#394 飲食店の現場でマニュアルが果たすべき役割
飲食店で働くうえで、マニュアルは本当に必要なのか?この疑問は、同業者との間で必ずと言ってよいほど議論になります。マニュアルには「誰かにやらされている」という感覚がある一方で、必要な場面があることも事実です。しかし、僕の立場から言わせてもらうと、マニュアルに頼りすぎることで、本質的な問題を見逃してしまう危険性があると考えています。
#マニュアル
マニュアルが生む危険な罠
飲食店においてマニュアルが求められる理由の一つは、仕事を自分で考えて動くことを嫌がるスタッフが一定数存在するからです。彼らに対して、マニュアルやルールを設定することで業務をある程度のレベルでこなすことができますが、その過程で彼らの成長を阻害する可能性があります。たとえば、業務の「オートメーション化」が進むと、マニュアル通りに動くことが目的になってしまうことがあります。これでは、仕事の本来の目的が失われる可能性が高いです。
#それならロボットと変わらない
マニュアルのメリットと反省
僕も店長を務めた経験があるので、マニュアルの必要性について常日頃から考えていました。店長業務はとにかく多忙で、現場での営業や社員教育など、多岐にわたるタスクに追われる日々でした。その中で、マニュアルがあることで、効率的に業務を進められる場面が確かにありました。しかし、振り返ってみると、スタッフたちにもっと「自分たちが何のために仕事をしているのか」という目的意識を持たせることができていれば、マニュアルに頼らずともスムーズに仕事ができたのではないかと思います。
#反省
マニュアルの本質的な役割とその限界
「マニュアル化」という言葉を使うとき、その目的は大きく分けて2つあります。対外的なもの、つまりお客様に対する接客マニュアルと、スタッフ向けの業務マニュアルです。今回は、接客に関するマニュアルについてお話しします。
僕が接客をマニュアル化する際に気をつけていたポイントは次の通りです。
①スタッフがミスをしないで済むようにする
②具体的な内容よりもタイミングを重視する
③お客様に伝えたいことの結論を統一する
④自発的に動くのではなく、動かざるを得ない仕組みを作る
この中で特に重要だと考えるのは、1つ目の「スタッフがミスをしないで済むようにする」ことです。これは、マニュアル化の根幹をなす部分であり、トラブルを未然に防ぐための仕組み作りが非常に大切です。
#マニュアルの役割
マニュアルの本当の目的
僕が考えるマニュアルの最大の目的は「トラブルの未然防止」です。たとえば、お客様からのクレームを分析し、同じトラブルが再び起こらないように対策を立てる。その過程で、説明のタイミングや言葉遣い、ニュアンスを細かく設定し、それをマニュアルに落とし込むことが重要です。
スタッフにとって、仕事で最もストレスとなるのは「お客様に怒られること」です。怒られることが恐怖となり、仕事が嫌になることすらあります。だからこそ、マニュアルを通じてミスを防ぎ、スタッフが安心して働ける環境を作ることが必要です。これにより、個々のスタッフが持つ強みを最大限に活かした接客が可能となります。
#トラブルの未然防止
持続的改善の重要性
スタッフがミスをし、お客様に怒られた場合、それはスタッフ個人の問題ではなく、経営陣がそのような状況を作り出したことへの責任を反省すべきだと思います。マニュアルは、失敗を未然に防ぐためのツールであり、その作成には経営陣の持続的な努力が求められます。
そのためのアクションプランとして、以下のようなステップをお勧めします。
①定期的なレビュー
マニュアルが実際の業務に適合しているか、定期的にチェックし、必要に応じて更新します。
②スタッフからのフィードバック
現場で働くスタッフから意見を聞き、マニュアルの改良点を見つける。
③トラブル発生時の迅速な対応
トラブルが発生した場合、その原因を分析し、マニュアルに反映させる。
④目的意識の共有
スタッフが自分たちの仕事の目的を理解できるよう、定期的に目的意識を再確認する場を設ける。
#ヒューマンエラーじゃなくシステムエラーだ
終わりに
飲食店におけるマニュアルの役割は重要ですが、それに頼りすぎるとスタッフの成長が鈍化する危険性があります。マニュアルはあくまでトラブルを防ぐためのツールであり、スタッフがプロ意識を持ち、自らの仕事に目的意識を持って取り組むことが最も大切です。マニュアルがなくても、サービスの品質を保つことができる環境を作り出すことが、飲食店の真の成功につながると僕は考えています。
#プロの世界
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