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創作小説・詩

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自作の小説や詩を紹介します。拙いですがすべての作品の著作権はかたりすと@脇七郎に属します。
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#創作小説

「厳かな食事」同族狩り#2~毎週ショートショートnote参加作品

真っ赤な月明かりの深夜、N町通りは野良猫すら姿見せぬほど静まり返っていた。その一角の古び…

[創作小説] 短編「午前零時の乗客」

柱時計は午前零時前をさしていた。 真夏の夜にしては妙に澄んだ空気で心地よいのだが、どうに…

「同族狩り」~毎週ショートショートnote

俺は白い壁とステンドグラスが印象的な路地裏の小さな仏蘭西料理店で昼食をとっていた。といっ…

「雨が囁く夜」~シロクマ文芸部参加作品

雨を聴く。 雨が囁く。 「なぜ…した」 脳裏にあの日の光景が蘇る。 余命宣告を受けて自宅で…

てるてる坊主のラブレター~毎週ショートショートNote

てるてる坊主とどぶどぶ坊主はずっと喧嘩をしてきた。 勝ったり負けたりを繰り返してきた。 た…

「赤く塗る男」~ #シロクマ文芸部 #赤い傘

「赤く塗らなければ!」 埃だらけのキャンバスを前に男は唸った。 キャンバスには傘をさした婦…

「赤い傘」ショートショート~#シロクマ文芸部

赤い傘さしてた女の子、いじんさんつれられていっちゃったあ 雨の朝の登校どき、白い傘をさした少女が口ずさみながら歩いていた。 寄り添うように歩いている赤い傘をさした同じ背格好の友達らしき少女が言う。 「違うよ、赤い傘じゃなくて赤い靴だよ」 「そうだっけ?先生から教わったのは傘だったと思うけど…」 少女は首をかしげて困ったような顔をした。そう言われればそんな気もするし、違う気もする。そして今自分は赤い靴を履いている。友達の靴は白だ。 「うん、わたしも明日から赤い傘にしよっと。い

「どおん教」~#毎週ショートショートnote

ある朝一枚のチラシが入っていた。 「これであなたも祈願上手!合格祈願、安全祈願何でもござ…

[毎週ショート・ショートnote]二億斎藤

書面をにらみながら課長が声を上げた。 「ちょっと斉藤君、きてくれ」 大きなフロアで机に向か…

[ショートショート] 白い靴下

白い靴下がない。 朝起きてからどこを探しても見当たらない。 欠伸をしながら机の下やソファの…

[ 穴穴家電(その6)]~創作大賞2024応募作品

 六     午前六時半。目覚し時計で目が覚める。いつも通りさわやかな気分。完全に眠りか…

[ 穴穴家電(その5)]~創作大賞2024応募作品

 五    「また来たの?」〈椿姫〉が眉間に皺を寄せ、呆れ顔で言った。 「毎度、いらっし…

[ 穴穴家電(その4)]~創作大賞2024応募作品

           四     鴉がいつ頃から気になりだしたのか。少なくとも数日前とか…

[ 穴穴家電(その3)]~創作大賞2024応募作品

            三  鴉の鳴き声で目が覚めた。毎朝のことである。割れんばかりに雨が窓硝子を叩く土砂降りの朝も、突風でバルコニーのポリバケツや物干し竿が暴れてけたたましい音をたてる朝も同じだ。窓を締め切ってカーテンを二重に下ろしていれば、じめじめした暗い部屋に一筋の朝陽も射しはしないが、鴉の声だけはいかなる騒音をもかいくぐって耳に届く。そうして目を覚まし枕もとの時計を見ると決まって針は六時半を指している。なぜ六時半なのか。この時刻に何か意味があるように思えるのだがどう