塩は 小さな地球 ~屋久島~
屋久島の塩
日常で塩を使ったことありますか?
(無い方がすごいですよね)
毎日の中にある「塩」が、こんなに自然に近いものだということを
私は忘れていました。
それを思い出すことがありました。
生まれて初めて、結晶化されていく塩を見たのです。
その時の美しさと心が動いた感覚が忘れられません。
私と同じように感動してくれる人がいるのではないだろうか…
だから、このことを発信して、共感できる人へ伝わってくれたら、と思います。
屋久島の塩のお話しです。
屋久島は小さい地球
屋久島は小さい地球と表現する人たちがいます。
暮らせば暮らすほど、その意味が分かってきました。
海から生まれた雲が、山にぶつかり
山にぶつかった雲が雨をふらせ、川となる
川は私たちが住んでいる里を通り、海にでる
屋久島にはその海と山と川と里がすべて身近に存在している。
屋久島は地球の営みをギュッと縮図にしたような場所なのです。
まずは海水を汲む
義兄が漁師をしており、漁の合間に沖まで船を出し、海水を汲みます。
海無し山無し埼玉生まれ埼玉育ちの私からしてみれば
海や山とともに暮らすことすら新鮮なのに
身近に漁師がいるという「…夢?」と思ってしまうような毎日。
つぎに薪で焚く
手作りの塩釜に海水を注いだたら、火をつけ、薪をくべていく
薪は朝、昼、晩と火を絶やさないようにくべつづける
(だが時に火は絶える。人間だもの、くべられない時もあるさ)
そして結晶化をまつ
最初に結晶化したものは塩以外の成分のため、それらを布で濾し、
濾した海水を再度釜で焚く
すると徐々に水面に結晶が集まってくる
育った結晶をそっとかき集める。
この瞬間は何度見ても鳥肌がたつ。
結晶がかき集められるシャリシャリという細い音が聞こえてくる。
美しいものは、全身に震えをおこす。
さいごに結晶がくだける
結晶化された塩は、また海水に戻ろうとする。
特に湿気の多い屋久島ではあっというまに液体になる。
だからこの結晶を乾燥させなければならない。
脱水して、乾燥させる。
この工程で結晶は砕け、よくみる塩の粒になってしまう。
あぁ…勿体ないなぁ…と思いつつ
塩をみんなに使ってもらいやすい量を製造するには、結晶をひとつずつ壊さないように乾燥させていくなんて、とても効率が悪い。
塩は身近な調味料であり、欠かせない調味料。
反面、とても繊細で、とても美しい形をしている。
そのことを知れたことが本当に嬉しい。
北の「えん」、南の「うた」
屋久島では天然塩を販売してくれている方々がいます。
一番有名なのは島の北”永田”という集落で製造されている「えん」。
今回紹介した塩づくりは島の南”尾之間”集落で作っています。
NPO法人じゃがいものおうち の塩「海のうた」
障がいを持つ方達(そうでない方も、もちろん)が丁寧に最後の検品、梱包作業を行い「海のうた」ができあがります。
ぜひ北の「えん」南の「うた」と、それぞれの塩ができあがっていく過程に思いを馳せ
いつもの塩と違うひとしおの思いを感じてもらえたらと思います。
https://yakushima-jyagaimonoouchi.com/