見出し画像

Apexのアップデートがあるたびに思うこと

Apexのシーズン12が始まりました。事前にファミ通からアップデート情報が出て、パッチノートが出て、多くのプレイヤーがtwitter上で様々なリアクションをしていました。アップデートがあるたびによくあるツイートについて、所感を書いてみます。

アップデート情報に含まれているもの

新シーズンのアップデート情報は主に以下の内容が含まれています。
・キャラクターの調整/追加
・武器の調整/追加
・マップの調整/追加
・ゲームモードの調整/追加
・バグの修正
「シーズンが変わる」ということは「ゲームに変化をもたらす」ということであり、シーズンの開幕にはプレイヤー人口も大きく増加します。
Steamのアクティブ数を見る限り、シーズン12の開幕日は過去最高のアクティブ数になっており、注目度の高さが伺えます。

新シーズンのアップデート情報が出た時によくあるつぶやき

アップデート情報を確認したプレイヤーは、twitterで以下の内容をつぶやきがちです。
・武器のバランス調整がイマイチ!
・よく使っている武器が使えなくなった!
・キャラクターのバランス調整がイマイチ!
・このマップ嫌い!前のシーズンのマップがやりたい!
・こんなバランスが悪いシーズン最悪だ!

圧倒的に「バランス調整が適切ではない」というつぶやきが多いように感じます。

新シーズンのアップデートで運営がやりたいこと

「あなたが新シーズンのアップデート担当になった場合、どのようなアップデート内容にしますか?」と問われた時に、どう回答しますでしょうか。

まず、アップデートをする目的は何でしょうか。
1. 新規プレイヤーを増やすこと
2. 既存プレイヤーに継続してプレイし続けてもらうこと
が挙げられると思います。
「どのようなアップデート内容にするか」を考えるということは、「どのようにしたら人気が出るゲームになるのか」を考えることになります。
1の新規プレイヤーを増やすには、話題性や盛り上がりが大切になってきます。2の既存プレイヤーに継続してプレイし続けてもらうには、いかに飽きさせないかが大切になってきます(既存プレイヤーは自然に飽きて辞めていくものです)。
「バランス調整が最適なゲーム」は良いゲームだと思いますが、前のシーズンと同じ武器を使い、バランスの取れた前と同じマップを使いゲームをする新シーズンは、話題性に欠け、新鮮味に欠け、飽きやすいゲームと言えます。
ゲームを楽しむ上で、バランスが良いことは大事なことですが、バランスを良くすることは「プレイヤーを増やす」という目的のための、手段の一部に過ぎないのです
普段使いの武器が今まで通り使えることでマンネリを感じて自然と減っていく人口と、普段使いの武器を使えなくすることで、拒絶して離脱する人口及び他の武器を使う体験が生まれ、ずるずるとゲームを続けてしまう延命される人口を天秤にかけ、ゲーム体験をアップデートしていくことが、ゲームのアップデートの基本的な考え方かと思います。
このアップデートによって「バランスが良くなるのか?」という観点ではなく「ゲーム体験をアップデートするのか?」という観点で見ると、アップデートの意図が分かると思います。

(小噺)プロゲーマーが開発に入った方がいいのでは?

「プロゲーマーが開発に入ったら良いゲームができるのでは?」という話がよく言われます。
アップデートに関するディスカッションを運営とプロゲーマーの間で行うということは現在よく行われていると思います。しかしプロゲーマーの意見はすべて受け入れられることなく、「こう言ったのに(怒)!」っという意見を無視されたアップデートになることもよくあります
落ち着いて考えてみると、プロゲーマーは「ゲームを上手にプレイすることができる人」「ゲーム内の攻略に精通した人」であって、「どうやったら人気が出るか優れた案を出せる人」ではないです。プロゲーマーに意見を聞くとバランスの良いゲームになる可能性は高いと思いますが、人気が出るかは別問題だと思います。
精通したゲーマー代表としてプロゲーマーからフィードバックを受けることは有意義だけど、話半分になってしまうのはそういった背景があると推察できます。

顧客の声に耳を傾けることと、その先を行くこと

Apexのシーズン12では、コントロールという新モードが追加されました。
半年前に「アップデートに何を追加してほしいですか?」と問われた時に「9vs9でCoDのドミネーションみたいな無限リスポーンのモードが欲しいです」と答えられたプレイヤーがどれだけいたでしょうか

ToC(大衆向け)のサービスを運営するにあたり、顧客の声を聞くことは大切なことです。しかし、顧客の声通りにしたら、ヒット作になるかは別です。
以前に新規アプリの開発をしていた時、正式リリース前に、一般の人を呼んで目の前でスマホを用いてアプリを使ってもらい、感想を聞く会を開きました。その際、その方の感想自体も記録して開発に反映するのですが、本当の狙いはそこではありませんでした。本当の狙いは、目の前で使ってもらっている時に、指の動きが止まった所や目線が行ったり来たりしていないかを観察し、言葉にはできない使いづらさを拾うことでした。
顧客の声は大事だけれど、それが全てではなく、本当に求めているものが何かを探し続けることが事業企画として必要なことかと思います。

スキやフォローしていただけるだけで嬉しいです!