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ひとり旅だったら、どこまでもいけたのに


相手と自分の違いを受け入れるためには、自分を殺すしかない

 自分が損をすることを、とても恐れている人がいる。その人のなかでは自分の理解できないことは、『損』でしかないと思ってしまうからだ。理解できないから、『得』であるわけがない。これから自分は『損』をするのだという恐怖から、受け入れられそうなものも、受け入れられなくなってしまう。もしかしたら『得』をしたかもしれないものも、結局は無意識に突っぱねてしまうので、『損』をする。もしかしたら、成長できたかもしれないのに。
 なぜ、そんなことになってしまうのか?
 人間は、人それぞれ違う。ありきたりな、『器の広さが違うから』で片づけられるのか?
 損得を受け入れることすら、それぞれの価値観で違う。せっかくの受けられる『得』でも、わざわざ捨てる人もある。それは、器が広いからなのか、狭いからなのか。
 どこからどこまでが『得』で、どこからどこまでが『損』なのか。

きっと、ファンタジー小説の主人公にはなれない

 旅行に行くことが、すきで、きらいだった。
 ひとり旅は、いい。それ以外が、むずかしい。
 みんながみんな、ひとつひとつのできごとに、楽しい気持ちが乗っかってほしい。自分が願うことはそれだけだった。でも、それは簡単なことではない。
 あなたは、それに対して、そういう感想をいだくのね。でも、自分はそうじゃない。同じ感想を抱いてほしいわけじゃなくて、ただいっしょに楽しみたいだけ。楽しくないことが起きたのなら、そっと胸のうちにしまっておいてほしいだけ。
 ファンタジー小説で、長いあいだ個性的な仲間と旅をする主人公は、どうやっていさかいを止めていたんだっけ。そんなことを、ふと思ってしまう。
 旅って、楽しいもののはずなのに、なんだかもやもやすることが多い。どうしてだろう。

こうしてグチグチいってたってさ、自分以外は忘れてるよ

 旅って、音楽が重要。旅のおともには、その土地のビールと、おいしいおつまみ、そしてわくわくするBGMがあると、すばらしい気持ちになれる。自分はどんな音楽だってすき。歌謡曲だって、演歌だって、テクノだって、パンクだって、ロックだって、ボカロだって、アニメソングだって、だいすきだ。だけれど、ひとたび仲間たちにハマらなければ、どんな音楽だって、騒音になってしまう。
 だいすきな音楽だけれど、すきじゃない人にとってみたら「意味不明のわけがわからないノイズ」なのだ。どんな音楽だってすきだけれど、すきな音楽をけなされるのは、かなしい。
 こういう人への偏見だけれど、たいていは静かなバラードがすきで、わかりやすい歌詞がしっくりくる人が多い気がする。もちろん、全員そうじゃないって思ってるし、ひどい決めつけだけれどさ。ふてくされてるから、仕方ない。
 自分はなんでも聞くんだから、相手のすきな音楽だって聞くのに。だったら、みんなのすきな音楽を順番に流そうなんて、いわないでよね。ふん。

学ぶことへの意識に切りかえるスイッチって、重要だよなって

 最近は、その施設へのレビューなりなんなりが確認できる世の中だから、リサーチがしやすいってのはあると思う。今回は、リサーチが足りなかったんだなあ、って思う。
「ちょっとここへも行ってみようか」なんて、イレギュラーな動きをしてみると、それが予想外なイベントに繋がる場合が起こりうることなんて、ままあることだ。それが良いほうは傾くのか、都合がわるいほうへ傾くのかは、運次第。今回は、わるいほうへ傾いたんだと思う。
 だったら、それを「これも人生の学びだから」と捉えるべきだ。ポジティブだし、自分のためになるなら、そうするべきだと自分は思う。あるいは、ひとり旅なら、どれだけ後悔したっていい。しかし、これはそうじゃないのだから、お互いの気持ちを共有したうえで、まだ続く旅のさきを見据えて、スイッチを切り替えるべき。えんえんとその施設の文句をいうのは、建設的じゃない。
 頭のいい人の話は、じっくりと聞くべきだと自分は思う。それを「あの人は落語家になるべきだ」と揶揄するのは、とても恥ずかしいことだ。頭のいい人は話し方がうまい。相手が退屈しないよう、楽しく聞かせてくれる。その技術に、カネを払う。それは当然の対価だ。こちらのリサーチ不足に、文句をいうのはお角が違う。恥をさらしているのだ。

ばかは自分だけでいいんだって、世の中はばかじゃないと泳げない

「世の中のことを知っていたほうが、世の中の見えかたが鮮やかだ」
 そういって、自分はしめくくった。旅の仲間は、わかったような、わからないような顔をしていたと思う。
 自分は、ばかだ。大言壮語が、すきだ。だって、そうしたほうが、かっこいいだろう。本気で、そう思っているから。
 相手は、どうだろう。自分が見る世界の鮮やかさとは、どれだけ違うだろう。自分のほうが鮮やかだろうか。
 本当は、みんながみんな、同じくらいの鮮やかさがいい。だって、そうしたほうが、平和じゃん。
 この世界が、アンパンマンの世界と同じ、太陽の色になってほしいと、ずっとずっと思っているんだ。



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