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建物の特徴

リフォームする上で、建物の特徴、特に、良いところと悪いところを把握することは、プランに取り掛かる上で重要な作業になる。建物の特徴を捉えた上で、活かすものは活かして変えるべきものは変えることがリフォームの醍醐味であると同時に、既存を無視したドラスティックな変更は当然コストアップに繋がってしまい、既存物件を再利用するメリットが薄れてくるからだ。

ホームインスペクションは、建物のコンディションの中でもどちらかというと問題のある部分に焦点を当て状況把握するものなので、建物をできるだけ手を入れずにそのまま使いたい場合にこそ重要になってくる。大規模にフルリフォームする場合、手を入れる部分の現状は重要ではないので、むしろ、その建物の良いところ悪いところ=活かしたいところ変えたいところをはっきりさせて、イメージしている改装が実現可能かどうか、建物の特徴がそれらイメージにフィットしてくるのかどうかを考えた方が良いと思う。

建物登記をみると、購入した古民家は板葺きの蚕室として建てられ、ある時期から瓦葺きの住宅に用途が変わっている。実際、水回り(キッチン/風呂/トイレ)は全て下屋として母屋に付加され、母屋はシンメトリーでシンプルなラーメン構造。ほとんどの部屋が襖と障子で仕切られていて、南面と北面にはかなり数の開口が並んでいた。これらの特徴は蚕室造りの典型であることから、購入物件は母屋の構造を組み換えるような改修はなされず、古い構造はそのまま引き継いでいるということになる。また、建物を支える梁は見事な大きさで梁せいは1尺(=38cm)程もあり、構造に限らず、根太組みや板張り、枠組みに使われている木という木は現代の建築に使われている材よりもずっと立派なもので、こんなに大きな無垢の木を建物に使うことは今ではまず難しい。さらに、建具や残置物にも古くてあじのあるものがたくさんあり、それらは新しく造られるもの以上の魅力が感じられた。

結果、これらの特徴を活かすリフォームの方向性は以下となった。

・開放的で大きな空間構成
・南面の大きな窓
・既存木部を活かした意匠
・既存部材、残置物の活用

根本的に改良したいと感じたところは

・狭い玄関/階段/風呂場
・低い天井
・すきま風
・多過ぎる開口部

となった。

まずは建物を実測し、白図を起こします。図面化することで、建物の現状を俯瞰して客観的に把握することができるようになります。
そして、これら方向性と先に設定したコンセプトを白図に落し込んでいくことからプランニングが始まっていきます。

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