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第9回 狂言のこと

皆様いかがお過ごしでしょうか?
オリンピックも終わり、パラリンピックが始まりました。
あいも変わらず気だるい暑さとなっておりますが、外に出るのが億劫になりますね。
そんな時は涼しい部屋などで動画鑑賞などいかがでしょうか?
今回からは「狂言のこと」となります。
解説は小西礼央委員。

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小西委員も一般のご家庭からこちらの世界に飛びこんで来られました。
個人的にですが言葉遣い、所作、報連相等かなりしっかりされていてなかなか衝撃を受けました。
こんな方が能楽の世界に入ってきて下さるなんてと感動もしましたね笑
今では養成会から若手能において芸事においても事務仕事等においても
戦力としてなくてはならない存在として活躍してくださっています。
以下小西委員から解説文をいただいております。



狂言を説明するにあたって、大きく3つの項目に分けて説明します。


・狂言は日本最古の喜劇である

「狂言」とは今から約700年近く前に生まれた、日本最古の「笑い」の劇です。
ただ一言に喜劇と言っても、漫才や某新喜劇のようなあからさまに笑いを取りに行くようなことはしません。物語を聞いていく内に「あ、私も似たような経験がある!」「いやいや、それはないでしょ〜」と、登場人物が自分自身に思えたり、身近のAさんBさんにみえてきます。そうしてふと笑いが溢れる、笑顔になれる。私はこれを「共感の笑い」と呼んでいます。
狂言を知るにあたっては、先ず笑わせ方にこういった違いがあることを知ってもらえればと思います。

・狂言は当時の人々の生活を描いた劇である

狂言は生きた歴史の教科書でもあります。当時の思想や職業、生活様式や流行など、700年前に生きていた我々の先祖が、日々どのようなことを考えて生きていたのか、日常生活の中で起こりうる喜怒哀楽を、「笑い」というツールで今を生きる皆様にお伝えしています。
主人の命令に対して思うところがある召使や、尊大な態度を取る山伏。はたまた雲の合間から落ちてきて腰を痛めた雷の精霊など、この場では言い尽くせないほどの個性的な役が狂言にはあります。
様々な演目を通して、「時代は変わっても人間の根本は700年たった今もそんなに変わってはおらず、人生生きていればいつも良いことばかりではない、でもそれをどう工夫するのかが人間の知恵である」ということを伝えているのかもしれません。

・狂言は対話を中心としたセリフ劇である

狂言では、大掛かりな舞台装置は一切用いず、言葉や仕草によって全てを表現します。
中でも一番特徴的なのが、当時の都で話されていた「都言葉(みやこことば)」をそのまま使っていることです。
これは今私たちが使っている現代語のベースになったものとも言われており、能と比べると比較的内容が分かりやすくて面白いと言われる理由ですね。劇中では、「二字目浮き三段起こし」という発声方法で、遠くの人にも明瞭に聞こえるように話しております。
また、能に比べて狂言の演技は、写実的な表現をするとよく言われます。確かに日常的なしぐさなどを取り入れ、わかりやすい親しみやすさはありますが、実はそれもすべて様式化された「型(かた)」によって演じられています。
こういった話し方や動きの背景には、当時の能舞台が野外にあったこと。舞台から遠い位置に身分の高い方が観劇していたことなど、当時の能楽を鑑賞する風景を垣間見ることができます。
まとめ
狂言をお楽しみいただくのに、理屈は必要ありません。
「こう見るのが正しい」というような決まりもなく、見ていて感じた通りに楽しむのが一番です。
しかしながら、狂言を演じるにあたっての決まり事や動き方の理由を知ればよりよく理解頂けると思います。
本動画では、基本的な動き方や声の出し方、小道具の扱い方といった入門的な話を中心に、最後は実際に狂言を1本ご覧いただく超お得セットになっております。是非、手にとってご覧になってください。

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人物紹介 小西委員について


以下、パーソナル情報です。
狂言の動画を一本の動画にまとめた結果、インタビュー部分が編集の都合上なくなっており、、、
大変申し訳ないので情報だけでもと思いこちらも文章いただきました!

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大倉流狂言方 小西 玲央(こにし れお)
1991年5月1日生まれ
大阪市立南高等学校 英語科  卒業
京都外国語大学 国際教養学科 

卒業学生時代は典型的な西洋かぶれ。「こんなつまらん国いてられるか!」と勢いだけで高校時代にイギリスへ留学。
憧れの海外の地でブイブイするぞと思いきや、現地の学生や教師から日本のことを教えてくれと言われて何も答えられず、大きなショックを受ける。
その後日本の文化を客観的に見るようになり、帰国して京都の大学へ。時代祭など日本の伝統文化に触れ、海外への憧れは保ちつつも「この国には良い文化がいくつもある」と意識を切り替える大きなきっかけとなった。就職活動中に大阪能楽養成会の一般公募の話が耳に入り試験に臨み、今日に至る。
学生生活を知る知人や講師からは総じて「どうしてそうなった!?」と必ず突っ込まれる。

実は編集している私も留学経験があり、外から見た日本、外から見た伝統という二つの貴重な視点を得ることができました。
就職活動中に養成会の公募を見て参加するというのはなかなかに肝が据わった行動だなと、、、(私には出来ないと思います)
そんな小西委員だからこその狂言の丁寧かつ熱意のある解説どうぞご覧ください。(実演もありますよ!)



若手能HP
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それではご覧下さい!!

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