど依存に陥るのか?(中略)彼らは暮らしを安定させようと、すべてをその関係性に注ぎ込む(中略)一歩引いて相手の視点から正しい現実を見つめようとしない(中略)別の言い方をするなら、BPDの人は過去の報酬学習に問題があり、人間関係における出来事を予測するのが困難なのだ(中略)BPDの人は混乱し、激しく何かを求め続け、そのことに疲れ果ててしまう。これはすべて、単純な学習プロセスのねじれから生じている(中略)自分の行為の結果を見るという即座のフィードバックを得られなければ、まったく違う学習をしてしまう ※引用者加筆.

BPDの人の怒りは、他の怒りの表現とは対照的に、感情の自然発火と表現できるような、突然で予測ができないものと特徴づけられます。BPDの人は一見、表面上何の理由もなく感情を爆発させるようにみえるかもしれませんが、怒りは常に存在(中略)BPDの人は、気分変動、怒りの爆発、自己破壊性を示すのが特徴(中略)BPDの人の世界は混乱と不可解さに満ちています。その行動にまわりの大切な人たちが混乱させられるのと同様、BPDの人自身にとってもさらにうんざりさせられるものなのです。こうしたらこう来るという反応は、BPDの人には容易に予測できないかもしれませんが、まわりの人には簡単に予測できます(中略)BPDの人の怒りが永遠に続き、手の施しようがないと思うようなこともあるかもしれません。そういう場合は、ときにはパートナーからも二人の関係からも手を引くことです(中略)怒り、情動不安、罪の意識、そして自殺願望はBPDの衝動性の特異的要素(中略)BPDとの共存で最も一般的なのがうつ(中略)ほぼ九〇%が大うつ病(MDD)にかかっている(中略)極端な気分変動は、多くの精神疾患でみられる症状です。BPDの気分変動は、うつ病、双極性障害、衝動性障害のような他の診断の陰に隠れていたり、合併している場合もあります(中略)すぐに訴訟だと騒ぐのがこのBPDの人たち(中略)多くの専門家にとって、BPDの人は最も恐ろしい存在(中略)(PTSD)もまた、BPDと合併していることが多く、それゆえ混乱(中略)なんらかの方法でこの動揺から解放されなければ、文字どおりに爆発するだろうと感じているBPDの人も(中略)BPDの人は他者の微妙な差異に敏感に反応的(中略)BPDは危険な病気、それも死をもたらすかもしれない病気(中略)およそ八〜一〇%のBPD患者が自殺(中略)BPDの人の行動をあなたが医学的に解釈すると、BPDの人はコントロールされていると見なし、怒るか、またはより防御的に(中略)多くのBPDの人にとっては、今以降のことは、特に不愉快な思いをするイベントは、レーダースクリーンには映りません。BPDの人の希望は、まだ起きていないことは将来も決しておこらないだろう、です。しかし、 それを無視していて、もしそれが起きると、想像以上に激しく傷つくか怒りを覚える(中略)混沌とした対人関係のゴタゴタが継続することが、BPDの最も際立った特徴(中略)BPDの人は傷つくと、自分を傷つけた相手に対する怒りがフツフツとわき上がり、残酷になり、相手への配慮や理解をまったく欠くようにようになります(中略)解離は、他の障害、特にうつにおいても生じますが、BPDや女性ではより出現しやすい症状(中略)多くのBPDの人はカオスに支配されています(中略)パーソナリティ障害、特にBPDは、大うつ病などの第Ⅰ軸に分類される障害より、ずっと重篤な日常生活上の機能障害(中略)「境界例」という用語がはじめてしようされたのは六十年以上も前のことです。精神病と神経症の境界に位置し、どちらの分類もピッタリとは合わない患者をさすのに使われました。慢性的に現実離れしている精神病の患者と異なり、あるいは近しい関係の者や精神療法に対してもっときちんと反応を示す神経症の患者とも異なり、BPDの人はその中間あたりに位置していました。BPDの人は精神病様の錯乱した状態に陥ることがあることを医師らは観察しましたが、通常それはほんの短時間で終わります。また、BPDの人は一見、神経症のような特徴をいくつか示します(中略)「私は、近頃、ああ・・・・・・、なぜかは知らないが、ことごとく歓喜というものを失ってしまい、趣味も習いごともすべてを棄ててしまった。 胸の奥に憂いが澱のようにたまり、耐えがたい。地球というこのすばらしき広大なる大地も、今の私にとっては荒れ果てた岬も同然」シェイクスピアの悲劇の主人公ハムレットは「空虚」を、世界中のどんなものも入り込めないと表現し嘆くのです。この症状は、最も直面化するのが難しい症状の一つです。それはBPDの人にとってだけでなく、親密な関係にある人や、治療者についてもいえるでしょう(中略)恐れと痛みを常に友としたBPDの人は、表面上何の訳も理由もないまま、いつ何時も爆発しかねません。 感情的な意味での破壊とは、中西部の竜巻のように速攻で猛烈なものだったりします(中略)BPDの人は、皮肉や自分があざ笑われるようなタイプのユーモアについてはとても敏感(中略)BPDの人の怒りは、他の怒りの表現とは対照的に、感情の自然発火と表現できるような、突然で予測ができないものと特徴づけられます。BPDの人は一見、表面上何の理由もなく感情を爆発させるようにみえるかもしれませんが、怒りは常に存在(中略)BPDの人は、気分変動、怒りの爆発、自己破壊性を示すのが特徴(中略)(PTSD)もまた、BPDと合併していることが多く、それゆえ混乱(中略)なんらかの方法でこの動揺から解放されなければ、文字どおりに爆発するだろうと感じているBPDの人もいます(中略)BPDの人は他者の微妙な差異に敏感に反応的

