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離れた拠点を繋ぐものづくり「VUILD at Home」

緊急事態宣言下でもものづくりを続けたい!そんなVUILDメンバーの想いが重なり合って実現した、Stay Homeしながら東京と高知の2拠点を繋いで行われた自主製作の様子をお届けします。

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【プロフィール】
黒部 駿人 HAYATO KUROBE
デザイナー/ フォトグラファー

1993年埼玉県生まれ。2015年芝浦工業大学工学部建築学科を卒業後、東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻へ進学。1年間の留学期間中にDGT ARCHITECTS(現ATTA フランス・パリ)でのインターンとTakuji SHIMMURA photography (フランス・パリ)でのアシスタントを行う。2018年よりVUILD株式会社に入社し、まれびとの家や屋台、スツールなどの設計と各プロジェクトの竣工写真の撮影を行う。

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森川好美  KONOMI MORIKAWA
デザインファブリケーター/ エンジニア
1993年生まれ、東京出身。2016年に慶應義塾大学SFC田中浩也研究室を卒業後、高知県佐川町に拠点を移し町営のファブ施設の立ち上げ・運営に携わる。また東京のNPO法人にも関わり、高知と東京の二拠点生活を開始。2018年2月にVUILD株式会社にジョイン。全国を飛び回り各地へのShopbotの導入・研修やワークショップの企画運営などに携わる。2020年3月に高知県佐川町にてMORILABを設立。

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早急に整えたい、自宅の働く環境

日曜大工シリーズ#1でも登場した黒部が、今回は大学時代の別の友人からデスクの製作を依頼されたところから始まりました。依頼主の友人も建築系の設計事務所に勤めていますが、本来は一級建築士の資格勉強のために製造の練習をする机が夏頃までに欲しい、という話だったそうです。しかし、新型コロナウイルスによって状況が変わったことで、自宅での勉強・働く環境をいち早く整える必要性が出てきました

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そこで、時期を早めた4月の2週目にzoomにて1回目の打ち合わせを実施。実際にデスクを使用したい部屋からzoomを繋いで貰うことで、部屋の雰囲気やサイズ感など、使用する際のイメージをよりクリアに共有することができました。

離れた拠点を繋ぐ、分散型のものづくり

これまでの日曜大工は、VUILDの川崎の工房を中心に行ってきましたが、現在は例外なくVUILDも出勤禁止期間中であり、通常のように製作を行うことはできません。一方で、場所を問わないものづくりの可能性を広げるのがデジタルファブリケーションの力。VUILDが5月末にリリース予定の「EMARF3.0」は、これまで全国に導入してきた50以上のShopBot拠点をクラウドでネットワーク化することで、データさえあれば場所を問わずに分散型のものづくりを支援するサービスです。

今回、黒部とVUILDの同期であり高知県佐川町に住むメンバーの森川も、分散型のものづくりの力を使って製作しました。黒部がオンラインで依頼者とコミュニケーションを取りながら設計の詳細を詰めて行き、森川が緊急事態宣言の発令されていない高知にて材料を仕入れ、加工を行うという役割分担です。

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使用する材料は、森林資源の豊かな高知県佐川町ならではの檜の無垢材を材木屋さんで仕入れたそう。高知は杉よりも檜が主流なようです。ホームセンターでは規格化された木材ばかりだけれど、佐川町の地元の木材屋さんだからこそ手に入れられる素材にこだわりました。分散型のものづくりは、地域性に合わせた材料を選べるのも強みです。

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一枚の大きな天板を取ることはできませんでしたが、逆に幅が狭いという「制限」が新たなアイディアに繋がったそう。せっかく二枚を繋げるなら、パソコンの充電コードを通せる様な隙間に電源タップを仕込んで配線関係を整えられるような仕様にしました。また、300mmの板材の制約により輸送のコストも下がったそうです。

また、遠方に発送するための手間を省くため、コンパクトに梱包が出来る工夫も凝らしています。梱包の際も、使用する際も、二枚の板を固定するのに紐を活用。紐は取り外しできるので、自由に色を変えて楽しめます。

