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コロナ以降も普段通りに -VUILDのリモートワーク論考-

先日は、「自律分散協調型の組織」を目指すVUILDの働き方に関する価値観を記事にさせていただきました。今回の記事では、そんな価値観をもったVUILDが新型コロナウイルスを受け、何を考え、どのように対応してきたかを赤裸々にシェアさせていただきます。

VUILDの対応

2月下旬頃からクライアントとの打ち合わせをはじめ、少しずつコロナウイルスによる影響が散見されるようになりました。VUILDでは3月18日時点で、例年同様に今年も「全社会議&入社式」をオンラインで開催することが案内されました。
そして、3月26日に初めて代表から全社員に対して、コロナウイルスを踏まえた以下の指示が社内のコミュニケーションツール「Slack」にて共有されました。

3月26日  
1) 許可を出した人以外は自宅でリモート業務に切り替えてください。
2) ラボ(川崎の工房)でどうしても制作があるなど、止むを得ず出社しなければならないメンバーは(この投稿の)コメント欄で出社時期や時間を教えてください。それを鑑みて、許可を出します。
3) 土日や仕事のない日でも4月前半までは外出を控えてください。特に、公共交通機関や人が多く集まる場所へは行かないでください。
▷ご飯やトイレットペーパー、マスクなどが無く不安な場合はDM(ダイレクトメッセージ)で知らせてください。
4) 毎日体温を測ってください。
▷37度5分以上が出た場合は、 DMで知らせてください。
5) 少しでも外出した場合は手洗いを徹底して、スマホなどの手で触れたものを消毒して下さい。

4月7日の緊急事態宣言を受けて、再度、代表・秋吉から社員全員に対して共有がありました。以下の指示を経て、9日からは出勤禁止になりました。

4月9日 
1) 来週から5月6日まで川崎工房封鎖
2) 今日から5月6日まで外出(他社との接触)を8割に抑えること
3) 自分は無症状感染者で他人に移す/他者を殺す可能性があることを意識して行動すること
4) 毎日のルーティンを出来る限り決め生活のリズムをつくること
5) 業務以外の対話が生命線になるのでRemoで積極的に交流すること
6) 必要なものを躊躇せず与え合うこと


出勤禁止(完全リモート移行)する上での障壁は何か

先日の記事にも書かせていただきましたが、中央集権的な建築産業を自律分散型へとシフトしていくことを事業を通じて目指しているVUILDでは、地方を拠点とするメンバーが創業当初から在籍しています。そのため、リモートワーカーが居る前提で環境が整備されてきました。
創業時の2017年から、社内のコミュニケーションツールはSlackをベースとして使用し、書類・データ管理はGoogle Driveを活用しています。入社式を含む殆どのミーティングには遠隔から参加するメンバーがいるため、対面でもzoomを開いて議事録等を画面共有しながら開催していました。このように、リモートベースで会社を成立させるために、グラフィックボード搭載のゲーミングノートパソコンをメンバーに支給するなど、高性能かつ移動性に優れた職場環境を整えてきました。

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【フルリモートには耐えられないデータ通信量】

しかし、通常の業務範疇では問題のなかった自宅のインターネット環境も、四六時中使い続けるとなると支障をきたしてきます。VUILDでは、出勤禁止になった翌日にネット環境に関するアンケートをSlack上で実施しました。

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アンケート結果からもわかる通り、ほとんどのメンバーがリモート前提でインターネット環境を整備していたのが功を奏し、問題なく働くことができていました。状況によってポケットWiFiから有線に切り替えたり、データ通信量を増やすなどして対応しています。

バックオフィスのフルリモート化

新型コロナウイルスへの対応に関わらず、平常時からVUILDのバックオフィス周りでは以下のツールを活用しています。

・SmartHR(労務管理)
・Pasture(業務委託管理)
・マネーフォワード会計(会計)
・マネーフォワードクラウド請求書(請求書発行)

