見出し画像

阿伽井天社(あかいてんしゃ)修理

京都市左京区にある日蓮宗寺院・満願寺様の境内地にはたくさんの建造物があります。その中で、おそらく一番小さくかわいい御社(おやしろ)の”阿伽井天社”の修理を施工しました。

〈※「阿伽井」については、一番最後に説明を書いておきました。〉

老朽化が進んでいた阿伽井天社は、平成30〔2018〕年の台風21号でも被害を受け、あちこちの部材を喪失してしまい、痛々しい姿となっていました。

下の写真は施工前の写真です。

画像13

次の写真が施工後の写真になります。見比べていただくと、あちこち復旧できているかと思います。

画像14


修理前は、扉の桟木(さんぎ)は脱落、勾欄(こうらん)や脇障子は部材不足のため形を留めておらず、垂木(たるき)も何本も欠失していました。本来ならば向拝柱(ごはいばしら)の直上で屋根を支える斗組(ますぐみ)も多くの部材が喪失し、屋根を支えているのは蟇股(かえるまた)だけとなって、屋根全体が前倒れになっている危険な状態でした。両脇板や背面板もところどころに隙間が空き、木階(きざはし)も崩落していました。

また、長押(なげし)や地長押を装飾する六葉(ろくよう)・唄金具(ばいかなぐ)、勾欄の笹金具(ささかなぐ)もところどころ欠失していました。

〈※建築の専門用語が多く、フリガナだらけになってしまいました。読みにくくて申し訳ございません。〉

ここから下の写真は木工事で、不足部材を取り付けた後の写真です。古材と新しくした素木(しらき)で色が違うので、あちこちに新材が入っていることがわかってもらえると思います。

画像13

画像13

画像13

画像13

画像13

画像13


下の写真は新調した金具で、六角形をした金色のものが「六葉(ろくよう)」、黒くて丸いものが「唄金具(ばいかなぐ)」、十字や一文字の黒いものが「笹金具(ささかなぐ)」と言います。写真下にメジャーを入れているので、大きさがわかっていただけるかと思います。だいたい数センチの大きさです。

画像13

画像13

画像13

画像13

画像13

画像11


構造を保つ部材とともに装飾部材も多く復旧し、これからも境内の一番小さくかわいい建造物として存在感を放ってほしいと思います。


「阿伽井」…閼伽井とも書き、仏前にお供えする清らかな水をくむ井戸のこと【引用:コトバンク】。サンスクリット語 のargha (アルガ)の音写で、 功徳水 (くどくすい)と訳される【引用:Wikipedia】。

満願寺様本堂で施工させていただいた工事の記事があります。もしよければ、こちらもご覧ください。


工芸舎 F倉










この記事が参加している募集

オープン社内報

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?