この障害は成人してすぐに始まり、少なくとも以下の五つの特徴を示す(中略)特権意識(中略)事態をさらにむずかしくする可能性があるのは、この障害の抑制のきかない行動やカメレオン的な行動は、それに接した経験のない人々には、他に人のいないところでのふるまいのちがいについて説明を試みても信じてもらえないことだ。

BPDの人たちは自己像が非常に移ろいやすい(中略)ある特定の状況でクライアントは見かけ上非常に有能に見え、しかしながらその後、周囲の人たちが当惑する程の陰性感情を表出したりする(中略)BPDが、彼らの困難は周囲の他者によって解決されるべきだと考える傾向を指す。彼らの消極性は、良い対処法を身につけてこなかったことや、強い否定的感情を回避することができないことからくる無力感に由来(中略)認知療法の1つの目標は、抱いている信念を点検し、望むような変化を起こすことができるように、それらの信念を修正するようクライアントを援助(中略)認知の転換は、機能不全の原因となる信念を変化に必要な不安の状態へと移行させ、そうして究極的にはより機能的な信念体系へと移行(中略)認知療法によれば、BPDの非機能的信念体系を変化させることは、その信念が極端で堅固なために、不安障害の人たちのそれらを変化させることよりも困難(中略)BPDが、彼らの困難は周囲の他者によって解決されるべきだと考える傾向を指す。彼らの消極性は、良い対処法を身につけてこなかったことや、強い否定的感情を回避することができないことからくる無力感に由来

彼らの説明で強調されたのが、状況的な要因が入り込んできて自分ではどうしようもなかったという点だ(中略)自分のせいではないので、あまり後悔を感じなかったということだ(中略)自分も被害者だったとごまかすのだ。私がこのからくりを「たちが悪い」と述べたわけは、もうおわかりだろう(中略)たとえ自覚がなくても、みな額によっては買収される(中略)階級の高い人びとのほうが、他者の犠牲によって自分の利益を増やす行動を容認(中略)裕福な社交界に片足を突っ込んだりすると───、性格が変わってしまう(中略)階級の高い人は、自分の目的を達成するためとあらば、立場の弱い人から寄せられる信頼を無視する可能性がかなり高い(中略)階級の高い人びとが恵まれた環境で育ってきたのは確かだが、彼らの信頼度が平均的に低いのは、それが原因ではない。原因は、彼らが今も恵まれた環境で暮らしているから、すなわち、この瞬間に消費できる資源を依然として持っているからだ(中略)この見方から論理的に結論を導き出すと、社会階級の低い人のほうが信頼できる(中略)おそらく最も厄介なのは、人は権力を得ると不誠実になるだけでなく、ぬけぬけと嘘をつけるようにもなることだ(中略)権力の増大によって、嘘をつくのがうまくなる権力の影響を予期していようといまいと、権力は私たちの誠実さを低下させると同時に、嘘をつく技能を向上させるのだ。