VUILDでは大勢の業務委託スタッフが活躍しているため毎月大量の発注書発行や請求書回収が必要ですが、これらをPastureというオンラインツールで一元管理しています。
また、得意先との請求書のやりとりについてはクラウドサービスを活用し、事務作業を簡略化。基本的には作成した請求書データをPDFデータで送付していますが、相手先によっては「押印した原本」を求められることもあり、押印・郵送といった手続きが生じることもあります。その場合は、臨機応変に対応しています。

押印と郵便の課題

創業時から積極的にクラウド活用、オンライン化、そしてリモートワークに取り組んでいるVUILDですが、新型コロナウイルスによる外出自粛下においても、実印の受け渡しや窓口に出向いての書類提出など、アナログな対応が必要なシーンは発生しています。
また、日々届き続ける郵便物も課題のひとつ。出社ができない今の状況では一時的に転送サービスを使用することで「郵便物をチェックするために会社にいく」ことは回避できていますが、担当者別に転送設定ができるわけではありません。会社宛のすべての郵便物が個人宅に届き続けることは想像以上の負荷であり、また担当者に迅速に必要な情報がいきわたらなくなるリスクでもあります

社内の手続きについてはほとんどオンライン化が実現しています。しかしながら、ハンコや郵便などはどれも相手があってのこと。社会全体の足並みが揃わなければ本当の意味での「バックオフィスのフルリモート化」は難しいと感じています。

リモート環境下でのバーチャルオフィス「Remo」

ランチをみんなで食べたり、目的のない雑談が行われにくいフルリモート環境下において、VUILDでは4月10日から「Remo」というサービスを活用して、バーチャルオフィスを開設しました。

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 Slackにバックオフィスのメンバーから以下の様に案内があり、トライアルの運用が始まりました。

【Remoに関して】
1) 各自Remoにログインしてご参加ください。
(Googleアカウントでログインして頂くと簡単+アイコンなどが出るので便利)
2) 開設時間中は出入り自由ですので、いろいろお試しください。
3) 行きたい先の「テーブル」をダブルクリックするとその部屋に入れます。
4)「テーブル」の名前はご自由に変えて利用してみてください。
5) チャット/ホワイトボードなどRoomの機能はどうぞ自由にトライしてみてください。
6) 使い方について、参考になるnoteがあったので、是非ご一読を。
https://note.com/tomoenakata/n/nced413ef83f1
7) スマホからは入れませんのでお気をつけください。

【ランチタイムのギターセッション】
Remoでは用途によって部屋を使い分けることができるので、ランチ時にはランチルームで雑談しながら昼食を食べたり、ギターを弾いたりなど各自が自由に時間を過ごすことができます。終業後には、有志の麻雀大会や飲み会なども開催されています。

社員の協調チャンネルの誕生

出勤禁止・外出自粛の要請が出てから誕生した、助け合いを促進するSlackチャンネル。こちらでは、一人暮らしをしている社員が多いVUILDならではのやりとりが展開されています。(笑)

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現在、入手困難な体温計やポケットWiFiの貸し借りや、高知に住んでいるメンバーからビタミン不足のみんなへ、文旦🍊の贈り物がされていました!

自律分散型の暮らし方

この機会に、リモートワーク・在宅勤務を長年経験しているVUILDのCOO・井上に、働き方においてどのような変化があったか話を聞きました。

人口1500人ほどの岡山県西粟倉村に移住して11年目となるCOO・井上は、 VUILD創業前から岡山県にて「西粟倉森の学校」を経営しており、住まいの拠点を西粟倉に置いて働いています。新型コロナウイルスが蔓延する前は月の半分を岡山に、もう半分は全国へ出張する生活を送っていました。

