【実食レポ】 久井堂(神戸市兵庫区) 野球カステラほか
神戸には名産の瓦煎餅があります。
瓦煎餅が有名ではありますが、手焼き煎餅屋さんがつくる「野球カステラ」という可愛らしいお菓子があるんです。
「野球カステラ」は、バットやミット、ボールなどの野球アイテムのカステラで、3〜4の同じ型を火の上でクルクルと回しながら焼き上げます。
生地を入れて、回して、回して、回して、最後に取り出してできあがり。
野菜の型で焼く「野菜カステラ」が野球アイテムになった感じで、東京の人形焼と違ってあんこなどは入らないシンプルなお菓子です。
久井堂
瓦煎餅屋さんで手焼きを続けているお店は少なくなってきていて、職人さんの高齢化が進んでいます。
久井堂さんは、神戸に残る野球カステラを焼くお店8軒のうちの1軒です。
店主で職人の宇野さんは81歳。
実は、今年に入って野球カステラ関連の記事をお仕事で4本書いていて、個人的に思い入れがあります。
↓ 久井堂さんの取材記事
この記事が配信された5月末、お父さんの具合があまり良くないとお聞きして、とても気になっていて、8月にやっと訪問できました。
お父さんは調子が良いときに、無理のない範囲で野球カステラを含むお煎餅を今も焼かれています。
訪ねた日は、お父さんが格子煎餅を焼き、お母さんがカットしていました。
長く続けて欲しいと思う反面、お身体が心配です。
野球カステラは、卵と砂糖、小麦粉、蜂蜜、膨張剤などのシンプルな材料でつくられます。
その日の湿度や温度で配合は変わり、型の大きさや、つめる生地の量によって、味やふんわり感が変わるので、シンプルな原材料ですがお店によって味が違います。
↓ こちらは神戸市中央区の「手焼き煎餅 おおたに」さんの取材記事
久井堂さんの野球カステラは、膨らんでピッタリくらいになるように生地を入れるので、生地が型の中で目一杯膨らむふんわりタイプ。
優しい甘さです。
お煎餅はいろいろな種類を焼かれていますが、今回はえんどう豆煎餅と神戸名産煎餅をいただくことにしました。
とっても気に入っているのが「えんどう豆煎餅」で、えんどう豆、こんなに入れてもらっていいの?というくらいたっぷり入っていて、香ばしくてパリッパリ。
塩味もポイントです。
原材料は、砂糖、小麦粉、卵、えんどう豆、ハチミツのみ。
瓦煎餅は、型で焼いたあとに、板?の上に乗せてカーブをつけます。
子どもの頃、神戸に帰省すると母が瓦煎餅をお土産に買っていたのが思い出です。
子どもの頃は、硬くて素朴すぎてそんなに好きだと感じませんでしたが、今は優しい味だなぁとしみじみ。
しかも、どんな記憶力なんでしょう、今いただくとそんなに硬くないんですよね。
現在野球カステラを焼くお店の職人さんは、ほとんどが70歳以上で後継者がいません。
↓ そんな野球カステラを盛り上げようと奮闘する志方さんの記事
↓ 唯一の女性職人にも期待がかかります
手焼きの量としての限界、普段のおやつとしての価格、後継、原材料の高騰、いろいろなことがからみます。
野球カステラ、なくならないといいな。