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「2001年宇宙の旅」は何故すごいのか 〜映画を超えた芸術〜


「宇宙映画の金字塔」「SF映画の古典」などと題される事もあるスタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」。この映画、とても難解なものとして知られており、その難解さから視聴をためらっている人もいるでしょう。

そこで今日は、見た人はもっと分かる、見てない人も見た人くらいには、「2001年宇宙の旅」の凄さがわかる記事を書いていこうと思います。

凄み❶ ―技術―

まずこの映画の凄みとして、技術が挙げられます。この映画公開されたのが1968年なのですが、この時代にはまだ現代のような高度なCG技術などは存在していません。その中でキューブリック監督率いる制作陣は様々な工夫をして制作を行いました。

┣ 3Dグラフィックの表現

HAL screen

上の写真は2001年宇宙の旅のワンシーンでHAL9000が通信アンテナの異常を訴えるシーンです。その隣に青色の画面に回転するアンテナの3Dホログラムが映し出されます。ですが2001年宇宙の旅制作当時の1968年には現代のような3Dグラフィック技術がまだ確率されていませんでした。その中でどうやってこの未来的な3Dグラフィックをどう表現したのでしょうか。

実はこの3D映像は実はコンピューターで作り出した物でなく実際にアナログで撮影した映像です。意外にシンプルな方法で制作されていています。まず白く塗ったワイヤーフレームをアンテナの形に加工して、それを青い背景に合わせて撮影して、コマ撮りで回転させて映像を制作しました。

未来の技術を予想して、それを再現する。そのために制作陣は様々な工夫を凝らしていたのですね。

Doug Trumbull working on an actual wire frame model of Discovery's AE-35 antenna

┣ スリットスキャン

主人公ボーマンが木星でモノリスに吸い込まれていくシーンで下のような光の直線が向かってくるシーンがあります。スターウォーズのハイパードライブにとても似ていますね。

Untitled

このシーンの撮影で用いられた技術がスリッドスキャンです。かんたんに説明しますね。

まずは黒い紙などに、細い矩形の絞り(スリット)を開け、その後ろ側から様々な光を複数方向から照射します。それをスリットの向こう側からカメラをパンフォーカス(全体に焦点があたっている状態)でシャッターを開きながら、前後に動かすことでこのような映像を撮影しました。

非常に手間のかかる方法で撮影されたこの映像ですが、前述でも述べたとおり、のちのSF映画のワープの表現に大きな影響を与えました。2001年宇宙の旅がなぜSFの古典と呼ばれるのかは、このあたりに理由がありそうです。

Doug Trumbull setting up the slitscan


凄み❷ ―音楽―

2001年宇宙の旅の凄さに音楽の使い方がありあます。SF映画では未来感を表現するため電子音楽などがよく使われますが、2001年宇宙の旅では多くのクラッシック音楽が用いられています。2001年宇宙の旅とクラシック音楽は切っても切れない関係にあります。

┣ ツァラストラはかく語りき

リヒャルト・シュトラウス作曲の「ツァラストラはかく語りき」曲名は知らなくとも、聞いたことはあるのではないでしょうか。とくに「日の出」と呼ばれる冒頭部は2001年宇宙の旅を象徴する一節でしょう。

宇宙の壮大なイメージと、畏敬の念を見事に体現した選曲でしょう。人類の夜明け、宇宙の夜明け、様々なメタファーを含んだこの曲は、映画の始まりから、後半までの期待感を大きく増大させます。

┗美しく青きドナウ

ヨハン・シュトラウス2世のこの「美しく青きドナウ」。オーストリア第2の国歌とも呼ばれるこの曲ですが、2001年宇宙の旅でも使用されました。

この曲は、地球周辺の宇宙船のシーンから、宇宙船が月へと向かうシーンで流れるのですが、SF映画で大きな宇宙船が出てきたときは、壮大で雄大な音楽が流れるものです。しかしキューブリック監督はこの優雅で美しい「美しく青きドナウ」を選曲しました。

2001年宇宙の旅の、かっこいいだけでない人類への問いかけとなる、新たなSFを体現する不思議さをこの音楽が作り出しているような気がします。

凄み❸ ―ストーリー―

やはり映画において最も重要な物はストーリーでしょう。この2001年宇宙の旅に込められたテーマと、細かな科学検証から作られた緻密なエピソードを紹介していきます。

┣ モノリスと人類の進化

この映画ではモノリスと人類の進化が描かれています。モノリスとは2001年宇宙のたびに登場する黒い板です。モノリスによって知恵が人類に与えられました。そして人類は進化し宇宙に進出したとき、新たなモノリスによって新しく知恵を与えられ、次のステップへと進化していくというストーリーです。

モノリスは人類よりも高度な宇宙人によって作られた、石版(?)です。人類は宇宙人によって導かれたという内容ですが、前半から後半まで、宇宙人の姿は一度も出てきません。2001年宇宙の旅が難解と言われるのは、これのせいでもあります。

┗ 人工知能 HAL9000

木製へと向かう宇宙船にはHAL9000と呼ばれる人工知能が搭載されています。ストーリーの中でHAL9000は、人間に反抗し、搭乗員を殺害していこうとします。人工知能に感情が芽生えたからなどという、昔ながらの理由ではなく、矛盾した指示をされそれを実行しようとしたため、というヒューマンエラーが原因でした。

人工知能という技術を人間が完璧に使いこなす事はできないという、議題を1968年の時点でこの映画は私達に問いかけています。

Untitled

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Wakamiya Thukasa(若宮 著)

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