2歳半の娘さんと、今年の夏に第二子が生まれる予定の井上はどのようにワークライフバランスを取りながら、現在の状況下で働いて居るのでしょうか。

自律的に、柔軟に

これまで出張の多かった井上も、コロナ禍においてはしばらく出張のない日々が続いています。ですがその一方で、「家庭とのバランスが取りやすくなった」そう。
出張の前には荷物を用意したり早朝の移動に備えて早く寝たりと、それほど大きなことでは無いけれどもマインドシェアを取られたり、精神的に配慮しなければならないことが沢山あります。そんなストレスが削られたり、出張の時間が余白になることで、井上家では週末は井上自身がご飯を作ったり、お子さんと遊んだり、食料危機に備えて家で畑を始めたりと、これまでとは違う時間の使い方ができるようになったそう。

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また、最近ドアを開けられるようになり、家を縦横無尽に走り回っている娘さんが、社内のzoomミーティング中にドアを開けて「ぶどうが食べたい!🍇」と入ってくる場面も。(笑) その際は一旦離脱して、おやつをあげたりしているとのことですが、このリモートワーク環境下において、無理に「プライベート」と「仕事」を区別することの限界を感じていると語っています。

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【△外に出られないために、娘さんのためにダンボールで制作した家】

このように、在宅勤務における難しいポイントの一つが、「プライベートと仕事の区別」ですが、VUILDでは創業当初からフレックス(勤怠管理を行わない)体制をとっています。

「家に居るけれど、会社の勤怠上は勤務時間だから家族と同じタイミングでご飯が食べられない」
「子供の機嫌によって、時間を取られることに罪悪感を感じる」

この体制をとることで、上記のように、家族みんなが家に居る様な環境下でも、「家族生活」と仕事を両立しやすくなる。勤怠管理をしないことで、子どもに合わせて「朝早く起きて仕事して、夕方早く終わってご飯を一緒に食べる」生活や、逆に「昼過ぎに出社し、夜遅くまで働く」などそれぞれのライフスタイルに合わせた生活が成り立ちます。

このように、個々人の働き方に合わせられるのがリモートワーク・フレックス体制の利点であると同時に、プライベートと仕事の垣根が曖昧になる現在の様な状況で、無理に時間を区切るのではなく、それぞれの生活スタイルに合った方法を模索するのも一つの手かもしれません。

家庭と仕事の垣根が益々低くなった現状では、より柔軟かつ自律的な行動が会社にも個人にも求められています。VUILDでは、先日投稿した働く上でのVALUE(共通して持つ価値観)を軸として、協調し合いながら自律分散的に仕事を進めています。

分散型ものづくりの強み

上述の通り、緊急事態宣言を踏まえて自社の工房・工場の稼働は停止しています。それでも私たちは「普段通りのものづくり」を行うことができています。なぜなら、デジタルファブリケーションを前提にした製造プロセスは、現場に行かずともデータの送受信によってものづくりを完結することができるからです。

具体的には、緊急事態宣言が発令されていない地域工房に協力を依頼し、加工データを送付し部品を自宅・現場に届けてもらっています。これこそがクラウドの力であり、一極集中型ではない分散型の産業構造ならではの冗長性・レジリエンスの高さであると考えます。これまで述べたように、このような自律分散型の働き方を前提としているため、今回の緊急事態宣言下でも普段と全く変わらぬ状況で働くことができていることを実感しています。

▼分散加工の一例

おまけ

最後まで読んでくださりありがとうございます!在宅勤務を強いられる厳しい状況が今後も続きそうですが、少しずつ工夫をこらしながら耐え忍んで行きましょう。

おまけと言ってはなんですが、以下の様な川崎の工房の写真や、これまでVUILDが手がけてきた作品の画像の一部をGoogle Driveフォルダにて公します。撮影は、日曜大工記事にも登場してくれたVUILDで設計・撮影を担当する黒部駿人さん。zoomの背景やパソコンの壁紙など、ぜひご自由にお使いください!少しでも気分転換になれば嬉しいです。

▶︎黒部さんのinstagramはこちら

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