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自己破産

弁護士さんは、あなたの抱えている借金は平均的なサラリーマンでさえ厳しい金額だ、と言われた。
もう自己破産しか生活を再生することは難しいのではないかと。

ただ、弁護士に依頼するとかなりのお金がかかるから、裁判所に行き自分ですることも出来るからそうしてみてはどうかと提案された。

私は家庭裁判所に行き、自己破産を自分でしたいと伝えると、手続きに必要な書類など教えてもらえた。

書類を集めたりすることはとても大変だった。
自分の名義なのに自分のことじゃなくて、でも名義を貸した以上、自分のことで。
情けなくて情けなくて、1人泣きながら手続きを進めた。

そしてある日、県の1番大きい裁判所から呼び出しがあった。
市街地まで車で2時間はかかる。

少し早く着いた私は、自由に見れるという裁判を静かに見た。
そして、あぁこうやって私も見ず知らずの誰かに、恥ずかしく情けない惨めな姿を見られるんだと思った。

裁判で、払っていけるかどうかと裁判官に聞かれた。
私は、少しずつでも良いと言われるなら〜と言いかけたところで、
「払えるか払えないかを答えて下さい」
と言われ、払えませんと言うと裁判は終わった。
この裁判での記憶はここしかない。
どう呼ばれ中に入り、どう出ていったのか。
いつもこうやって何か大事なことの最中や前後の記憶がかすれる。

全ての手続きが終わった。
私はもう、お金を借りることが出来ないことに安心した。
借りてきて、このローン組んでって言われなくなる。
とりあえず、そこからは逃げることが出来た。

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