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木部のほぞはゆるめに作り、幅広の紐を天板の溝にかけて縛ることで強度を担保できます。また、人を家に呼ぶことができない現在の状況下でも、一人で簡単に組み立てられるように紐を固定するのにバックルを活用しているそうです。

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川崎の工房はもちろんのこと、首都圏ではホームセンターに行くことも厳しい状況です。こんな状況なので黒部も制作を諦めかけていたそうですが、だからこそ自分の出来ることを行いたい。そんな想いから、高知の森川と共同でものづくりが実現しました。

設計から納品まで人に会わずに行えること。
地方の豊かな材料を使用できること。
デジタルツールを扱えること。


コロナ禍でサプライチェーンや働き方、様々なものが通常通り機能しない中でも「ものづくり」を続けられるマインドセットやスキルセットがこれからの設計・製作者には求められているのかもしれません。

「モチツモタレツ」なプロジェクト

黒部が友人に依頼された家具を日曜大工的に制作している様子は、日曜大工シリーズ#1でご紹介しましたが、森川も高知にて「MORILAB」として地域に根付いたものづくり工房を展開しています。

そのきっかけは、高知に移り住んでから4年が経ち、「地元の方々から野菜やお米などのおすそ分けをもらうけれど、返せるものが無い」と悩んでいたこと。ですが、森林資源をはじめ高知の豊かな地域リソースと、森川の持つデジタルスキルを掛け算することで、今回のような遠隔でのものづくりや、スマート農業、地元の地域の子供たちにプログラミングを教えるなど、色々な活動が展開出来るのではないかと考え始めました。そのための屋号として、今年3月に「MORILAB」をオープン。そして、こんな状況だからこそ「設計料」の壁を取っ払いたいと考えていた黒部も、「お金以外の価値の交換をする関係性の輪」が広がって行くことに共鳴しました。スクリーンショット 2020-05-16 18.06.18

「あなたために家具をつくります。オンライン設計で、設計料はもらいません。お礼はモノ(有形・無形問わず)」でお願いします。そして、オンライン上でそのつながりを公開します。」

今回の製作を皮切りに、日曜大工シリーズ#2に登場した中村も巻き込み、社外共同プロジェクト「モチツモタレツ」を始動。今後も地方にあるMORILABを加工拠点に、VUILDで働くメンバーだからこそ実現できる世界観を持って、コロナ禍でも妥協せずにものづくりを続けていきます。

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▲  ホームページのイラストも、家具製作との交換で作っていただいたものだそう。また、完成したデスクの素敵な写真も、高知の雄大な自然の中で森川の写真家の友人が撮影してくれました。

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▲  手をいつも以上に入念に洗う今、いい香りでちょっぴり幸福度も上げてくれるAesopのハンドソープをお返しにいただいたそうです!

EMARF3.0で分散型のものづくりをしてみませんか?

そして、こんな形で人に会わずにStay Homeしながらものづくりができるサービス「EMARF3.0」が今月末に一般公開を控えています!「EMARF3.0」とは、私たちが全国に導入して来た50以上のShopBot拠点をクラウドでネットワーク化することで、これまで「加工」に手が届かなかった設計者の方々と加工を繋ぎ、設計者自らが思い描いたものをそのまま実現することを可能にするサービスです。デジタルファブリケーションの力で思い描いたものをStay Homeしながら手に入れることができる、そんな力を持つ「EMARF3.0」リリースまでもう少し。リリース直前イベントもいくつか開催いたしますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

▼5/20(水)21:00〜 OPEN VUILD「売ることの民主化/ 作ることの民主化」ゲスト:株式会社メルカリ 取締役CINO 濱田優貴さん

▼5/22(金)21:00〜 OPEN VUILD「リモートで働く/ リモートで作る」ゲスト:株式会社キャスター 代表取締役 中川祥太さん

▼EMARFについてnoteでご紹介しています。こちらもぜひ読んでみてください!

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Website : https://vuild.co.jp
Twitter : https://twitter.com/VUILDinc
ShopBot Site:https://shopbot.vuild.co.jp/
VUILD ARCHITECTS: http://architects.vuild.co.jp/
EMARF: https://emarf.co/


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