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唯一無二のガラスの靴

「人生で一番刺さった本」という帯の謳い文句が気になって手に取った、
『傲慢と善良』辻村深月 著
刺さった…刺さりすぎた……。
読んで感じたのは、彼との出会いって奇跡だなということ。

ネタバレになるため詳しい内容は伏せるが、この作品は婚活をメインテーマとしつつ登場人物の持つ”生きづらさ”を浮き彫りにしていく。

誰と会っても心が動かない。
贅沢言ってる訳じゃない。
ただ、"ピンとくる"人に出会いたいだけ。
この人の事好きになれたら幸せになれるだろうに。
そんな傲慢な気持ちになることが私にもあった。
でも、私が選ばなかった人達は、今や皆結婚している。
自分が合わないと捨ててきた靴が違う人が履いたら凄く似合っている。みたいな。
湧き上がる悔しさ、虚しさ。
何故、私は選べなかったのか。
まあ、こんな自分なんて選ばなくて相手にとって、良かっただろうけど。

背伸びした可愛い靴を選んでは「痛い」と泣き、無難で履きやすい靴を選んでは「つまらない」と価値を見いだせなかった。
そんな恋愛の繰り返し。
いつピンとくる靴と出会えるかも分からない時は苦しかった。
暗いトンネルに迷い込んだようで。
どっちに進んだらいいのかも分からなくて二の足を踏んでいた。

でもやっと見つけたの。
とびきり可愛くて履き心地のいいお気に入りの靴。
世界でたった一つの運命の靴。
もう何処へだって駆け出せる。
貴方さえ居れば。

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