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デジタルマーケティングの主要セグメントYWN

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
ターゲティングって、マーケティングする上では避けては通れないものですが、いざ自分の事業でやろうとするとどうもうまくいかないことってありますよね。そんな時に、ありがたい視座をコトラー先生が与えてくれます。
今回は、デジタル時代においてどんな商材でも無視できない重要なセグメントYWNをご紹介いたします。


YWNとは

デジタル時代において、ブランド推奨を積極的に行ってくれるセグメントが3つあるそうなのです。デジタル時代に最も影響力があるセグメントとは、若者(Youth)・女性(Women)・ネティズン(ネット市民・Netizen)を指し、それぞれの頭文字をとってYWNなんだそうですよ。コトラー先生曰く、極めて儲かるセグメントだとか。
以下に、どうしてこれらのセグメントが重要なのかという点について記していきますね。

若者(youth)

若者が重要なセグメントとなる理由は、市場の他のセグメントに大きく影響を与えるからです。どうして、他のセグメントに影響を与えることができるのか、以下に見ていきましょう。

早期採用者

若者は、イノベーター理論で言うところのアーリーアダプター(早期採用者)に属します。年配者がリスクが高すぎるとみなす新製品やサービスを進んで試し、経験していきます。新商品をメインストリーム(主流市場)に浸透させたい場合、若者の人気を集めることが成功の鍵になるのだとか。
2001年に発売されたApple社のiPodはターゲットを若者にして、若者向けのトーンの広告で人気を獲得し、のちに主流市場で成功を収めています。

トレンドセッター

若者はトレンドに敏感で、次から次へとトレンドを追いかけているそうなんですが、なんとなくそんなイメージありますよね。トレンドに敏感な若者の動きを追うことで、市場に影響を及ぼす次のトレンドを素早く正確に把握できるとも言えます。とはいえ、若者が求めるトレンドも多岐にわたっていて、全てを網羅することは難しいですよね。しかも、細分化されたトレンドのほとんどは一過性のブームで終わってしまいます。
それでも、デジタルなライフスタイルに関するトレンドは、ほとんどの若者が追いかけていて、主流市場を目指せるものが多いのだとか。
例えば、世界的に名前の知られているジャスティン・ビーバーはYouTubeアーティストとして有名になったし、FacebookやTwitter(現在はX)などのSNSも若者のトレンドとして始まったものです。最近では、Apple Musicなどの音楽ストリーミングサービスもその一つですね。

ゲームチェンジャー

グローバル化や技術の進化もトレンドといえばトレンドですよね。なので、こうした身の回りの変化へも若者は素早く反応します。その結果、世界に変化をもたらす推進力のひとつになっているのだとか。
以前の記事で紹介したビリーフ・ドリブン(https://note.com/waca_associates/n/neaf435e7ebe5)と言う傾向もあるので、ソーシャルグッドに関心は高そうですよね。
そうした社会的関心の高さを利用して、4時間誰かのためにボランティアを行うと特別な音楽フェスに参加できるというロックコープス(日本ではJTが行っている)のようなエンパワーメントの動きがあるそうです。これらの運動の動きでボランティア活動がイケていると言う価値観が醸成されつつあるようです。さらに、こうした若者たちの行動主義や社会的影響の重要性への意識が他世代にも影響を及ぼし始めているんだそうですよ。

若者のこれらの特徴をコトラー先生は「マインドシェアを獲得するための鍵」と総括します。顧客のマインドシェアを獲得したいのであれば、若者をターゲットにしていくと効果的に働きます。

女性(Women)

女性もまた、市場に対して重要なセグメントなんだそうですよ。コトラー先生はその特徴を、若者と同様3つ挙げています。

情報収集者

購入の意思決定プロセスにおいて、女性の方が男性より複雑になっているそうです。男性は直線的なのに対し、女性は螺旋状になり次のステップを踏むことすら検討に時間をかけるそうです。女性は調査に時間をかけるし、他者の意見も重要視する傾向があるそうです。
情報を集めると言う特性は、事業者側にとっては大きなメリットになりますね。発信が無駄に終わることがないと考えると、やる気が湧いてきます。(笑)

全体を見て判断する

認知から購入に至るまでの間に、女性の方が男性よりも多くのタッチポイント(顧客接点)を経験するそうです。つまり、考慮すべき要因をいくつも抱えながらカスタマージャーニーを進めていきます。その結果、商品やサービスのあらゆる要素(機能性・情緒性・経済性等)を考慮した上で価値を判断します。しかも、日用品などのカテゴリでは自分にとっての価値だけでなく、家族全体にとっての価値も考慮する傾向が男性よりも強いのだそうです。

