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日本語教師も知っておいたほうがいい「障害者への合理的配慮」の義務化

こんにちは。
*産業カウンセラーと日本語教師をしています。ワカです。

*産業カウンセラーとは:一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する心理職の資格です。落ち込んだ状態が続いている、仕事に行くのが辛いなどの精神的な悩みを抱える働く方のカウンセリングや、省庁・企業のメンタルヘルス対策の支援などを行っています。(*カウンセリングの相談内容によっては医療機関や社労士を紹介することがあります)

4月から「障害者への合理的配慮」が義務化されます

2024年4月から、障害者差別解消法が改正され、事業者には合理的配慮の提供義務が課されます。障害者から「社会的バリアを取り除いてほしい」という意思表明があった場合、(その実施に伴う負担が過重でないときは)その除去の実施について、合理的な配慮を行う義務があるということです。

例えば、日本語教師向けのセミナーや日本語のクラスに、障害(身体障害・知的障害・精神障害・発達障害など含む)がある参加者や生徒がいる場合、本人から社会的障壁を取り除いてほしいという旨の申し出があったら、それに対して合理的配慮をする義務があります。
事業者が義務を守らないと、所轄官庁から報告を求められ、指導や勧告を受ける場合があります。きちんと報告しないと20万円以下の過料という制裁を受ける場合があります。

合理的配慮とは

例えば、学習障害の方から「文字を読むのが大変なので、テキストを拡大コピーしてほしい」と言われたとして、使用するテキスト全てを拡大コピーすることは現実的でしょうか?
教職員の時間外の負担も増えるし、コピー代や用紙代は誰が払うの?
書籍のコピーは著作権侵害にもなるのでは?と疑問が湧きますよね。

この条文には「その実施に伴う負担が過重でないときは」とあります。
すべてをコピーするのは負担が過重であるし、そもそも著作権の侵害にも該当するので、代案として「電子書籍を購入してもらって、タブレットで文字の大きさを調節してもらうことを勧める。クラス内でのタブレット、読み上げ機能などの使用を許可する」などが「合理的配慮」となります。

重要なのは「できません」といって一律拒否するのではなく、その状況で一番良い方法を模索し、お互いにとって合理的な配慮をするということです。

共生社会を実現するための法律

障害者差別解消法には、『我が国では、障害のある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら、共に生きる社会(共生社会)を実現することを目指しています』とあります。
どんな人も、その人らしさを認め合い、共に生きることができる社会、これは「多文化共生社会」の実現を目指す日本語教育にも通じる理念なのではないでしょうか。


オンラインでメンタルヘルスのカウンセリングをしています。ご都合がいい時に予約して受けることができます。
*相談状況によっては、医師や社労士など専門家を紹介することがあります。






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