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弱者が強者に勝つための下剋上戦略 #71 ランチェスター戦略

企業とは、特有の目的を果たすことによって、社会における存在意義を果たします。
そして、目的あるいは目標を達成するために経営資源を最適活用して推進させるのが戦略です。

戦略と言えば、今から2,500年前に書かれたとされる「孫子の兵法」が有名です。
そして、それまでの実戦を元にした定性的な戦略に、科学的な理論を加え体系化させた近代戦略の先駆けがランチェスター戦略だと言えます。

第一次世界大戦の頃、戦闘機の開発に従事していたイギリス人エンジニアであるF・W・ランチェスターは、戦闘機が戦争の成果にどのように影響するものか興味を持ちます。
そして、定量的、統計的、数学的に研究を重ねて1914年に導き出されたのがランチェスターの法則です。

既に、古い理論との意見もありますが、未だにランチェスター戦略として、多数の関連書籍が出版されています。
弱者である中小企業が強者である大企業に勝つための下剋上戦略としても有名です。

ランチェスター戦略には、2つの法則があります。

まず、弱者の戦略である第一法則とは、一対一が戦うイメージから一騎討ち戦とも称されます。
その他、狭い範囲で戦う局地戦、敵と近づいて戦う接近戦など、原始的な戦いの場合に適用します。

戦闘力 = 武器効率 × 兵力数

武器効率とは、槍や刀に対して鉄砲、鉄砲に対して大砲などのように優れた成果を上げる武器が高くなります。
つまり、戦闘力は、優れた武器を持っているか、兵士の数が多い方が高いということになります。

桶狭間の戦い

分かりやすい事例ですと、戦国時代の桶狭間の戦いです。
永禄3年(1560年)5月、尾張に侵攻する今川義元の軍勢2万に対して、織田信長の軍勢は5千程でした。
兵力数からしたら、織田軍に勝ち目はありません。
しかし、戦いの場と選んだのが、局地戦、接近戦に適した縦に細く窪地である桶狭間でした。
結果、弱者であるはずの織田軍が勝利を手にすることになりました。

次に強者の戦略である第二法則は、近代兵器を使って戦う確率戦と称されます。
近代兵器は、無差別に攻撃を受けることから、損害は確率的な発生となるためです。
戦いそのものの規模が大きく、広い範囲で戦う広域戦、敵と離れて戦う遠隔戦の場合に適しています。

戦闘力=武器効率 × 兵力数の2乗

武器効率が同等なら、兵力数が多いほうが圧倒的に有利になります。
この場合の武器効率とは商品力であり、兵力数とは販売力となります。
戦国時代で例えるならば、徳川家康は、敵の倍の兵力で勝利を収め続けたとされています。
実際のビジネスでは、中小企業が開発してヒットさせた商品を、大企業が後発で模倣(ミート)商品を販売して、圧倒的な販売力の差で、その市場を奪い取ってしまう事例は少なくありません。

以上から弱者である中小企業が、強者である大企業と戦う場合には、第一法則が適応される戦い方に持ち込む必要があります。
実際、広域の市場では1位になれずとも、切り口を変えることで、1位になれるニッチ(局所)領域で戦いを挑む方が有利になります。
これは、アメリア・イアハート効果とも呼ばれるものです。

また、大企業は、その大きな資本力であるが故に、ニッチで小さな市場には、なかなか参入しないと考えられます。
ある意味、戦わずして、勝つ戦略でもあります。

しかしながら、それでも、将来性を見越して、大企業が参入して来る可能性もあります。
そうなると第一法則でも、兵力数が多い方が有利であることは、第二法則と同じです。
そのため、兵力の劣る弱者としては、大企業だからこそ模倣できない様な強み(製品・サービス・技術など)の開発と強者側の兵士が1人で複数の兵士を攻撃できないような局所状況を作ることが大切です。

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