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塩は 小さな地球  ~屋久島~

屋久島の塩

日常で塩を使ったことありますか?
(無い方がすごいですよね)
毎日の中にある「塩」が、こんなに自然に近いものだということを
私は忘れていました。
それを思い出すことがありました。
生まれて初めて、結晶化されていく塩を見た
のです。
その時の美しさと心が動いた感覚が忘れられません。

私と同じように感動してくれる人がいるのではないだろうか…
だから、このことを発信して、共感できる人へ伝わってくれたら、と思います。
屋久島の塩のお話しです。

塩の結晶は美しい。だが最後に結晶は砕かれてしまう。

屋久島は小さい地球

屋久島は小さい地球と表現する人たちがいます。
暮らせば暮らすほど、その意味が分かってきました。

海から生まれた雲が、山にぶつかり
山にぶつかった雲が雨をふらせ、川となる
川は私たちが住んでいる里を通り、海にでる

屋久島にはその海と山と川と里がすべて身近に存在している

屋久島は地球の営みをギュッと縮図にしたような場所なのです。

余談だけれど 屋久島の海がこれまたすごい▼
屋久島の海のお話「#黒潮ってなんだ?」
https://yakushima-zine.jp/n/n639a3188b7de

まずは海水を汲む

海水を汲みにでた船から、振り返ってみる屋久島

義兄が漁師をしており、漁の合間に沖まで船を出し、海水を汲みます
海無し山無し埼玉生まれ埼玉育ちの私からしてみれば
海や山とともに暮らすことすら新鮮なのに
身近に漁師がいるという「…夢?」と思ってしまうような毎日。

つぎに薪で焚く

手作りの塩釜に海水を注いだたら、火をつけ、薪をくべていく

薪は朝、昼、晩と火を絶やさないようにくべつづける
(だが時に火は絶える。人間だもの、くべられない時もあるさ)

そして結晶化をまつ

最初に結晶化したものは塩以外の成分のため、それらを布で濾し、
濾した海水を再度釜で焚く

すると徐々に水面に結晶が集まってくる

育った結晶をそっとかき集める
この瞬間は何度見ても鳥肌がたつ。
結晶がかき集められるシャリシャリという細い音が聞こえてくる。
美しいものは、全身に震えをおこす。

さいごに結晶がくだける

結晶化された塩は、また海水に戻ろうとする。
特に湿気の多い屋久島ではあっというまに液体になる。
だからこの結晶を乾燥させなければならない
脱水して、乾燥させる。
この工程で結晶は砕け、よくみる塩の粒になってしまう。
あぁ…勿体ないなぁ…と思いつつ
塩をみんなに使ってもらいやすい量を製造するには、結晶をひとつずつ壊さないように乾燥させていくなんて、とても効率が悪い

塩は身近な調味料であり、欠かせない調味料。
反面、とても繊細で、とても美しい形をしている。
そのことを知れたことが本当に嬉しい。

北の「えん」、南の「うた」

屋久島では天然塩を販売してくれている方々がいます。
一番有名なのは島の北”永田”という集落で製造されている「えん」。

ススで黒くなった建物と、白い湯気、島の北らし厳かな雰囲気がある

今回紹介した塩づくりは島の南”尾之間”集落で作っています。

NPO法人じゃがいものおうち の塩「海のうた」


障がいを持つ方達(そうでない方も、もちろん)が丁寧に最後の検品、梱包作業を行い「海のうた」ができあがります。

ぜひ北の「えん」南の「うた」と、それぞれの塩ができあがっていく過程に思いを馳せ
いつもの塩と違うひとしおの思いを感じてもらえたらと思います。

https://yakushima-jyagaimonoouchi.com/

最後に。
海水から生まれた塩は山、川、里すべてを知っている結晶。
そこに私たち人間の営みが加わって「塩」となる。
塩も、小さな地球と呼べるかもしれない。と、私は思う。


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