BPDをもつ人の考え方によってはほかの人に理解しにくい部分もあるかもしれませんが、実際はその考え方は非常にわかりやすく、道理にかなったもの(中略)BPDをもつ人の多くは怒りの表現を恐れ、いかなる犠牲をはらっても怒りの体験や表現を避けようとする

職場ではたいへん有能で成績も良い者が多いし、頭が良く、創造的で、芸術肌である。ある状況では自信に満ちあふれ、別の状況ではなぜ取り乱すのか、家族にはわけがわからないかもしれない(中略)はれものにさわるように誰かの機嫌をとり続けなければならないとしたら、後に残るのは表面的な会話と不自然な沈黙、そして緊張の連続です(中略)ボーダーラインの人は、強力な、よくある防衛機制を用います。否認がそれです。明らかにおかしいところがあっても、自分には何もおかしなところなどないと言い張るかもしれません(中略)否認は極端に強力なものになることがあります。ボーダーラインの人にとって、恐怖心は途方もなく大きく、包括的、圧倒的であるため、否認は徹底的なものにもなりえます(中略)ボーダーラインの人たちは、他の人が向き合ってほしいと考えている問題に直面しようとはしないかもしれません(中略)事態が明るみに出ないので、ノン・ボーダーラインの人はボーダーラインの人との問題に自分だけで対応しなければならなくなるのです(中略)このように、ボーダーラインの人は、ノン・ボーダーラインの人をジェットコースターに引きずり込んでしまうのです(中略)ボーダーラインの人は、この恐怖とパニックを抱えて24時間生きている(中略)彼らが実際にカウンセリングに行くとすれば、それはおそらく、誰かが最後通牒を渡したからです。

子どもの高機能BP(※高機能BPD=ソシオパス)はオールAの成績をとり、陸上競技の代表選手になり、学校のバンドでトランペットを吹いたりする優等生です。教師たち全員が、完璧だと考えています。※引用者加筆.

セレブリティあるいは政治的権力に裏打ちされるほどの社会的成功を収めている人々は、自身のネガティブなパーソナリティ特性を認めるのが難しい(中略)自己愛性パーソナリティ障害は、名声、富、政治的権力、または他の並外れた成功と組合わさると、特に治療困難となる

(※社会病質・ソシオパス) 割合は、通常の人々の集団よりも高い地位についている人々の集団のほうが高いと信じているのはボブだけではなかった(中略)私は何十人もの心理学者と話した。彼らは口をそろえて同じことを言った(中略)ということは、最高の地位についている人々の中には、ソシオパスがたくさんいるってことですか?───Jon Ronson氏(中略)そうよ、梯子(ハシゴ) を上がれば上がるほど、ソシオパスの数は増えていくの─── マーサ・スタウト博士(中略)じゃあ、戦争や不正や搾取などはみんな、人口に対してごくごく小さな割合しかいない、そういった具合に頭がいかれた人々のせいだと?───Jon Ronson氏(中略)私はそれらの多くは、彼らに原因があると思っているの───心理学者マーサ・スタウト博士 ※引用者加筆.

サイコパシー(精神病質)、ソシオパシー(社会病質)、反社会性パーソナリティ障害(APD)は、しばしば混同される。一般人、専門家を問わず、それぞれ置き換え可能な用語として扱う場合もあるが、症状に関連性はあっても、特徴がまったく同じというわけではない(中略)APD(反社会性パーソナリティ障害)の症状がある人の一部はサイコパスだが、大多数はそうではない(中略)APDはサイコパシーよりも三、四倍多く見られる。ソシオパシーと判断される者の比率は不明だが、APDと比較すると、ソシオパシーのほうがかなり多いと推測される(中略)ソシオパシーは精神疾患を示す正式な用語ではない。一般社会で反社会的な犯罪行為と見なされる態度や行動パターンを総称する言葉である。反社会的と言っても、当人が育った社会的環境や文化のなかでは正常、あるいは当然と見なされる行為もあり、その点では、ソシオパスは十分な善悪の判断力も、他人への共感、罪悪感、忠誠心を持つ能力も備わっているといえる。ただ、自分の属する文化やグループの規範や予測に基づいて善悪を判断する傾向があるというだけだ。犯罪者にはソシオパスが多いといえるかもしれない。

