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公教育は変わる?? 文部科学省、令和5年度の概算要求を提出

文部科学省の、令和5(2023)年度の概算要求が公表されました。

概算要求とは…

概算要求とは、予算を所管する財務省に対して、各省庁が次年度の政策を実行するために必要な大まかな予算を要望すること。
毎年、8月末までに財務省へ提出する決まりとなっています。
その名の通り、この時点で予算額が決定するわけではありません。
この後、財務省による査定や政治との折衝などを経て
政府予算の原案が作られ、それが閣議決定されると、年明けの通常国会に提出されて可決・成立…という経過をたどります。
ただ、概算要求の段階でも、主要事項や事項ごとの予算額、前年の額との比較などから、日本の教育行政が今見据えている未来像を読み解くことができます。

教育関係の概算要求の中で、『不登校』(この言葉の是非は、ひとまず置いておいて)や『多様な学び』『公教育の変革』といった観点から主だった内容をピックアップしてみると…

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【個別最適な学びと協働的な学びの実現】

▷教師等の指導体制の充実と働き方改革の推進
・小学校における35人学級や高学年の教科担任制の推進…1兆5,108億円(前年は1兆5,015億円)
・学校における働き方改革の推進のための支援スタッフの充実…318億円(前年は201億円)

▷教師の研修体制の充実
・『新たな教師の学び』を支える研修体制の構築…46億円(前年は14億円)

▷GIGAスクール構想の着実な推進と学校DXの加速
・運営支援センターの機能強化、学校DXに向けた先進事例創出・展開等…111億円(前年は14億円)
・次世代の校務デジタル化の推進…10億円(新規 ※前年度予算なし)
・小中学校等における学習者用デジタル教科書普及促進…23億円(前年は同額)
・デジタル教科書・デジタル教材等活用のための通信環境調査研究…6億円(新規)
・教育DXを支える基盤的ツールの整備・活用、教育データの分析の推進等…12億円(前年は5億円)

▷幼児期及び幼保小接続期の教育の質的向上
・『幼保小の架け橋プログラム』の実施、質を支える体制整備の支援…58億円(前年は25億円)

▷新時代に対応した高等学校改革の推進
・普通科改革支援、職業教育の充実…6億円(前年は5億円)

▷道徳教育の充実
・道徳教育の抜本的改善・充実等…42億円(前年と同額)

【誰もが学ぶことができる機会の保障】

▷教育相談体制等の充実によるいじめ、不登校対策等の推進
・スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、SNS等を活用した相談体制の充実、自殺対策、不登校対策等の推進(不登校特例校の設置促進等)…105億円(前年は80億円)

▷生涯を通じた障害者の学びの促進、特異な才能のある児童生徒への支援
・切れ目ない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実等…51億円(前年は35億円)
・大学等や学校卒業後における障害者の学びの支援の促進…2億円(前年と同額)
・特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進…1億円(新規)

▷コミュニティ・スクールと地域学校協働活動との一体的推進等による地域や家庭の教育力の向上や体験活動の充実、学校安全体制の整備の推進
・学校を核とした地域力強化、社会教育施設の機能強化による地域の教育力向上等(学校における働き方改革・地域による学習支援/家庭教育支援/体験活動/読書活動の機会の確保/公民館・図書館等のDXの推進等)…114億円(前年は76億円)

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予算規模の大きさを見ると
・先生たちの労働環境改善から、教育全体の底上げを図る
・GIGAスクール構想に基づくデジタル化の推進に、引き続き力を入れる
・『幼保小架け橋プログラム』が、実行段階に移行する
・不登校対策等に、100億円規模の予算を投じる予定
ーーといった方針が分かります。

これらの要望事項の具体的な内容や、ここには挙げきれなかった注目の要望事項もあるので、今後発信していきたいと思います。
特に、『不登校』や『多様な学び』『学校外の学び』といったキーワードに個人的に関心があるので、これから調べていくつもりです。

現場の先生や、学齢期のお子さんのお母さん・お父さんなど
公教育の今後に関心のある方々に、何らかの参考にしてもらえたら嬉しいです!


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