見出し画像

発達障害といじめ(小学校編②)

先日、『発達障害といじめ(小学校編①)』で、低学年児童のいじめの対応について、ご紹介させて頂きました。

今回は、小学校高学年の児童について書かせて頂きたいと思います。もう何年も前のことですが、教訓として深く心に残った出来事でした(※本名にちかい仮名にし、行政・学校・個人を特定できないようにしています)。

私は、スクールカウンセラーとしてある小学校に赴任しました。赴任してすぐに学校から、いじめを受けている児童について相談がありました。その児童は、6年生の女児Aさんでした。Aさんは、アスペルガー症候群の診断(現自閉症スペクトラム障害)がありました。

勉強もよくでき、利発的で笑顔が可愛いAさんでしたが、マイペースで、悪気なく思ったことをズバズバ言ってしまうタイプでした。そのため、Aさんは4年生頃からいじめを受けていました。

一人でいることが多かったAさんですが、あまり気にしている様子は見られず、また、空気を読むことが苦手な特性からか、周りの児童が避けている場面でも、気にせず輪にはいっていきました。

そんなAさんですが、男子から直接、悪口を言われると、負けじと言い返すものの、その場ですぐ泣いていました。階段の途中でも、踊り場でも、教室の床でも、スカートの裾がめくれて下着が丸見えの状態でも気にすることなく、体全身で突っ伏して、大声で泣く姿が頻繁に見られました。

新年度が始まってすぐ、Aさんのご両親から担任に、いじめについて相談したいと申し出がありました。しかし、学校も重要視していたため、校長、副校長、主任、担任、養護教諭、スクールカウンセラー(私)と大人数での参加となりました。

面談でのご両親の意向は、
①保護者会で、Aさんの障害名を伝えたい(子どもを理解してほしい)。
②保護者会に参加した母親が、子どもにいじめを止めるように説得を希望。
といった内容でした。

私としては、正直、そんなに上手くいくとは思えませんでしたが・・(;´Д`)最終的に、校長がご両親の意向を尊重し、結果、保護者会で母親が説明をすることとなりました。

後日、保護者会の様子を聞いたところ・・・・Aさんのお母さんが、涙ながらにAさんの診断名と特性を伝え、いじめについて理解を求めたところ、約9割の保護者から、Aさんが泣くことによって授業が妨害されていると、逆に非難が挙がったそうです。その後、Aさんは転校されました。

私は”金八先生”を観て育った世代です。
心のどこかで、『話し合いは、良き結果をもたらす』という考えがあったと思います。しかし、今回のことで『ドラマみたいには上手くいかないんだ』と心にズシリと衝撃が走りました。Aさんや、ご両親はもっともっと辛かったと思います。

私はスクールカウンセラーとして、役に立てなかった申し訳なさに加え、
①保護者は皆、自分の子どもが大切。
②人によって、発達障害やいじめの理解が違う。
といった当たり前の視点を思い知らされました。理解がある保護者会も沢山あるとは思いますが、基本的に保護者会では、今回のようなデリケートな話題は、扱わない方が良いと思います。

小学校高学年のいじめは、周りに理解を求める『環境調整』だけにとどまらず、いじめられている本人に、『適切な行動を伝えていく』ことが、とても大切になってきます。いじめられている本人が、悪いといってるのではなく、それが、その子の『生きていく力』になるのです。

不安を煽る記事になってしまったら、ごめんなさい。m(_)m




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?