喰い初め膳_

日本の祝事-子供編5~7

2006年4月11日 (火)/15日 (土)/17日 (月)

日本の祝事-子供編5~7

<子供の誕生と健やかな成長を祈る祝い>
    1.帯祝い・着帯の祝い
    2.出産の祝い
    3.お七夜 命名式
    4.お宮参り
    5.お喰い初め、百日の祝い
    6.初節句
    7.初誕生祝
    8.七五三
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5.お喰い初め・百日(ももか)の祝い

生後100~110日目くらいまでに行なう祝い事で、別名「箸初め」「歯固め」とも言います。

「子供が一生食べ物に不自由しないように」との願いが込められたこのお祝いは、近い身内が集まって年長者が「箸役」(はしやく)となり、祝い事用の柳の丸箸を使って、赤ちゃんに大人と同じご飯を食べさせる真似をします。

また、丈夫な歯が生えるようにとの願いから、小石を一つ用意して、赤ちゃんの口元に触れさせることをする地域もあります。

「お喰い初め膳」は、それ専用の小ぶりな物を使って用意します。

地方によって内容は異なりますが、在所では、漆塗りの足付き膳に小さな食器が並び、赤飯、椀、平(ひら・煮物)、高杯(たかつき・刺身)、筒(つつ・酢の物)がそれぞれ盛り付けられます。

また、別添えで鯛の尾頭付きの焼物や姿盛り、梅干を一つ用意することもあります。

この「喰い初め膳」、男児は中外とも朱塗りのもの、女児は中朱外黒塗りのものを使いますが、これには理由があります。

昔は、「跡取り」という考え方から男児が重んじられたため、漆でも高級な朱い漆をふんだんに使ったものを用意しました。
一方、労働力にはなりますが、いずれ「家」を出て他人の家人となる女児には、男児用よりも幾分劣る、黒い漆を使ったものを用意したということです。

今ではぴんと来ない考え方ですが、現在でも赤ちゃん用品を扱うお店に行くと、この2種類が置いてあります。

最近では、自宅でのお祝いの場合、赤ちゃんが離乳食を始めてからも使えるように、実用出来る小さな食器セットを用意してのお喰い初めをする家もあります。

レストランやホテルなどで席を用意する場合は、専用のお喰い初め膳を持っているところが多いので、用意してくれるよう、相談すると良いでしょう。

当日の「箸役」は、身内の年長者がつとめます。

これは長寿にあやかるようにということなので、父方や母方の祖父母が多いようですね。

赤ちゃんをひざに抱き、喰い初め膳の料理に箸先をつけてから、それを赤ちゃんの口元にも触れさせ、交互に繰り返します。

一通り済んだら、赤ちゃんの両親は「箸役」にお礼を言い、あとはもてなしの祝宴となります。

6.初節句

赤ちゃんが生まれて、初めて3月や5月の子供の節句を迎えるときが「初節句」です。

雛人形や五月人形を用意して、赤ちゃんの健やかな成長を祈ります。

お雛様や五月人形は、本人の代わりに厄災を引き受ける、「形代」(かたしろ)の役割を担うものと考えられ、守り神として用意するものです。

いずれにしても、赤ちゃんの健康と長寿を願うものとなっています。

昔は、今ほど医療も発達していませんでしたし、栄養状態も良くありませんでしたので、赤ちゃんの死亡率は高いものでした。

出産から始まって、お七夜・お宮参り・お喰い初め・初節句と、赤ちゃんの健やかな成長と長寿を願う祝い事が続くのは、それだけ新しい命が大切だったからであり、無事に育って家族の一員となることを切に願っていたことの表れといえるでしょう。

一般的にですが、女の子の雛人形は母方の祖父母が、男の子の五月人形は父方の祖父母が揃えることが多いようです。

赤ちゃんの体調が良いようなら贈られた人形を飾り、近しい身内を招いてお祝いの膳を囲みます。

これ以降の節句祝いは、家族と父方母方の祖父母だけで祝うことが多いようです。

7.初誕生祝

生まれてから1年、初めて迎える誕生日の祝いは、古くから盛んに行われています。

伝い歩きを始めたり、赤ちゃん言葉をしゃべるようになったりと、健やかな成長の様子を家族みんなで見守って、微笑ましいひと時を過ごすのも良いものですね。

また、生まれてからの1年間、いろいろと気遣ってくれた身内の人達に、感謝の気持ちを表す席でもありますから、父方母方の祖父母達を招いて、にぎやかに祝いの宴を囲みましょう。

この時、赤ちゃんに「一升餅」や「米一升」を背負わせて歩かせる、という風習があります。

赤ちゃんにとってはとても重くて、なかなか歩けるものではありませんが、これは将来、
「子供が家を早く出ることが無いように」
という験かつぎなのです。

「家」の存続がもっとも大切だった時代に、後継者が「家」をないがしろにしないように、という願いをこめて始まった風習と言われています。

現代風にするなら、小さいホールケーキにろうそくを1本立ててお祝いするのも楽しいですし、「一升餅」を丸ごと1個ではなく、小分けにしておいて(紅白の丸餅を3個ずつなど)、列席してくれた皆さんにそれぞれ持ち帰っていただくのも良いですね。

背負わせる時も、小さなリュックを用意して行ってお餅を入れると、安定して背負わせやすいと思います。

お餅は、和菓子屋さんなどに注文すれば、前日または当日に用意してくれるでしょう。

「初誕生祝の一升餅」と言うか、「誕生餅」というとわかってくれると思います。

また、祝いの席をレストランや料理屋さんに頼む時は、お店に相談すると手配してくれる場合もあります。

ホールケーキなども手配をお願い出来るところがほとんどだと思いますが、もしそれが出来ない時は、持ち込みをさせてもらえるかどうか相談してみましょう。


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