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息を止め潜った先の4センチ込めた力が抜け、吹き、溶けてく

遅くなりました。
本番が終わって落ち着いたから、急に家を整えたい時期に突入し、いそいそと百均へ行って収納ボックスを爆買いし、洗面所の収納をリニューアルしたりしてました。あと、ドラマをたくさんみました。

この前のクリエーションで、水に潜ってるみたいな感じがする〜って話が出ましたよね。昨日、友達と、柿崎麻莉子さんのGagaクラスを受けてきて、終わった時この前の涌田さんのコーナーとかなり似た身体感覚になりました。プール後の感じ!
http://a-tanz.com/contemporary-dance/2022/10/14103435
1時間ずっと動き続けます。止めないことが大事らしい。
遠くから来る風にヒューっと吹かれるとか、「イヤイヤ」している子供になりきってみるとか、足と手をテープで貼り付けられたみたいになっても肋骨や骨盤や膝関節で踊ってみるとか、関節に油を差されすぎたみたいにツルツル滑って・・・・・とか。イメージを膨らませながら動くおもろさでした。
柿崎さんは英語と日本語でナビゲーションしてくれて、大体同じ情報量なんですが、途中で「Surprise yourself」という言葉だけ日本語では説明されませんでした。「自分を驚かせて」って日本語で言うとあまりしっくりこないけどめちゃ大事そうな気がして印象に残りました。


息を止め潜った先の4センチ


2023.9.24 石原朋香

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最近たまたま地下空間(金沢市の石黒ビル(9月22日)と、歌舞伎町の王城ビル(9月30日))で歌う機会が続いた。そういう場所は、やっぱり普段暮らしていたり何かを見聞きしに行ったりする時の一般的な感覚からすれば、そりゃあ変な空間である。何も整っていない。かろうじて電気があるとか、空調が微妙にあるとかないとか、するにせよ、まず到底快適ではないし、音もやたらに響く。個性の強い場所というのには、その空間に負けずに、むしろその空間を活かしてどれだけやれるか?が試されるようなスリルがある。わたしはそういう場所での演奏はすごく好きだ。しかし、こういう特別っぽいことでさえ、続けていくとだんだん「ああ、このパターンね」になってくる。
これまで演奏したなかで一番やばかった残響空間は、石原さんも「かさねぎリストバンド」の一員として一緒に行った、新潟の内の倉ダム内部だ。あれに勝る音響的特徴をもつ場所には今後もそうそう出会えないと思う。なんせ残響が、1分弱だっけ、ものすごい長さ持続するのだ。会話もままならないほど。

しかし、それでも、ああいう空間というのはおおむね似てくるもんだ、というのがわかってきた。コンクリートで出来ていて、カビ臭くて、湿度が高い。楽器にとっては絶望的に悪い環境だ。しかし人体は案外丈夫なので度々、各所で「やってみよう」ということになる。
プールやスーパー銭湯なんかも、コンクリやタイルでできた音のよく響く空間として、個人的な感覚としては、地下室やダムと親しい、延長線上にある。(元・銭湯だったという北千住のBUoYも思い起こされる。)そういう場所の近くにあるのが、水だなあ、と、ぼんやりそう思いながらこれを書いている。
金沢の地下で行ったライブの前日は雨だった。そのビルはもともと音楽をやる場所ではないため、自前の音響機材を前日のうちに持ち込んでセッティングをしておくことになったのだが、搬入と一番最初のチェックが終わった段階で、横殴りの雨が降った。ビルの入り口に大きな水溜まりができたし、ただでさえ高かった湿度は異様なまでに上がった。その感じで音を調整して、一晩あけて、また次の日の午後(晴れた)に改めて音を出すと、なんだか少し様子が違っていた。音響を担当してくださったKさんは「湿度でけっこう変わりますねえ〜」と楽しそうに調整していた。我々としてもけっこう、空気の重さのようなものが違うのを肌で感じた。楽器のコンディションも違っていたと思うし、確実に自分達の体の状態も昨日とは違った。多少下がったとはいえ湿度はバカほど高く、1時間弱のライブで、わたしは顔が、これまで体験したことがないくらい汗でびしょびしょになった。

いい悪いではなくて、そういう、扱いきれない(絶対に屈せざるをえない)大きな要素がそこにある、というのはけっこう、学びをくれる。あるもので、できることで今やれることをやるしかない、というのは、何かを作ることにおいて基本中の基本でありながら、かなり応用編でもあると思う。ないものを手に入れ、できなかったことをできるようになる!ということもすごく必要だけど、最近は「ないならないまま、ないなりに」というスタンスで、応用編みたいなことをたくさんやっていて、自分の人生の良い時代、という気がしています。そのうち、今より良い楽器を新調したりとかして、また違う時代に入っていくんだろうなあと薄々感じながら。

PS:関係ないけど、素人が短歌とか俳句を素朴に改行したり1文字開けしたりしてしまうのって、伊藤園のお〜いお茶のパッケージに載っている俳句賞のせいなんじゃないかと今日おもいました。(あれは、5、7、5ごとに改行されて枠内に収まるようにしてある)


息を止め潜った先の4センチ
込めた力が抜け、吹き、溶けてく


2023.10.06 田上碧


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涌田悠企画 新作公演
《じっくりとみんなでつくる短歌deダンス》vol.2
短歌を詠むダンサー・振付家 涌田悠×ヴォーカリスト 田上碧×俳優 石原朋香
『ヤッホー、跳べば着く星』
2024.3/22(金)‐3/24(日)@水性(東京都・中野)
公演詳細はこちら🕊️

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