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満足度を左右する消費者行動プロセス

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
先週末、ウェブ解析士協会が主催する「珠玉の10分間×100 絶対に見逃せない!デジタルマーケティング人材育成セミナー」が開催されました。告知漏れしてしまったんですが、実は「中の人」も登壇していました。ご視聴くださった皆様、ありがとうございました。

さて、登壇した際に10分という限られた時間で伝えたいことを伝えるのは難しいなと感じたわけですが、本質的にはコミュニケーションの難しさなんですよね。で、コミュニケーションの基本と言えば「相手を知ること」だと思うんですよ。
マーケティングも「消費者とのコミュニケーション」だとすると、消費者のことを知ることが大切になってきますよね。ということで、今週は消費者の行動モデルについてご紹介しようと思います。

満足度を左右するもの

消費者の満足度を左右するものって何だと思いますか?って聞くとやっぱり「商品の品質」が最初に思い浮かびますよね。しかし、現代では品質の差ってあまり知覚されない、というか知覚するのが難しいそうなんです。そこで、目を向けるべきは購買意思決定プロセスなのだとか。
とある研究によると、どんな商材であれ、商品そのものの満足度よりも情報収集段階の満足度は低くなる傾向にあるそうです。
どういうことかというと、「買おう!」と思ったのに途中で買うのを辞めてしまうことが起きているということのようです。
例えば、レジ待ちの列が長くて並ぶのを諦めるとか、販売員の対応が悪くて買うのをやめるとか、必要な情報が得られないor情報が多すぎて混乱したとか、皆さんも経験したことがあるのではないでしょうか。
こうしたことを鑑みて、須永努氏は以下のように指摘しています。

購買意思決定プロセスの途中で起こる問題は、自社の顧客や見込み客が他社の顧客になる可能性を多分に秘めている。

日本マーケティング協会監修『ベーシック・マーケティング』

日本を代表するマーケターの森岡毅氏は書籍で度々「配荷率(その商品を買おうと思った時に物理的に買える消費者の割合)」の重要性を指摘していますが、「配荷の質」にも気を配る必要がありそうですね。

様々な消費者行動プロセス

ということで、購買意思決定プロセスの各フェーズごとに適切なコミュニケーションが必要だということはご理解いただけたと思います。
購買意思決定プロセスというと、「想起」されてから購買に至るまでのプロセスを指すことが多いようです。しかし、想起されてからだけでは目を向けるには不十分だと「中の人」は思います。だって、マーケティング(のうち、Promotion)はどうやって想起集合に入るかが肝になってくるからです。
もっと広い視野を持った消費者行動プロセスを理解する必要があります。

AIDAモデル

まずは、超基本形のAIDAモデルです。このモデルはAttention(注意)-Interest(興味)-Desire(欲求)-Action(行動)というフェーズに分けられ、それぞれの頭文字を取ってAIDAモデルと呼ばれています。
対人説得を短期間で行える場合を想定したモデルと言われていますが、「短期間で」ということを考慮すると「顕在顧客=いますぐ客」を想定したLPにも活用できるかもしれませんね。

AIDMAモデル

上記のAIDAモデルに対して、広告などで認知を取ってから購買までにタイムラグがある場合に用いられるモデルです。Desire(欲しいと思う)からAction(実際に買う)までの間にMemory(記憶しておく)というフェーズが出てきます。いかに商品を記憶してもらい、購買の際に想起集合に入ることができるかが重要だということですね。

AISAS®︎モデル

AISASモデルは、インターネットが普及した現代において、消費者の情報探索や情報共有を考慮したモデルとなっています。
このモデルでは、Attention(注意)-Interest(興味)-Search(探索)-Action(行動)-Share(共有)というフェーズに分かれます。
行動する前に、インターネットを利用した情報探索のフェーズが入り、購買後にその商品情報をソーシャルメディアなどで共有するというフェーズが加わります。

