読書感想『告白撃』住野 よる

三十歳を目前に婚約した千鶴は、結婚式の前にどうしても決着をつけたいことがあった。
それは大学時代からの友人で、今もそばにいると一番安心する響貴のことだ。
千鶴にとってかけがえのない親友である響貴だが、いつのころからか響貴が自分を好きなことを感じていた。
自分は結婚してしまう、けれど響貴を傷つけたくない…出来るなら響貴には思いを引きずらずに前に進んでいってほしい――
そのために千鶴はとにもかくにも響貴に自分への想いを告白してもらわなければならない…そして彼を振らなければならない!!
結婚式まで決着をつけるため、千鶴は共通の友人である果凛に協力を仰ぐ。


うぅぅぅぅ~ん…話の筋はね、面白かったし、最後の着地点もよかったと思う。
んだが、ごめんなさい、これは自分の年齢的なもののせいなのか、それとも友情に関する価値観の違いなのか…もうとにかく、大学時代の友人全員それはないわ…って感じで、ちょっと終始薄ら寒かった…
最初のうち、ぶっちゃけ響貴は本当に千鶴が好きなの?君らの思い込みではなく??って疑問もあり、響貴を傷つけたくないとか言いながら、響貴の本心はきちんと確かめずに進むんだ???って感じだったんだが、そこに関しては響貴の響貴らしい部分を長いこと一緒にいた友人だから理解できてるうえでの展開だったので途中から気にならなくなったんですが…
果凛以外の友人が登場しだしたあたりから一気に薄ら寒く…というか、個人的には明確に友人たちの思惑に引いてしまいまして…アー無理だ―…ってなりました…。
大学時代からずっと続く、男三人女三人の6人組で、その中でもずっと仲の良かった千鶴と響貴に対して抱く、幸せになって欲しいって想いは別にいいんだが、だからと言って全体的に踏み込みすぎだし、自分たちの理想の展開にならないことに対しての反応がもう、全部、嫌…
いや多分、30歳になっても大学時代と変わらない友情を紡ぎ続けられる素敵さを描きたいんだと思うんだけど、30歳にもなって相手に対しての距離感それは引くわ…。
むしろ、子供のころからの友人同士くらいで大学卒業前に~で同じ内容・展開なら微笑ましく青春恋愛もので見れた気がするんだが、30歳過ぎた大人ばっかりでこの価値観はやばい…めちゃくちゃ気持ち悪くなってしまった…。
うん、ちょっとこれ、キャラクター達の心情心理に全く共感が出来ず(むしろドン引き)中盤がほぼ楽しめなかったり…。
響貴に千鶴へ告白させようと画策する中で、千鶴の気づいたことや果凛の想い、そして響貴が何を考えているのかがはっきりする終盤は面白く、そのうえで彼らのたどり着いた答えは悪くない。
個人的には短くなっても千鶴・果凛・響貴だけで最後まで構成したほうが良かったのでは?って感じです。
いやただね、中盤の友人6人組の部分が「そんなに友達の幸せを思えるなんて素敵」って思える人にはぶっ刺さるんだろうな、ってのもわかる。
なんだろうな、全員が他者の幸せを心から願ってることは確かなので、友達というものに人生の重きを置ける人たちにはたまらないのかもしれない…。
僕はもう…そんなに他人に干渉したいされたい人間じゃないのでマジ無理だったんですが…。
これは…10代のうちに読んどいたほうがいい本ですかね…。

・辻村 深月『盲目的な恋と友情 』

・白石 一文『一瞬の光 』

・河野 裕 『愛されてんだと自覚しな』

友情でも恋愛でも、他社に対してどこまでの想いを向けてどれだけの見返りを求めるのかって多分永遠のテーマだな…。

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