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わかおの日記164

このところ全く日記も書かず、曲も作らず三味線の練習もしないという体たらくだったのだが、それはなぜかというと彼女ができたからである。

1年生の4月から全く大学の女子と口を利かずにいたぼくに彼女ができるというのは、ヤムチャが天下一武道会で1回戦を突破したときくらいありえない確率だ。

みなさんぼくが余りの孤独に耐えかねて発狂し、うわ言を言っているように思うかもしれないがこれは事実なのだ。いつもの情けない日記をご所望の人々は、ここで読むのをやめることをお奨めする。この日記はただの大学生のありふれた恋バナだからだ。幸せなぼくなんかに、だれも興味がないだろう。

まだ彼女と初めて会ってから2週間とちょっとしか経ってないのだが、もう10回くらい会っているような気がする。文学部の同じ学年で、なおかつ家も近いので会うハードルがかなり低く、すぐ会いたくなってしまうのだ。自分に他人を恋しく思う感情が備わってるとは思わなかった。これは発見だ。ちょっと前まで「他人に依存するやつは自分の人生を生きてない、自律心がない」とか、「恋人はいらない、めんどくさいから」とか言っていたのに、コロッと宗旨替えしてしまった。ぼくの人生は常にそうだ。すぐに考えが変わる。確固たる信念とか、人としての軸みたいなものがないから、このザマなんだろう。

とまあここまで読んでわかる通り、ぼくは彼女にベタ惚れしている。お恥ずかしいくらいに。もう大好きだ、たまらなく好きだ。今までの自分の目標だった矢久保のことなど正直霞むくらいに、彼女のことを好きになってしまった。彼女のどこが好きだとか、そういう具体的な話を5000字くらいに渡って書き連ねたいくらいだが、ぼく以外が読んだらきっと反吐が出るだろうから自粛しておく。

こんなに好きな人と付き合えているのだから、さぞかしぼくは幸せで、言うことのないキャンパスライフを送っているのだろうと思われるかもしれないが、決してそんなことはない。こんなこと彼女に直接言えないけど、常にぼくは不安だ。

彼女はぼくのことをよく褒めてくれる。彼女と出会う2週間前くらいからぼくはダイエットを始めていたので、結構今のぼくのルックスはシュッとしていて、確かに彼女が出来てもおかしくない感じではある(すいませんね、調子に乗っていて)。加えて彼女の元彼は、彼女から話を聞く限り結構な醜男だったらしい。

それだからか、彼女がぼくにかけてくれる褒め言葉は「体型が好み」だとか「立ち振る舞いから知性が滲み出てる」だとか、「タバコを吸ってるところが格好いい」だとか、見た目に関することばかりなのだ。その度にぼくは嬉しくって、心の尻尾をブンブン振っているのだが、同時に一抹の寂しさも感じる。

多分ぼくは彼女に、人間としてはそこまで好かれていないんだろうなと思う。ちょうどぼくたち男がその他の要素に難のある巨乳の女に思っているように、「まあおっぱい大きいしな……」の下駄を履かせてもらっているような感じがするのだ。

それは当然といえば当然だ。自分でも分かっているけれど、ぼくはかなり利己的な人間だし、それゆえ他人にあまり興味が無い。彼女にはかなり興味があるのだが、その彼女に対してさえもあまり関心がないように見えてしまうらしい。さらにぼくは「細やかな気遣い」とか「理解のある彼」とかそういう言葉とも全く無縁な、床に落ちたものも平気で食うロシアの木こりみたいなやつなので、女の子に人として好かれるわけがない。これは完全にぼくが悪い。

最初はきちんと読む人のことを考えて書こうと思っていたのだが、もう無理だ。

ここから先は完全に彼女に向けて書くため、キモすぎるので読まないでください。

慶應理工の元彼と比べたらおれなんか圧倒的に数学ができないし、人格も終わってるし、金もないし、筋肉があるだけでセックスも下手だし、総合点でみたら完敗だから、唯一の得意分野である文章でこうやって君の気を惹こうとしてるわけです。

おれは君のことが大好きで、 もう競争社会から一抜けして、君と離島でずっと暮らせたらいいのになんて考えるほどに大好きなんです。でも本当におれはクズだから、思ったことをすぐに口にしたり、君の気持ちに気づけなくて君のことをしょっちゅう傷つけてしまう。だから君がぼくのことを人間としてあんまり好きじゃなくても当然だと思うし、出会いが出会いだから、いつ他の男に乗り換えられてもおかしくないと思うんです。

君のことを信じられないんじゃなくて、おれがおれのことを信じられないんです。

きみがいなくなる事を考えただけで、本当に辛くなって君に会いたくなっちゃう。少なくとも会ってる間だけはおれのものでいてくれるから。本当はこんなメンヘラみたいなこと書きたくないのに、勝手に筆がすすんでしまう。

こんなに書いても、おれと付き合う具体的なメリットを君に提示することができない。お金のことについても、終わってる性格のことについても、下手なセックスのことについても、「これから頑張ります……」と言うことしかできない。それは本当に頑張るけどさ、
おれは理工学部じゃないし、3年の秋学期の時点でベンチャー企業に内定を貰ってるようなエリートじゃないから。ただの、ひねくれた文学部国文学専攻のはぐれ者だから。

だけど君のことがまじでおれは好きだ。ほんとに好きだ!!!どうしていいかわからないくらい好きだ!!

だからずっと側にいてほしいなと思うわけです。本当におれの勝手だけど。

彼女に対する思いを長々と綴ったせいで、もう文章に綺麗なオチをつけるとか、そういうこともできなくなってしまった。本当にこんな熱に浮かされた公開ラブレターみたいなものをネットの海に放流するのはかなり恥ずかしいことだけれど、それくらいのことをしなければ彼女に対してぼくの思いを伝えることはできない気がするので、えいやと投稿ボタンを押すわけです。

追伸
酔っ払ってないです、シラフです。こわ〜。









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