DECAXモデル

このモデルはDiscovery(発見)-Engage(関係構築)-Check(確認)-Action(行動)-eXperience(体験と共有)というフェーズに分かれます。
このモデルでは、これまでに紹介したモデルのように企業発信でAttention(注意)を引いて認知をとるのではなく、ユーザー主体で商品を発見してもらうという点に特徴があります。また、ユーザーとの関係構築に主眼を置いているのも特徴と言えますね。さらに、購買後に商品の良し悪しだけでなく、購買に至るまでの体験の良し悪しを共有するというのも特徴です。
既述の「購買意思決定プロセスの途中で起こる問題は、自社の顧客や見込み客が他社の顧客になる可能性を多分に秘めている。」という点を最も考慮されているモデルではないでしょうか。
詳細は『ウェブ解析士認定試験公式テキスト2022』の313ページを参照ください。

ULSSASモデル

このモデルは、SNSでの行動を考慮したモデルです。UGC(Use Generated Content)を起点とし、SNS上の行動プロセスを見ていくというのが特徴です。
UGC(ユーザー投稿コンテンツ)-Like(UGCを見たユーザーがいいねをする)-Search1(SNS内で検索)-Search2(検索エンジンで検索)-Action(行動)-Spread(拡散する)というフェーズに分かれており、企業発信の情報に触れるタイミングがSearch2と実際に購買するタイミングしかありません。
トリプルメディアのうち、最もコントロールが難しいとされるアーンド・メディア対策が重要になってきそうです。

RsEsPsモデル

このモデルも、SNS上での行動を考慮したモデルと言えます。特徴的なのはどのフェーズにおいても検索・共有・拡散が行われるという点でしょう。
Recognition(認識)-Search・Spread・Share(検索・共有・拡散)-Experience(体験)-Search・Spread・Share(検索・共有・拡散)-Purchase(購買)-Search・Spread・Share(検索・共有・拡散)というフェーズ遷移を辿ります。

まとめ

知覚品質の格差が少なく、コモディティ化している現代において、消費者の行動プロセスの各フェーズで適切なコミュニケーションが求められています。これらを行うことでCX(Customer eXperience)を向上させていく必要があるのです。もし、購買に至るまでの体験のどこかで不満があれば、機会を損失するだけでなく、競合他社へ顧客が流出する可能性があるからです。

そこで、消費者の行動プロセスを理解するために、様々な行動モデルをご紹介しました。今回紹介したもの以外にも、比較・検討というフェーズが特徴のAISCEASモデルや、共感を起点とし、購買に至らない行動も考慮するSHIPSモデルなど様々な行動モデルが存在します。

行動モデルは時代と共に変化していくものですが、近年の主流はSNSを中心としたユーザー主体の行動が他のユーザーを動かすという点を考慮していくのが主流です。

より良い購買体験をしてもらい、良い口コミを広げるためにも顧客をファン化・アンバサダー化していくことが求められます。
今回記述した内容については、公式テキストの6章でも語られていますので、ぜひそちらも参照してみてください。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
この記事を書きながら思ったんですけど、この行動モデルのフェーズってそのままカスタマー・ジャーニー・マップに落とし込めそうですよね。
各フェーズでどうやって接点を持って、どんなコミュニケーションをしていくのかを検討しやすくなりそうです。
しかし、あれですね。行動モデルの変遷を辿るとどんどん複雑になっていくし、どんどんコントロールが難しくなっていってます。マーケティングって難しいですねぇ〜。

あと、これは本当にどうでもいい雑談なんですけど、マーケティングをする人のことを何て呼ぶか問題で「中の人」は葛藤しています。
「マーケター」なのか「マーケッター」なのか。促音が必要なのか不要なのか。どちらも一般的に使われていますよね。
「中の人」的にはタイピング数も少ないし、語感もこっちの方が好きなので「マーケター」を使っているんですが、皆さんはどちらを使いますか?

本当にどうでもいい話で締まらないのですが、とりあえず、来週またお会いしましょう。

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