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ビリーフ・ドリブンとパーパス

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。みなさん、ゴールデンウィークをいかがお過ごしでしょうか。
先日、買い物に行った際にこんな掲示を見つけました。

インテリアショップのニトリで見つけたものです。商品棚に値札と同じような感覚で掲示されていました。さて、CO2を削減していることを来店した顧客に訴えることにどんなメリットがあるのかな?という点を今回の記事にしてみようと思います。

消費者の変化

さて、上述したニトリの事例のように、「環境にやさしいこと」あるいは「社会にいいこと」を消費者へ訴求するということは、消費者がそれらの情報を求めていると考えるのが、マーケティング的な思考法だと「中の人」は思っています。消費者が求める情報を提供するからこそ、商品が売れていくというのが常ですよね。では、なぜ消費者はそうした”社会善”となる情報を求めているのでしょうか。これに言及しているのが下記です。

消費者は、「ただモノを買う人」から、「社会を良くするために消費する市民」へと自らを変化させた。だからこそ、企業に対しても同様に、行動の変化と、活動の拡張を求めていく。
(中略)
消費者の企業への期待は、単純によいプロダクトやストレスのない体験を提供することではなく、社会をよりよい方向に進化させることへと変化している。

岩嵜博論・佐々木康裕『PURPOSE「意義化」する経済とその先』NewsPicks

なんだか難しいことを言っているようですが、簡単にいうと、いい商品であることは前提として、それを消費することが社会貢献につながる商品を選びたいという意向が強くなってきているらしいのです。

ビリーフ・ドリブン

上記の書籍の記述を支持するデータとして、エデルマン社の調査よると、ビリーフ(信念)を意思決定の中軸に据える購買者が増えているという結果が出ています。ビリーフをもとに意思決定することを「ビリーフ・ドリブン」というそうなのですが、日本においては60%もの人が「世の中の話題に対する企業の姿勢を見て購入を決める」ビリーフ・ドリブンな購買者なのだそう。

2018エデルマン・アーンドブランド https://www.slideshare.net/EdelmanJapan/2018-122213487

エデルマンの調査では、製品やブランドの広告コミュニケーションを見て、製品の特徴から購入検討する人よりも、そのブランドのスタンス(社会課題や話題に対する姿勢)を見て購入を検討する人の割合が高いというデータも見受けられました。

2018エデルマン・アーンドブランド https://www.slideshare.net/EdelmanJapan/2018-122213487

さらに、冒頭のニトリのような掲示がなぜ必要なのか、という問いにストレートに答えてくれるデータもありました。なんと、6割もの消費者が「購入しようとする際に、ブランド(企業)は重要な問題についての価値観や立場を見やすく掲げるべきである」と答えるそうなんです。

2018エデルマン・アーンドブランド https://www.slideshare.net/EdelmanJapan/2018-122213487

社会的な課題や問題に対して、企業としてのスタンスを見やすいところに掲げてほしいという消費者が半数を超えるんですねぇ。そうなれば、マジョリティな要望に応えようという企業の動きは合理的で納得できますね。

パーパス

まぁ、要するに現代の消費者は、ブランドまたは企業がビジネスを通して、社会課題とどのように接していくのかに関心を払っているということですね。そして、購買は単に消費としての意味合いだけでなく”投票”という意味合いも持つようになってきます。
投票してもらうためには、自分達が何を成し得ようとしているのかを周知してもらう必要があります。そこで登場するのが、パーパスです。近年、パーパスを掲げる企業が増えてきたのは、こうした背景があるからなのですね。

ビジネスの文脈で使われる際、パーパスは「社会的存在意義」と訳されています。「企業はなんのために存在するのか」に加えて、「社会においてどのような責任を果たすのか」という問いに答えたものがパーパスになります。
同様にハイコンセプトにあたる、ビジョンやミッションとの違いは、視点の広さかなと「中の人」は考えています。
ビジョンやミッションは自分達(企業)がどうなりたいかや何をしていくのかを示すものです。一方で、パーパスは企業活動を行なった先にどんな社会をつくりたいかを示します。全てに当てはまるわけではありませんが、ビジョンやミッションの主語は「I」で、パーパスの主語は「We」だと思うと分かりやすいかもしれません。

まとめ

消費者は、単なる消費から、社会をより良くするための消費を選択するようになり、信念に基づく購買行動=ビリーフ・ドリブンな消費者へと変化してきているそうです。それに応じるように、企業側は自社のスタンスや社会善につながる行動を明示するようになってきたようです。その最たる例が「パーパス」の流行でしょう。単なるバズワードではなく、ビリーフ・ドリブンな消費者が背景にあるので、合理的な企業の選択だと思われます。
自社のスタンスを明示するということは、共感者を得ることができる反面、反感を持つ者もつくり出すということは気にしておいた方がよいかもしれませんね。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
ニトリの掲示物を起点にパーパスについて触れましたが、実はニトリはパーパスという言葉は使用していないようです。【ロマン(志)】として「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」という理念を掲げていました。

あと、自社のスタンスを示すという事例が最近ありましたね。スープストックトーキョーの離乳食の無償提供に関する件です。
「ひとり客が利用しづらくなる」という批判に対して、「外食を躊躇う人のためになりたい」だからと言って「特定の顧客を優遇したりしない」という明確なスタンスを提示する声明が出されて話題になりました。
なかなか興味深い事例だなぁと思ってネットニュースを見ていました。

スープストックトーキョーといえば、個人的には、オシャレなあのロゴがWordで作られているという話が好きです。笑

https://www.soup-stock-tokyo.com/things_of_100/

それではまた来週お会いしましょう。


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