神経学者でソシオパスの研究者でもあるジェームズ・ファロンは、ソシオパスは「汚い仕事」をするのに優れていると述べている(中略)ソシオパスが心の色盲だとすると、どのようにして自己の利益のために他者を巧みに操ることができるのだろうか?(中略)ソシオパスの最大の特徴と言えば、「自己の利益を最優先させて、その目的のために他者を操る」ことである。このためには、道徳や共感はソシオパスにとって重要なものではない(中略)ソシオパスが、入念な計画と実行を通して何らかの利益(当然のことだが、何らかの成功)が得られると考えられる限り、設定されたゲームの枠に留まる。だからこそ、ソシオパスが資本主義の原則を頑なに守り通して、無慈悲なビジネスマンになることができる(中略)ソシオパスはけっして相手を自分より上に置かないが、もしも相手が自分にとって価値があると認めると、他のすべての人よりも上に置くだろう(中略)クレックリー博士はソシオパスを観察し、治療した。彼は必死になって、ソシオパスの患者や犯罪者を治療しようとしたが、彼らの障害は重症であり、本質的には治療不能であると考えた

実際、それまではまったく「正常」に見えていた人の思いがけない突然の怒りの爆発や、奇妙な振る舞い、危険な気分の落ち込みといった行動が、BPDの代表的な特徴のひとつ(中略)反社会性パーソナリティにもBPDとおなじように、衝動性、フラストレーションに対する弱さ、操作的な対人関係といった特徴はありますが、反社会性パーソナリティのほうは、良心や罪悪感を欠き、周りに対する関心が薄く、意識して自己破壊的な行為に及ぶことはありません(中略)BPDの人の感情の爆発は、本人にとっても近しい人にとっても、恐ろしい、わけのわからないものです。特徴的な症状も、その唐突なあらわれ方と極端な内容のせいで、その場にいる人たちはそれをBPDのあらわれとは考えずに、べつの一時的な疾患と捉えてしまいがちです(中略)BPDの人の行動に接するというのは、彼らと日常に接触している人たちには誰にとっても楽なことではありません(中略)BPDの人の内的な思考形態は驚くほど原始的なもので、学習によって身につけた、さりげない、揺るぎのない外観をまとうことで、それをつくろっているだけかもしれません。そうした防壁を突き破るような状況が生じたときには、隠されていた混乱した激情が噴き出してくる場合が(中略)足を痛めた人がそうするように、BPDの人たちは足を引きずって歩くことを学ばなくてはいけません(中略)高い機能性を示す成人のBPDの人たちの場合、仕事で成功をおさめ、家庭人としての務めを果たし、友人や仲間などの温かい支えもあるかもしれません(中略)PTSDと診断された患者の約半数にBPDの病理

会社がやることに間違いない」「証拠を集めているのは会社を裏切るような気がする」という気持ちもあるだろう(中略)「会社と闘うこと」は、みんなが、「企業の業績」と一蓮托生で頑張っていることへの「裏切り」だと思ってしまうのである(中略)ブラック化とは、その国の未来を考慮せず、近視眼的に資源を食い潰してしまうような経済運営(中略)「企業に入ったら法律など関係ない。とにかく言われた通りに頑張るべきだ」という発想

