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人生が変わる本


栄養学を少しずつ学んでいるのだけれど、栄養のことを考えると、自ずとカラダの仕組みがわかっていないと、消化吸収だったりエネルギー産生だったり、いろんなことが理解できなくなる。なので、生物学も学び始めるのだが、、、これがなかなか難しくて(超文系な私に限っての話だけど…)。

イラストだったり、漫画だったりが入った参考書(と言えるのか? いや入門書か!)を買ってみたり、代謝に限定した本を選んでみたり、色々とチャンレジするものの、これがどうして頭にまったく入ってこない、、、そんなに難しいわけでもないのだと思うのだけれど、脳のどこかが拒絶している感じで。

書店に行っても、種類があまりないので、Amazonや楽天ブックスなどを物色するのだけれど、なんだかとっても惹かれたのがこの『14歳からの生物学』という本。14歳ってなんで限定しているのか?というのも気になり、調べていくと、、、オランダの実際にある教科書だった。その翻訳本なのだけれど、まず値段がた、高い・・・二の足を踏みそうになりかけたものの、数日カゴに入れたまま、過ごしてみたものの、興味の方が勝り(笑)、購入に至った。


“ いやぁ、ごもっとも!”


というのが率直な感想。生物学を高校では専攻しなかったので、実際に日本でどんな教科書が主流なのかはわからないけれど、監訳の松田良一教授によれば、日本の生物学の教科書は、ハエやカエルなどの動物の受精や発生については学ぶものの、ヒト、つまり人間の発生、妊娠、避妊、感染症とその予防などはまったく触れていないという。確かに小・中学校の理科をとってみても、昔はカエルの解剖とかあったようだし、その延長線上に高校の生物学の授業もあるのだろう。


1つ面白いエピソードとして、教授が「北里柴三郎による破傷風菌毒素と抗毒素(抗体)の発見」を大学の授業で取り上げた際、受講生の何人かは北里柴三郎の名前は日本史で習ったけれど、その業績はまったく知らなかったとレポートに書いてきたそうだ。確かに文系専攻の私も日本史で北里柴三郎の名前は知った。なんとなく医学の人だよね? 北里大学を作ったんだよね? それくらいの知識しかなかった。それだけ、私たちはヒトのカラダの仕組みについて、学校教育の中で習うということをしてきていない。保健体育もあるけれど、そこでもちゃんと座学をやった記憶もほとんどない・・・。


この本は、昨年、翻訳出版されている。そのタイミングの理由が、新型コロナウィルスだというのだ。ウィルスとは何なのか? どう体内に入って悪さをするのか? 私たちは知らないことが多い。いかに自分のカラダを自分で守れるのか、これは今に限ったことではなく、もしかしたら生きていくうえで一番重要な知識かもしれないと思う。その知識として、このオランダの教科書はとても役に立つ。

本書のメインはヒトのカラダについて。所々で、動物や鳥などとの比較が載っている。ヒト以外はあくまでもサブ的扱い。ヒトの呼吸、栄養と消化、循環系、生殖と、カラダの構造的な基礎はもちろん、健康とは何か? 妊娠出産、避妊まで載っている。ヒトが生きていくうえで基本的なことが網羅されているのだ。14歳といったら中学生なわけだけれど、これを中学生で学んでいたら、世の中が変わるなと本気で思う。私たちのカラダは食べたもの、食べて消化できたものでできている。お腹をくだしたら体内はどうなっているのか? 便秘ってどういうことなのか? そんなことを理解できていたら、自ずと対処法もわかってくる。そんな目安が子どもの頃にわかっていたら? ちゃんと食べるってどういうことなのか? そこにどんな意味が含まれているのか? 生きていく基盤がガッチリとできるだろう。

でも、子どものときに知ることが一番重要なんじゃないか、と私は思っている。なぜかというと、雑誌や書籍、イベントなどの企画を考えていて、常々感じることは、大人の意識を変えるのはとても難しいと感じるからだ。大人は自分が大病をしたり、挫折を経験したりしないと、なかなか生活習慣を変えることができない。かくいう私もそうだったから、それを責めるつもりは毛頭ないのだけれど、もっとそうなる前になんとかできなかったかなという後悔は付きまとう。


予防すればいい、、、そう思うのだけれど、ここ10年で感じることは、予防という言葉に多くの人が魅力を感じられないのだ。確かに面倒くさい感じが全面に漂う・・・笑。でも、このまま生活習慣病をはじめ、病気になる人が増えれば、健康保険だって破綻が見えてくる。ひとり一人の意識を変えるには、素直な感性をもっている子どものときの教育にかかっているんじゃないかなと思う。


日本の生物学こう変わっていくといいなぁ。まずはヒトという生物を知ることから始めるって、なんだかとても素敵だ。オランダは進んでいるなぁ、というか、それが当たり前なのか。オールカラーページで、中身は教科書そのもの。大人の私からすると、とても懐かしい感じで、所々にテストのコーナーもある(笑)。そして、14歳でもわかるように解説してあるから、とてもとてもわかりやすい!! まずは私が、そして子どもとも一緒に読んでいきたい、そんな本。多くの人の目に触れ、子どもの頃からカラダの仕組みについて知ってもらえたら嬉しいなと思う。

教科書だから素っ気なく見えてしまうのだけれど、もうちょっと細分化して、アレンジができたら、図鑑のように1冊ずつ集めて読んでもらえるようにしたら、楽しく読めるんじゃないかなと思ったりもする。子どもの記憶に残る本をこれからは創っていきたいな。




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