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アニメで知ったイギリスの成り立ち「ヴィンランド・サガ」

イギリスというと誰もが知ってる歴史もあって
イギリス王室もある日本人にも馴染みのある国ですよね。

私もスコットランドやウェールズ、北アイルランドとイングランドの
連合国というのを知っていましたが、
もともとどんな経緯で4つの地域が違うのか
私は全く知りませんでした。

でも最近ネットフリックスで「ヴィンランド・サガ」という
アニメをきっかけに

もともとの4つ地域の違い
歴史で習ったゲルマン人の大移動やノルマン人の大移動が
実際どんな感じのもので、どんな影響があったのか
知ることができたので、シェアしたいと思います。

「こんな感じだったのかぁ」と実感的に知るのには
アニメを観るのが、おススメです。

ノルマン人の大移動の時代を描いた「ヴィンランド・サガ」

「ヴィンランド・サガ」は
11世紀の北欧とブリテン島(イギリス)を舞台にしたアニメで、
9-11世紀の第2次ゲルマン人の大移動と言われる、
ノルマン人の移動期にあたります。

ノルマン人はスカンジナビア半島やユトランド半島にいた
ゲルマン系で海賊や交易も兼ねて
海上移動がさかんに行っていた人たちで
これらまとめてノルマン人の移動と呼んでいます。

この時期、ノルマン人たちは

イングランドにノルマン王朝やデーン朝を作る。
・アイスランド、グリーンランド、アメリカ大陸到達する。
・のちのロシア国家の元を作る
とかなり広範囲に活動的です。

ノルマン人の大移動と言っても団体で歩いてくるだけでなく、
海賊だったり、新天地を求めて海上を移動しています。
アニメを観ると当時の中世の北欧イギリスの様子が
生き生きと描かれ、とても興味深いですよ。

アニメなのでフィクションではありますが、
実際に調べてみるとアニメのベースになっている時代背景が
イメージしやすく描かれているのがよくわかります。

こうなるとややこしい歴史もより楽しくなります。

クヌート王 Epic Dopeさんからお借りしています

ここからは、ヴィンランド・サガを楽しむ上で役立つ、
イギリス(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)、
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国を形成する、
4つの地域(ウェールズ、イングランド、スコットランド、アイルランド)の中世の成り立ち
をまとめてみました。

アニメに出てくる、11世紀にイギリスにデーン朝を作った
デンマーク王クヌートの時代のイギリス

簡単に振り返る私の備忘録でもあるので、
アニメやイギリス、歴史に興味のある方はお付き合いくださいね。

ブリテン島に渡って来たケルト人 
BC7世紀

紀元前7世紀ごろに鉄器文明を持つケルト人が大陸から
ブリテン島やアイルランド島にやってきて定着していきます。

ブリテン島でさまざまなケルト人部族の中で有力だったのが、
ブリトゥン人と呼ばれる部族で、
ローマ人はこの島をブリトニアと呼ぶようになります。

ローマ帝国の侵攻 BC43年-409年

前55年と前54年にはあのローマのカエサルがブリトニアに
出兵してきますが、征服はできませんでした。

そして、BC43年には遂にブリトニアはローマの属州になります。

属州ブリトニアではローマ人による都市が建設され、
その州都として建設されたのが、テムズ川沿いのロンディニウム。
ロンディニウムが現在のロンドンと言われています。

    ローマ人がイギリスを征服し、
    ロンドンを造ったっていうのはビックリですね。

この時期にローマ人兵士や家族などの入植者だけでなく、
ブリトゥン人との婚姻などローマ人とブリトゥン人の同化も進みます。
そしてローマ・ブリトゥン文化という
ローマとケルト系の文化や習慣の融合した文化
が育ちます。

とは言え、ブリタニアではローマ人入植者への反発、反乱
大陸では活発化するゲルマン人勢力の対応で手いっぱいで、
ローマ帝国は遂に409年辺境の地ブリタニアの属州を放棄します。

1.ゲルマン人の大移動とウェールズ 5世紀

5世紀頃に大陸のゲルマン人の大移動が始まり、
ローマ帝国がブリタニアの属州を放棄した中、
アングロ・サクソン系のゲルマン人がブリテン島にもやってきます。

そして当然ながら、対立、戦乱となります。

この時期、アングロ・サクソン人の侵攻と戦った
ブリトゥン人の英雄の物語がアーサー王伝説

こうしたアングロ・サクソン人に圧迫される状態で
ローマ・ブリトゥン文化を持つブリトゥン人が逃げたのが、

西の高原地帯のウェールズや大陸の
現在のフランスのブルターニュ地方(ブリトゥン人の地)でした。

※ブルターニュ―(ブリテン)と区別する意味で
ブリテン島の方をグレートブリテンと呼ぶようになります。

ウェールズの国旗 ウェールズの象徴である「赤い竜(Red Dragon)」
ご近所にもこの旗を揚げるお宅がいますが、ウェールズの方だったんですね。

2.アングル人の土地 =England 6世紀

アングロサクソン系がブリテン島で移住・征服活動が進めると同時に
ケルト系とアングロサクソン系の同化も対立も進んでいきます。

そして6世紀末にはアングロサクソン系が、
ブリテン島の東南部から中部を占領するようになり、
そこは「アングル人の土地 Angle-land」を意味する
「イングランド England」
と言われるようになります。