自分が利用されていることを、頑として信じない人たちもいる。現実をゆがめて自分の都合のいいように解釈してしまうと、真実はまったく見えなくなる。

国益のためなら「国家の嘘」は許される(中略)現行の法律は、重大な国益のためなら「国が嘘をつく」ことを認めている(中略)極端な話をすれば、「国の重大な利害」という建前があれば、真相を追求せず、闇に葬ることすら許容しているわけです。情報統制をして情報の一部を公表せず、陰蔽することも許されます。少なくとも現行の法制度上は、そういう解釈が成り立ち得る(中略)なお国が嘘をつくというのは正確ではありません。刑事訴訟法では「国の重大な利益を害する場合」を判断するのは、各監督官庁、衆議院、参議院、内閣とされています。そうした官庁等を現実に動かすのは政治家や官僚。つまり国のためなら政治家や官僚の嘘は時として許される(中略)最も原始的な段階の嘘は「完全否定」(中略)自分を守ろうというのは本能的な行動ですが、一方で他人や組織をかばうという行為は非常に理性的な行動(中略)取調中に苦労した「擁護の嘘」(中略)典型的なのは、政治家のために秘書が罪をかぶる、経営陣のために平社員が責任をとる、組織のために下っ端が犠牲になるなどのケースでしょう。重要人物や巨大組織を守るため、その下にいる人間が犠牲になります(中略)この嘘を強いる原動力は、下の人間の嘘によってかばわれることとなった人(組織)の力の大きさ(中略)こうした理性的な嘘は、崩すのがなかなか難しい(中略)組織や重要人物をとりまく人間関係や利害関係、権力の構図などを理解できて、初めて全容がつかめる(中略)もし皆さんもこのような嘘の介在を感じ取ったら、そして不利益を被っているなら、多少踏み込んででも、人間関係や利害関係を洗い出したほうがよいでしょう(中略)嘘を見抜くには、まず嘘に勘づかなくてはいけません。このとき役に立つのが、嘘をついた人に表れる「嘘反応」(中略)嘘がうまい人に多いのが「話のすりかえ」(中略)無実の人間は、自分が疑われているということに本当に怒っているので、それがずっと持続する傾向にあります。逆に嘘をついている犯人は、演技として怒りの表情を一時的に作るにすぎない。内心は焦りや不安に満ちていますから、その演技をずっと続けることが難しいのです

ブラック企業にとって重要なことは、自社の利益を上げることだけである。そのためならば、いかに反社会的であろうと、自社のリスクを最小化し、利益を最大化させる方法を最大限に追求(中略)これがいかに非道なものであっても、彼らにとって「合理的」である以上は進化し続ける(中略)社会全体が引き受けるコストは、鬱病に罹患した際の医療費などのコスト(中略)ブラック企業はこれらのコストを日本全体に押し付けることで急成長(中略)ブラック企業による疾病の治療費は、私たち日本社会の成員が全体として負担することになる(中略)医療費の負担増や、生活保護の受給を減らしたいのであれば、本当はブラック企業を規制すべき(中略)ブラック企業による社会へのコスト転嫁は、医療費や生活保護費といった直接的なものにとどまらない(中略)将来ある日本の若者を鬱病にさせ、少子化を惹起し、さらに労働モチベーションの低下や医療費の増大、社会サービスの劣悪化を招く一方で、ブラック企業は急激に成長(中略)日本を食いつぶすブラック企業に対処できなければ、日本社会は滅びてしまう(中略)使い捨てられた若者が横たわる(中略)もっとも重要なのは泣き寝入りせずに闘うこと(中略)本書を通じて、一人でも多くの方が泣き寝入りせず闘うための知識と力を持ってくださることを祈っています(中略)よくある誤解に、こっそりと録音することは違法だというものがあります。しかし、自分の会話を録音するのは合法です。むしろ、裁判などの場では、とても有力な証拠として重宝されます(中略)他の客観的な証拠も集められるように心がけるとよいでしょう(中略)根源的な問題として、ブラック企業の被害に遭ったとして、闘ったほうが得なのかどうか、という問題があります。この点、社会全体のことを考えれば争った方がいいに決まっています(中略)とはいっても、個人としてはどうなのか、となると、これはなかなか難しい問題があります(中略)すでにデメリットのある状況から始まります。これをどこまで回復できるか、という問題ですから、やらなければマイナスが確定するだけですので、争ったほうが得であると言えるでしょう(中略)何もしなければ泣き寝入りですので、少しでも争った方がいいでしょう

