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【14歳】スランプ

前回の辛い時期というテーマは結果的にありがたい経験になりましたが、

今回のスランプは本当にどうしましょうというものでした。

「思っていたのと違う」現象です。

遡ること10年前

中学2年生ごろの話です。

初めて国立劇場の大劇場の舞台に立つ頃でした。

何が思っていたのと違うのかと言いますと、

自分がこれまでの感覚で踊った時に、見た目がイメージと全然異なってきたということです。

理由の一つには、成長期に伴う身長と体重の変化にありました。

よくスポーツの業界でも、成長期の変化に対応する時期の難しさをお話していらっしゃる方をお見受けしますが

日本舞踊においても同じ現象が起こりました。

たとえば腕

肩から肘、肘から手首

成長とともに少しずつ尺も変わっていくわけですが

どう頑張っても「あれ?」と感じる時期がありました。

これまで褒めてもらえる喜びや、困難な時期を乗り越える達成感を味わってきて、ここで初めて、どう頑張ってもうまくいかない時期に直面しました。

大劇場の舞台では「團十郎娘」と「供奴」の2演目に挑戦。

どちらも大好きな演目で、特に「供奴」は父の得意なもので、

上手に踊りたいと強く思っていたのですが、

結果はあまりうまく踊ることができませんでした。

そう改めて書くと、お世話になった皆さまやお客さまにも申し訳ないなと思うのですが、

どうしてうまく踊れなかったのだろうと、少しだけ落ち込みました。

そんな中、常日頃父がアドバイスしてくれました。

それは、

成長期の問題はいつか必ず終わる。

できなくても、今まで通りの稽古を続けることだ。

というシンプルなものでした。

いやいや終わりそうにないよ、と思うほど深刻に悩んでいましたが、

踊らないと余計不安なのでひたすら今まで通りの稽古をしていました。

そうするうちに、ほんの少しずつです。

高校1年生、3年生...少しずつ気になっていた癖が取れて、改善してきました。

身長や体重の変化も、比較的安定した頃です。父のアドバイスはぴったりでした。

成長期に必ず挫折を味わうということではありませんが、

変化に適応するためには、精神的にも冷静に、焦らずに、

今まで通りをしっかりこなすことが大切なのだと、

当時のスランプから学びました。

もし今後、子供たちを指導する中で

同じ悩みに直面した子供がいた時には、一緒にいつも通りのお稽古をしながらゆったりと前に進んでいきたいです。

舞台を支えてくださる皆様、いつもお運びくださるお客さま

これまでにも様々な過程をお見守りくださり、

改めて感謝申しあげます。

日本舞踊家 有馬和歌子




記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。 いただいたサポートは勉強や研究代に充てて、これからより良い仕事ができるように頑張ります! 引き続き、よろしくお願いいたします。