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花に嵐の映画もあるぞ(邦画編)。

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わたしの好きな映画を、「褒めること」意識してつらつら書いていきます。 取り上げる映画は、時にニッチだったり、一昔前だったりしますが、 そこは「古いやつでござんす」と許して、ご容赦… もっと読む
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#フランス映画

映画「そして友よ、静かに死ね」_裏切られた友情、返答は一発の銃弾。

「友情」とは何だろうか?  橘玲は「人生は攻略できる」で記している。友情でつながるのは、お互いに友だちと呼び合う関係でも20人を超えることはなく、イツメン(いつものメンバー)がせいぜい5~7人と希少、まして親友といえば1・2人しかない、値段がつけられないプライスレスな存在であると。 何者にも変え難い存在である「しんゆう」。 では・・・彼に裏切られた時、じぶんは何ができる?  その答えが、本作にある。 “リヨンの男たち”と呼ばれ、一時代を築いていたギャングのモモンとセルジュ

1953年銀獅子賞受賞作「嘆きのテレーズ」…最高だよ、ママン。

この映画は、(二次元の)人妻好きの日本男児に、オススメしたい。 味吉良子、早瀬絹枝、春麗、ブルマ、ホリィさん、雪代巴、うちはサクラ(BORUTO時代)etc. 病弱でマザコンの夫カミーユと、 息子を溺愛している姑のラカン夫人と暮らしているテレーズ(演:シモーヌ・シニョレ)。 ある日、リヨン駅で貨物点検の仕事をしていたカミーユが、イタリア人のトラック運転手ローランと 知り合い、意気投合。酒に酔い潰れ、ローマンに抱えられて帰宅した。 ラカン家では、毎週決まって木曜日に、友人を

1988年金獅子賞受賞作「聖なる酔っぱらいの伝説」_パリのショート・ショート。

パリ・セーヌ川の橋の下でホームレスとして暮らすアンドレアスはある日、不思議な紳士と出会い、彼から200フランの金を与えられる。…ただし、日曜日の朝に聖テレーズ像のある教会でミサの後に金を返すという条件が付いていた。 上に挙げるトレイラーが、そのやり取りの部分にあるのだが、ベレー帽を被った方、アンドレアスに注目してほしい。 強い意志や憎悪といったものとは無縁な、人生の困難にこれまで真向からぶつかったことのない、偶然に身を任せてこれまで生きてきた 顔をしている。 それは「無欲

1987年金獅子賞受賞作「さよなら子供たち」_忘れられない、心の疵。

ひと昔前のフランス映画を彩った監督たちの心には、 ナチス占領時代の闇が、深く影を落としている。 長じて、彼らはその闇をフィルムに焼き付けた。 「禁じられた遊び」のルネ・クレマン。 「海の沈黙」「影の軍隊」のジャン・ピエール・メルヴィル。 ヌーヴェルヴァーグ騎手のひとり、ルイ・マルもその一人だ。 ヌーヴェルヴァーグに勢いがあった60年代は、 「死刑台のエレベーター」(58年)「地下鉄のザジ」(60年)など、流麗な映像美に乗せたスピード感あるサスペンスやラブストーリーを連打した

名前からしてカッコいい男、誰もが憧れた伊達男_ジャン・ギャバン 主演作5本だて。

戦前戦後に、フランスの名優ジャン・ギャバンは、日本人の恋人 だった。 名前からして、威厳と貫禄を感じさせる男だ。 彼が演じ続けたのは一般市民ではない、根っからのアウトローばかりだった。 悪事を働いて、アパルトマンの屋根裏部屋に逃げ込むイメージ。以後、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード に引き継がれる系譜。 きりっとしているわけでもないのに、ちょっと脱力感のある役でもかっこいい。ノスタルジックな味もある、ニューマンやレッドフォード同様にスタイリッシュな役者。 今回

旅の終わり、夢の果て。ほろ苦いフランス映画「冒険者たち」。

「今すぐここから抜け出したい」という高望み。 動機は何が良いだろう。「宝探し」 はどうだろうか。 遠い噂に聞いた、南の海の宝探し。夢破れた男二人と女一人が、その冒険に乗り出した。ワクワクするはなしだ、最後は、かなしいけども。 青春の鎮魂歌とも言うべきロベール・アンリコ監督の永遠の名作が、ニュープリント・マスター版で登場。パイロットのマヌー(アラン・ドロン)、彫刻家のレティシア(ジョアンナ・シムカス)、レーサーのローラン(リノ・ヴァンチュラ)は互いを助けながら、それぞれの違

地獄へ、道連れ。みんな、道連れ。それがフランス映画の古典「恐怖の報酬」。

本作は第6回カンヌ国際映画祭にてグランプリを受賞している。 ※あらすじ・スタッフ・キャストはこちら↓ ベネズエラの油田で火事が発生。消火にニトロを使うことになり、食い詰めた4人の男が金欲しさに志願する。少しの振動でも大爆発だからトラックでの山道運搬は死と隣り合わせ。ゆっくりとやがて怒涛の如くドラマティックになる展開は観客を画面の中に引きずり込む。クルーゾー監督は男の友情を中心に人間そのものを描き、フランス映画の良さを見せてくれる。モンタンを第1級映画スターへと押し上げ、ハ

フランス映画「グッバイ・サマー」…忘れられない、キミとの夏休み。

まず目を引くのは、このデカブツだろう。 (公式サイト TOPページから引用) なるほど、これは突拍子もない「夢の車」。ハタからみれば「変わった子」同士のテオとダニエルとが出会う。 二人は、自分たちで作った「夢の車」で旅に出る。 それは、一軒家がにょっきり脚に車輪を生やしたすがた。 車の中で食事を作り、寝泊まりできるだけではない。 パトカーの接近を知るや、道路の脇に寄せて車輪をフタで隠すだけで、「タダの小屋」に擬態し、通り過ぎるのを待つことができる、優れものだ。 『こ