「つくりたい」を育てる-外出自粛期間に本棚をつくってみた-
この記事は、「つくりたい」という思いを持った方々の参考になればと思い、VUILDのヴィルダーズ事業部で、手軽に「つくる」ことを叶える3D木材加工機「ShopBot」の販売・事業サポートをしている田中が書いています。
私たちVUILDが、なぜより多くの方々にものづくり環境を届けたいか、そしてどの様にそれらを実現しようとしているかに関しては、ぜひ「はじめまして、VUILDです」の記事をご一読いただけますと幸いです!
0.「つくりたい」を育てる
上記は、VUILDのShopBotを販売するヴィルダーズ事業部のMISSIONです。
ヴィルダーズ事業部では、ShopBot販売、事業サポートを通して日本全国どこでも・誰でも・好きなものがつくれる環境を構築を目指していますが、「わたし、こんなこともできるんだ」という発見を、もっとたくさんの人へ届けるためには、まだまだ足りないことはたくさんあると思っています。
例えば、「つくりたい」を考え形にする工程は、ハードルのひとつ。頭の中で考えているものを、つくることへそのまま移行することに慣れていない人は、「つくる」というフェーズの前に、設計することに目を向けなければならないのです。
では、「つくりたい」を形にする「設計」とは、どのようなものなのでしょうか。実際の本棚制作体験を通して解説します。
1.つくるものを考え、形にする。
頭の中で考えているものを、紙に描いていきます。
いざつくろうと思っても、何をつくれば良いか分からないと思いますが、まずは身の回りにあるものを思い浮かべてみてください。
私の家には本を置く場所が無かったので、本棚をつくることにしました。
まずは部屋のサイズを測ります。
部屋の高さから棚の段数が決定し、飛び出している梁の幅に合わせることで、自ずと本棚の奥行きが決定します。
あとは、好きに棚の形を考えるだけです。
この時点で、考えているものが本当に形になるのかなんて、考えていません。理想を思いのまま描いているだけです。
しかし、考えているものを自由なままにさせておくと形になりません。ここからは、本棚をつくるにあたり必要な条件や制約を設定していきます。
その結果、単純な直線で全て構成し、下記のような相欠き(材料の半分ずつ切り取る)の組み合わせで収納空間をつくることが決まりました。
設計が終わると、次は購入した板を家に運び入れ、板に書いた線に沿ってのこぎりで切断していきます。怪我をしないように、紙やすりで木材の表面や切断面を整えることも重要なポイントです。
普段、データを自動で切削してくれる「ShopBot」に慣れ親しんでいる自分にとって、今回全て手作業で行うことは、デジタルテクノロジーの便利さを知るとともに、手作業でしか現れない端材から新しい価値を生み出すことができました。
2.設計するということ
設計は、家具から建築、工業製品まで様々なものづくりにおいて必要な作業ですが、設計に用いられるCADソフトなどのデジタルツールには、難しいイメージを持たれている方が多いと思います。
一方で、今回の私のように、特別な道具を用いずに紙と鉛筆を用いて図面として計画を表すことも可能です。
では、何故CADソフトが出てきたのでしょうか?
CADは、「コンピュータ支援設計」と訳され、要はコンピュータに手伝ってもらうことを表します。これまで手作業で行っていた工程をコンピューターで自動化することで、業務効率の為に発展してきました。
しかし、いつの間にか使えることが前提になり、触れたことのない人の前に設計の壁が一つ立ち上がりました。「難しい」というイメージが先行し、乗り越えようとも思えないような見えない壁になっていたのです。
更には、3DCADソフトというものが出てきて、幅広いものづくりを楽しめるようになってきました。無料で試すことができ、使いやすい画面にもなっているのですが、そもそものCADの壁が存在するので、「3D」と聞くと、もっとハードルが高く感じるかもしれません。
VUILDで設計・施工を担う事業部「VUILD ARCHITECTS」のWEBサイトには、これまで実践してきたShopBotによる加工事例を掲載していますが、滑らかな曲線や複雑な形態が多いので、正直自分でつくるイメージが沸きにくいかもしれません。
しかし、わたしたちが先駆者となり、「つくりたい」を追い求めてカタチにしていくことは、必要なことだと思っています!
3.描いた線が手元に届く今
今回は全て手作業で本棚をつくりましたが、誰でも簡単に描ける単純で真っすぐな線で構成しているので、建築分野の人に留まらず、名刺のデザインからオリジナルのロゴデザインまで、ありとあらゆるデザイン製作に幅広く親しまれている「Adobe illustrator」で設計データをつくることも簡単です。
作成したデータは、VUILDが提供している「EMARF*」に送信すると、自動で見積もりや加工時間が算出され、データ通りにShopBotで木材を加工して、自宅に届けてくれます。
手作業で本棚のパーツを作った場合とEMARFを使ってShopBotで加工した場合を比較してみました。
ShopBotで加工すると、約6時間で全ての板が切れることが分かりました。
手作業(約28時間)の4分の1以下の時間で加工できる想定になりました。
illustratorで書いた線がものとして出来上がるのは、名刺やTシャツ等のものに印刷された状態が一般的ですが、2Dの画面上で書いている線が木材という立体物となり手元に届く体験は、新鮮に感じるかもしません。
4.おわりに
デジタルテクノロジー(3D木材加工機「Shopbot」やクラウドプレカットサービス「EMARF」)を使うのは絶対ではありませんし強いるものではありません。
しかし、実際にテクノロジーに触れてみることで、手作業との比較をすることができたり、これまで実現できなかった理想をカタチにできたりと、自分なりの発見があります。
それが私が思う「つくりたい」を育てるために必要な、小さくて大きな一歩だと感じました。
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【おまけ】サンプルデータの配布
EMARFのユーザーコミュニティ「EMARF Forum」でRhinoceros、AutoCAD、 VectorWorks,、Illustratorに対応したデータを公開中!参考にするもよし、作ってみるもよし。ぜひご活用ください!
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