家庭管理者

家庭におけるCFO(最高財務責任者)は女性であることが多いそうですね。一昔前は「我が家の大蔵省が…」なんて定型句もありました。
要するに、買うか買わないかの最終決定権を女性が持っているケースが多いということです。女性を説得することができれば購買につなげることができるともいえますね。

女性のこれらの特徴をコトラー先生は「市場シェアを獲得するための鍵」と総括します。より大きな市場シェアを獲得したいのであれば、女性の情報を集めて全方面から検討するという意思決定プロセスを経てなお、価値があると判断してもらうというハードルを越える必要があります。

ネティズン(Netizen)

まず、ネティズンがなんなのかという点ですが、ネティズンとはNetwork+Citizenを組み合わせた造語で、ネット市民なんて訳され方をします。この言葉を生み出したマイケル・ハウベン氏による定義は下記の通りです。

地理的境界を超えて、より大きい世界の利益のためにインターネットを発展させることを気にかけ、そのために積極的に活動する人々

Michael Hauben『Netizen』1997

彼らにも、市場に影響を及ぼす特徴が3つあります。

ソーシャル・コネクター

ネット市民はオンライン上で積極的に他者と繋がろうとします。繋がったもの同士でコミュニケーションを図り、多くの情報のやり取りを行うそうです。
最初は一対一のコミュニケーションなのですが、両者の背後にあるネットワークにも情報は波及し、最終的には天文学的な数字のコミュニティを形成します。オンラインなので情報伝達速度も早くその影響力は多大になります。

熱烈な伝導者

ネット市民は匿名利用が多いため、自分の意見を表明する際も大胆かつ攻撃的になりやすい特徴があります。これがプラスに働くとブランドの強力な推奨者になってくれます。また、ソーシャルコネクターという特性と相乗することで、ブランドのストーリーテラーとしての役割を担います。顧客視点からのストーリーを自身の持つネットワークで広めてくれることで、広告では置き換えることのできない効果を発揮します。
近年よく耳にするインフルエンサーマーケティングは、この特徴を活用しようとするものですね。

コンテンツ投稿者

ネット市民は、積極的に新しいコンテンツを投稿してくれるそうです。レビュー記事や使用報告記事、ハウツー動画、電子書籍など様々な形態でコンテンツを作成し、投稿します。この発展形がYouTuberですね。動画コンテンツを作成し、投稿することで商業的な成功につなげています。
マーケティング上では、UGC(ユーザーによる投稿)という言葉でその重要性が解かれています。UGCは口コミ同様にアーンドメディアなので、広告のようなお金を払えば露出できるものでもないので信憑性が高く、他の消費者に大きな影響を与えます。

ネティズンのこれらの特徴をコトラー先生は「ハートシェア(≒プレファレンス・好意度)を拡大するための鍵」と総括します。ブランドに関する好意的な口コミの増幅器として機能するため、ネット市民を伝導者にすることができれば、より多くの人に好意的なメッセージを届けることができます。

まとめ

以上、YWNがデジタル時代においてどれだけ重要なセグメントであるかをご紹介しました。若者の早期採用者やトレンドセッターとしての役割や、ネティズンがブランドの推薦者として果たす役割など、多くの学びがありましたね。特に、デジタルマーケティングに携わるものとして、ネティズンの存在は無視できないものになってきていますね。SNSマーケティングでも、いかにUGCを誘発するかという点がよく論点になります。自社ブランドへの言及数をKPIにするブランドも多いのではないでしょうか。
ターゲットセグメントを決める際は、より細かくセグメンテーションを行い、今日あげた3つのセグメントとかけ離れることがあると思います。それでも無視できないセグメントとして頭の隅に置いておくと、打ち手が変わってくるかもしれませんね。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
コトラー先生って92歳なのだそうですね。今回参考にした書籍『コトラーのマーケティング4.0』は2017年出版なので86歳の時のものなんですよね。改めて凄いなーと思います。「中の人」の祖父母と同年代なのですが、祖父母はPCもスマホも使いませんから、改めてこの書籍の凄さがわかります。
自分もまだまだ学び続けなければいけないなと改めて思わされました。
それではまた来週お会いしましょう。

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