見出し画像

「間違い」じゃなくて「違う」だけ

「僕は不幸ではありません。ただ、人と違うだけなんです。」
そう仰ったのは、生まれつき上半身不随の男性だった。

どきりとした。
心のどこかで『可哀想に。』と思っている自分がいたから。
そんな私の心を見透かすように、男性はにっこり微笑んだ。
「僕にしかできないことがありますから。」
足で握手を求められた。
恐る恐る手を差し出す。
ぎゅっと足を握ったら温かくて、『あぁ、違うけど同じなんだな』って思った。
凄いな、とても敵わないな。
心から尊敬する人だ。

不幸って人が決めるものじゃない。
逆に言うと自分の考え方次第で不幸かどうかは決まる。
今まで進んできた人生が不正解な訳じゃ、きっと無い。
もしかしたら自分には合っていなかったのかもしれないけど、間違いじゃない。

昔付き合っていた人も、優しくなかった訳じゃない。
3年間、必ず道路側を歩いてくれる人だった。
でも、私が本当に欲しかった優しさではなかっただけ。
きっとそういう優しさを求めていた人と、今は幸せに過ごしているのだろう。

「間違い」じゃなくて「違う」だけ。
それに、みんな違っていい。自分にしかできないことがあるし、自分を必要としてくれる人もいるはずだから。
そう思うと、人にも自分にも優しくなれる。

この記事が参加している募集

#多様性を考える

27,832件

#この経験に学べ

54,275件

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?