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ピボットの真意とは? 先行者利益にしがみつくより、常にチャレンジャーであるべき理由

1月28日、バリュエンスグループとしては初となる一般消費者向けのオークションを開催しました。希少性の高い時計を取り扱った「ALLU AUCTION(アリューオークション)」では、Patek Philippe(パテック・フィリップ)のCelestial(セレスティアル)が3050万円で落札されるなど、盛況でした。

これまでBtoBのオークションを手がけることで成長してきたバリュエンスが、なぜBtoCのオークションを開催したのか? 今日はそんな話をしたいと思います。

先行者利益は長続きしないどころか急所になり得る

バリュエンスホールディングスでは、買取事業『なんぼや』『BRAND CONCIER』『古美術八光堂』の全国70店舗以上から、仕入れた商品を業界向けに売るBtoBモデルのオークションを開催してきました。

圧倒的な仕入れ力と、たしかな目利きでいわば「ライバルに売る」ビジネスを成功させてきたバリュエンスですが、コロナ禍による急激なビジネス環境の変化から、私たちの優位性、独自性が薄れてきていると感じることが何度もありました。

ビジネスの世界において、先行者利益はたしかに存在しますが、この成功体験にしがみついているとあっという間に自分たちの武器を失うことになります。

ただでさえ情報伝達が早い時代です。オリジナリティのある手法やシステムも、やがて研究分析され、丸裸にされた後には模倣されて追いつかれてしまいます。しかも、後発は先行者のぶつかった課題や問題を把握しやすく、これを克服した改良版を市場に出しやすいポジションにあります。

BtoBという“発明”と変化への適応

「優位性があるうちに新たなことを始める」
格言のようにいわれることですが、過去の成功体験を手放し次のステップに進むのはなかなか勇気がいることです。

BtoBのオークションという“発明”を経た後では、一般顧客を対象とするBtoCのオークションは先祖返りというか、退化のように感じなくもありません。

それでもバリュエンスには、BtoCオークションを開催する理由があったのです。

インターネットが世界中に張り巡らされ、世界中の人たちがそこに蓄積された情報を手元のスマホで自由に取り出せる時代です。
もしかして、歴史上初めて「売る側よりもお客さまが商品の情報、知識を持ちうる時代」がきているのかもしれません。

リユース業界では、お客さまが情報を持っている前提で、プロとして知識で負けないのはもちろん確固とした基準や審美眼を持つ必要がありますが、査定の相見積もりがスタンダードになった現在、業界全体でも「買い取って売る」というスキームの利益は減少傾向にあります。

バリュエンスでも、商品を売ってくださるお客さまだけでなく、商品を購入するお客さまとダイレクトにつながれる機会を増やしていくことで、リユースの循環サイクルを強めていこうという狙いがあります。

新しい挑戦が生む前向きなエネルギー

オークション開催に当たっては、サザビーズやクリスティーズといった世界トップクラスのオークションハウスをベンチマークに、商品クオリティはもちろん、オークションのためのアプリのUI(ユーザーインターフェイス)、UX(ユーザーエクスペリエンス)にも気を配りました。

今回会場にしたのも、世界的な彫刻家・名和晃平さんにディレクションを依頼したプレミアム顧客向けアートラウンジ「VALON BY VALUENCE」

単なる高級時計のオークションではなく、私たちの目指している世界観、空気感をお客さまにダイレクトに感じていただける機会となることを意識しました。

初開催ということもあり、すべてにおいて満足とはいきませんでしたが、何事にも初めてがあり、それが歴史として積み重なっていくものだと思っています。

一つあまり想定していなかった嬉しい誤算が、BtoCオークション開催に対するバリュエンスメンバーの反応でした。

今までやってきたBtoBのオークションとは違う、お客さまと直に触れ合う機会は彼らにとって「新しい体験」。日常化した仕事、既定路線ではない仕事に携わることでやりがいを感じている様子でした。会場で接客しているスタッフの目の輝きが違うことは、遠目に見てもすぐにわかりました。

戦略や売り上げ、オークションの収益も重要ですが、あの空間に生まれたポジティブな空気自然発生的に生まれたエネルギーの塊こそ、過去の成功を手放し、新しいことにチャレンジした成果であり、バリュエンスホールディングスの新たな推進力になると確信しました。

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