CHANELのNo.5を数滴
有名なマリリン・モンローの言葉。
「夜は何を着て寝ているか?」という記者の質問に対して、
「CHANELのNo.5を数滴。」
とにっこり微笑みながら答えたという。
なんて妖艶で上品でウィットに富んだ言い回しだろう。
流石、色気のある女性を象徴する方は言うことが違う。
*
最近、可笑しくもあり虚しくもあったこと。
先週は彼の誕生日だった。
おめかしをして少しお高いところでディナー。
料理が美味しく、いつもは飲まないワインで乾杯。
サプライズも大成功。
彼も大喜び。
コツコツとヒールの音を鳴らしながらお会計に向かう気持ちは一端のいい女。
これが年上の余裕よ、なんて鼻高々な私。
余韻に浸りながら、彼と腕を組んで”いい雰囲気”でお店を出た。
…けれども、なんと階段を降りられない。
登れたくせに降りられない。
慣れない高いヒールのパンプス。無理して飲んだワインのせいでおぼつかない足元。
このまま降りたら、無様に転げ回る醜態を晒すこと間違いなし。と本能が告げる。
何故、こんなに階段が急で長いんだ!
ぶつけようのない怒り。絶望。
『20代のうちにピンヒールを履く期間を作らないと一生履けない。』
って聞いたことがある。
これまでサボってきたツケだな。
結局、持ってきていた運転用のサンダルに履き替えて、ベタベタ音を立てながら帰った夜。
心底恥ずかしかったが、これが”自分”って感じがした。
「大地を直に感じるベタ靴が一番いいわ。」
*
いくらヒールで背伸びしたって、マリリン・モンローのような大人の女性にはなれないことを痛感。
しかし、少しでも近づきたいと香水だけはCHANELを纏ってみる。
愛用しているのは、
・CHANEL シャネル NO. 5 ロー EDT (ヴァポリザター)
・CHANEL チャンス オー タンドゥル
いつも余裕綽々で天下無敵。知的にどんな困難も優雅にひらりとかわす。そんなマリリン・モンローに憧れて。
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