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あしあと12日目~羽~

今日は夜から大学の友達に会う。久々に地元で遊べるのが嬉しくてたまらない。その友人とは、半年に1回会うことにしている。前回友人は、もこもこの茶色いノルディックセーターを着ていて、それはそれで素朴で優しい彼女の良さが出ていたのだが、今日は、背中にバックリボンのついた可愛いブラウスを着ていて、また一段と大人になっていた。

宮崎地鶏がウリの居酒屋に入る。活気があって、底抜けに明るい。本当に九州に来たみたいだ。(行ったことないけど。)はじめはソフトドリンクにしようか~と言っていたが、メニューを見ていると友人と同じ名前のジントニックを発見。すだちや日向夏など、宮崎らしいフルーツを使ったジントニックらしい。2人ともお酒が強い訳ではないので、ジントニックなんて飲んだことなかったが、これも何かのご縁、チャレンジしてみた。学生だった2年前には想像もできなかったチョイスの連発である。ジントニックはさわやかで、料理によく合った。

今日の主な目的は、彼女が夏休みに行ったペルーの話を聞くこと。それはそれは刺激を受けたそうだ。写真もたくさん見せてもらった。友人に駆け寄ってくる子どもたち、美味しそうな、もてなしの料理、不思議な儀式と植物…。まるで雑誌を読んだりテレビを見たりしているようだった。仕事の関係で行ったので、報告書も書かなければならないらしい。どんな報告書にするか、どうやってその経験を仕事に活かすか、彼女は生き生きと、悩んでいた。また1つ扉が開けた、そのような雰囲気が感じ取られた。

「いいな~、私も海外に行きたいな。」私もそう言ったが、なぜか気持ちが言葉に乗らなかった。あれ、私もしかして、気持ちが海外から遠ざかっているな…。たしかに、この夏のオーストラリア一人旅も、急に怖くなってしまって、行くのをやめたし、少し神経質になっているのかもしれない。なんだかショックだった。私は海外に行きたいという気持ちは揺るがないと思っていたのに、こんなに遠ざかっていたなんて。そういえば英語だってとんと勉強していない。まずいな。たくましく海外へ踏み出していく友人を見て、少しうらやましく、後ろめたくなってしまった。

どうして私あんなに海外に行きたかったのだろう。あの子と私の違いは何だろう。正直今、仕事でいっぱいいっぱいで、全くそんな余裕がない。でも彼女の方がもっと勤務時間は長いし、責任も重いハードな仕事に就いている。私の体力がないのか…?

色々考えたけど、多分、「一人暮らしを始めた」が大きい気がする。
今の生活自体、縁もゆかりもなかった土地で、一人でやりくりをしていて、一人旅をしているようなものなのだ。そこが、余裕のなさなのかもしれない。待てよ、そう考えると、今の暮らしは「壮大な一人旅」なのか…。ちょっとロマンチックではないか。そうなれば、家事だって俄然やる気が出る。

いつかまた、日本での大きな一人旅にも慣れて、成長したころ、新しい世界が見えるといいな。その頃には、どんな世界が見えているかな。今は私の小さな宿で、その友達にもらったペルー土産のかわいいお香立てで、ぼちぼち生きていこう。


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