伝えたいのは、「直感的に正しく美しい」が正解の可能性が高いということです。例えば、トラブルに遭遇したら、とにかく一度シンプルに考える。そして、相手が物事を複雑にしようとしたら、先方に裏があることを意識して、なるべく単純に解決するよう動くのです。相手が煩雑な言い訳をしてきたら、疚(やま)しいことがあると認識し、裏にある嘘を見逃さないようにすることが大事(中略)コーポラティズムとは、国家と巨大企業が協力してあらゆる政策を推し進めいくシステムのことです(中略)「レッテル貼り」によって、誰もが魔女にされる危険性
───苫米地英人博士
(著書名失念)

ガスライティング これは古典的な心理操作の手法で、パトリック・ハミルトンの一九三八年の戯曲『ガス燈』(およびその映画版の『ガス燈』)に因んでおり、外界からの影響、光、空気などの少ない親密な人間関係において最も効力を発揮する。その効果は、他人の健康と正気を心配しているふりをしながら、その人に自分がキチガイだと信じ込ませることにある(中略)戯曲では、ガスライティングされている妻が、夫が自分を罠に掛けていることを証明するたった一つの経験的証拠にしがみつく──それがガス燈(中略)本書はP・Tエリオット著『ソシオパスの出世ガイド──人心操作の暗黒技術のためのTIPS』の全訳です。邦題に関しましては、出版社の営業の方々との協議の上、日本では「ソシオパス」よりも「サイコパス」の方がより人口に膾炙(かいしゃ)しているとの判断から、『サイコパスのすすめ』となりました。なおそれに伴いまして、本文中の訳語も、原文のsociopath のほとんどを「サイコパス」と訳しております。学術的な観点から厳密に言うならばとんでもない話でもありましょう

(※チェルノブイリ原発事故)当時ソ連政府の中には強力な原発ロビーの存在があり、情報は封印されてしまいました。当時のソ連のような独裁体制下と、現在の日本のような現代民主主義体制下と、情報隠蔽のプロセスは酷似しています。」───パンダジェフスキー博士 ※引用者加筆.

一度や二度会ったときに「いい人そうに見えた」からといって、その人物が尊敬に足る人物であるとは限りません。詐欺師や本当に悪い人ほど、最初はいい人そうに振る舞うものなのです。

イングリッド・バーグマン主演の名画『ガス燈』

ガスライティングによる否定は、彼らに「解離」が生じたときにも起こりうる。敵に対するガスライティングのテクニックを説明したある本が、簡潔な同義語として「マインドファッキング」を提案している(中略)ガスライティングの影響は、対象とされた正常な人間を大きく動揺させ、行動を混乱させ、思考を散漫にさせることがある(中略)「ガスライティング」という言葉は、イングリッド・バーグマン主演の1944年の映画「ガス燈」から来ている(中略)真剣で利他主義的な人々さえ、自分自身や愛する人々の安全のために沈黙してしまう。これらの原因によって「邪悪なシステム」が安定的に維持される(中略)ほとんどすべての集団で、しばしば、邪悪な行いをする人々がおどろくほどの多数派を占めており、具体的な対策が必要だとだれかが感じたときにはすでに遅いのである

ある人物は「ヒトラーは論理を恐れていた。話をそらし、突然に、先に話していたこととまったくかけ離れた議論を始めた」と述べている(中略)ガスライティングが巧みであった。すでに述べたように、これは現実を否定し敵を混乱させるたいへん巧妙なテクニック(中略)反社会性パーソナリティ障害を持つ人間がいわば「穴の底にいる人種」だとするならば、サイコパスはその一群に属しながら、シャベルを手にさらに深く穴を掘り続けているようなものだ

境界性パーソナリティ障害は複雑で深刻な精神障害です。この障害は一般人口の1〜2パーセントに認められると推定

境界性パーソナリティ障害は複雑で深刻な精神障害です。この障害は一般人口の1〜2パーセントに認められると推定(中略)境界性という名称は、この障害が精神病性精神障害と神経症性精神障害の間、もしくは境界線上に位置するという初期の概念に由来(中略)境界性という用語は、「品行のよくない」患者、もしくは治療が困難な患者を表現する際に軽蔑的に用いられる(中略)ある人がBPDと診断されるときにはその先駆けとなるような出来事があります。