  ここでイングランドが出てきましたね。

つまり、ロンドンを中心とするイングランドは、
それまでのケルト系住民のブリトゥン人をウェールズに追い込んで
ブリテン島東中南部を支配したアングロサクソン系の国家なんですね。

イングランドの守護聖人 聖ジョージ旗

3.ブリテン島北部のスコットランド

ブリテン島の北部はローマ時代にはカレドニアと言われ、
ピクト人(ケルト系)がいました。
ブリテン島南部のブリタニアのようにローマの支配にはならず、
ローマ領にしばしば侵攻もしています。

6世紀頃なるとアイルランドの北東部海岸地方にいたゲール人
(ケルト系)の一派のスコット人がブリテン島西海岸に現れるようになり、やがてスコット人は同じケルト系のピクト人とともに
ブリテン島北部に定住するようになります。

その後その地でスコット人は勢力を強め、9世紀にはスコットランドと呼ばれるようになります。
そして11世紀頃までに統合が進み、スコットランド王国が形成されます。

スコットランドの守護聖人 聖アンドリュー旗

4.アイルランドのゲール人

前5世紀頃、アイルランドにケルト人が移動し、移住を始めます。

大ブリテン島のケルト人ブリトゥン人に対して
アイルランドのケルト人は自らをゲール人(ケルト系)と名乗ります。

アイルランドはローマ帝国に支配されることはありませんでしたが、
ブリテン島で4世紀にキリスト教が根付いたように
アイルランドでも5世紀にはキリス教が伝わり、
キリスト教化が進んでいきます。
  
   ※現在もアイルランドはカソリック教国ですよね。

6世紀になるとアイルランド北東部海岸地方にいたゲール人の一派のスコティッシュ(スコット人)が、ブリテン島に渡ってピクト人(ケルト系)と
スコットランドを築いていくことは、スコットランドで書いた通りです。

北アイルランドの守護聖人 聖パトリック旗

ここまで来てお気づきの方のいると思いますが、
イングランド以外の3つの地域の元を辿って荒っぽく言うと
ケルト系(ブリトゥン人、ゲール人、スコット人)の国と言えますね。

1801年にできたイギリスの国旗は実はこの3つの国旗でできています。
次期イングランド国王が「Prince of wales」を継承するウェールズは
歴史的にもの3国とは違った関係にあり、ウェールズはユニオンジャックに含まれていません。

ニッセイ基礎研究所
ニッセイ基礎研究所さんからお借りしてます。詳しくはリンクを見てくださいね。

「ヴィンランド・サガ」から見えるノルマン人の大移動の時代とは

とにかく、略奪、戦争、殺戮、
ある日突然、村や町を襲撃され、財産を失い、
支配され、暴力を受け、奴隷になる、
そんな時代です。

ブリテン島では
ケルト系、ローマ系、アングロサクソン系、ノルマン系に限らず、
いろいろな文化や言葉を持つものがさまざまな理由で移り住み、
入り乱れ、同化しながら、時には協調や対立しながら、
生きのびることに必死です。

王とて部下に十分な報酬を保証できなければ、
見限られるし、権力を狙うものもいれば、復讐を誓うものもいて
決して安泰ではありません。

村や敵を襲撃して、戦利品を報酬として持ち帰り、
そこにあった他人の財産や土地、人までも奴隷として
手に入れることが当たり前の時代ですから、
憎しみの連鎖は途切れることはなく、
奪われた側は生きる希望を失ってしまいそうです。

そんな悲惨で残酷な支配し支配される歴史を
ヨーロッパ諸国ではずっと昔から当たり前に
繰り返し繰り返し続けていたことに改めて驚きます。

現在に通じるものを感じずにいられません。

幸い日本は日本国内で他民族に土地を奪われ、
他民族に支配され、抑圧された経験はありません。
残念ながら他国で日本がしたことはあっても。

考えてみれば日本人は例外的にラッキーでした。

このヴィンランド・サガを観ると
いかにヨーロッパが戦争ばっかりなのか、
武力では争いの解決にはならいないこと、
今ある幸せを
を考えさせられます。

アニメをきっかけに歴史を楽しむ

こんな風にアニメをきっかけに歴史を調べてみると
あんなにややこしいヨーロッパの歴史も
部分的に切り取ればわかりやすいし、
アニメでさらっと流している背景もよくわかります。

こうした歴史ものアニメを観ると原作者の知識量の凄さや
よくこんな展開やセリフが思いつくなぁ、と感心します。

もちろんフィクションなので歴史としてマルっと
信じることはできませんが、当時を想像する楽しみの
ヒントになることは間違いありません。

私はまだ3部の完結編は観てませんが、
ヴィンランド・サガ、おススメです。

参考WEB サイト
https://www.y-history.net/
・ウキペディア
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=62993?site=nli







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