解離は、他の障害、特にうつにおいても生じますが、BPDや女性ではより出現しやすい症状(中略)多くのBPDの人はカオスに支配されています(中略)患者は病気の悪化と悪化の合間には通常は症状が治まり、「正常な」機能に戻ります。パーソナリティ障害と診断された患者は、急性の問題が解決したあとでさえも、機能障害の特徴を示し続けるのが常です。半永久的に行ってきた行動パターンをがらりと変えるのですから、治療までにはより長い時間がかかります。パーソナリティ障害、特にBPDは、大うつ病などの第Ⅰ軸に分類される障害より、ずっと重篤な日常生活上の機能障害を示します。BPDの特徴のうちのいくつかは、特に演技性、自己愛性、反社会性、失調性、依存性といったパーソナリティ障害とも重なる部分があります。

おそらくあなたは、自分の人生に関係している誰かが境界性人格障害であるという疑惑をもっているので、このワークブックを読んでいるのでしょう(中略)プロの人たちでも境界性人格障害が何であるのか、何が引きおこすのか、あるいはいかに治療するかについて、完全に理解するには至っていません(中略)ボーダーラインの人が言っていることを聞き、認知的な歪みを発見して特定してください。

運気を落とすタイミングとは、自分より運のいい人の陰口を言ったり、陰で足を引っ張ろうと裏工作をしたりした直後なのだ

運は想定外のトラブルの中にあります(中略)「ド真ん中に運がある」という方程式を知っている人は、結果がわかっています。「来たよ。ここに来たら、こう行けばいいんだよ。前もこうだったんだよ」ということを経験した人は、どんどん行けます(中略)「あの人、勇気あるな」と言いますが、勇気ではありません。コツをつかんでいるだけなのです。

情報分析官

シミュレーション力のある人は、「なんでこれを事前に予測できたの?」と驚くような状況でも、「いや、そんなこともあるかと」と、平然としています(中略)単純作業にしない人は、「万が一そんなこともあろうかと」という物をきちんと持ってきます。「事前のシミュレーション力」がどれだけあるかが分かれ目(中略)万が一のことを考えた準備を続けることによって、その人はどんどん、「そんなこともあろうかと」と思い続ける力がついてきます(中略)大切なのは、ムダになってもいいから、コツコツ愚直にすることです。「運」と言われているものは、実際は運ではありません。

情報分析官

批評家たちにショックを与えた若き日のセザンヌの信念は、〈どう考えるか〉ではなく〈どう感じるか〉にあり、その姿勢は生涯かわらなかった。また、ルーブル美術館の外に出て、それまで見た物を一切忘れ、自分の目で自然を眺めて強烈な感覚を全身で受け止めなさい。そしてこれを自分自身で編み出した手法で表現しなさい、とも教えている(中略)エリート・コースにはまったく無関心となったセザンヌは、独学で絵を描きながらサロンには出品を続けた(中略)出品の目的は入選にあったのではなく、古い価値観にしがみつく審査委員たちを震撼させ、激怒させ、当時の支配的美的価値に揺さぶりをかけることにあった(中略)体制とブルジョワの美的価値観に揺さぶりをかけたマネに、セザンヌは心酔していく(中略)セザンヌの最初の後援者となったショケを紹介したのはルノワールだった(中略)セザンヌは、ピサロと思想を共有したが、ブルジョワの立場を踏み外して、芸術の世界から飛び出し政治活動をすることは一切なかった。

情報分析官

「大事なのはできるだけ豊かなハーモニーを出すことだ」と(※セザンヌは)パリにいる息子に書いている。※引用者加筆.

権力者でもなければ馬鹿を演じる者からテストステロンを搾り取れないかといえば、そんなことはなく、我々庶民でも馬鹿を演じる者からテストステロンを搾り取ることができる。考え方を変えることが重要であり、馬鹿を演じる者をテストステロン製造機として見ることで、その存在価値を認めることができる。私自身、個別にお返事する時間がないのですが、「マインドウィスパリング スペース 調べたいワード」でnote内検索していただければ、詳しく検証した記事が見つかると思います。

関連リンク↓

https://note.com/wandering_1234/n/n885e64e551ed

https://note.com/wandering_1234/n/n5d30d1ae9219



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?