世界的な彫刻家・名和晃平さんにプレミアムアートラウンジのディレクションを依頼したら、いろいろすごかった。前編
本日、正式に発表させていただきましたが、プレミアム顧客向けアートラウンジ「VALON BY VALUENCE(バロン バイ バリュエンス)」を2022年5月3日(火)東京・銀座にオープンしました。
プレミアム顧客向けアートラウンジ「VALON BY VALUENCE」がオープン
アートラウンジ? 何するところ? という疑問はともかく、みなさんに真っ先にお知らせしたいのは、「VALON」のディレクションを世界的な彫刻家・名和晃平さんにお願いし、そのお仕事を間近で見させていただいたことです。
名和さんについては、私にとって初めてのNFT(非代替性トークン)アート作品となった『White Deer』の購入体験で詳しく書いていますが、
フランス・ルーヴル美術館の象徴、ピラミッド エリアに彫刻作品「Throne」が特別展示されたことでも知られる日本を代表するアーティストに、VALONの空間デザインをお任せできたことは本当に興奮する出来事でした。
デザインをお願いしたのは世界的な彫刻家、名和晃平さん
銀座4丁目のレトロなビルのワンフロアに姿を現したVALONのコンセプトはもちろんサステイナブル。
名和さんもこのコンセプトをしっかりと受け止めてくださり、従来であれば覆い隠される建築の構造体や捨てられてしまう廃材・端材の活用、生産時のプロセスや材料そのものの魅力を空間化してくれました。
フロアには、名和さんによる彫刻や絵画、アーティスト・清川あさみさんの手がけた平面作品を展示、「神は細部に宿る」を地で行く細やかさで、理想の空間ができあがっていきました。
名和さんとの出会いは、昨年のこと。入社したオークション担当社員が、アート業界に精通していたことで、独自のルートから依頼ができるかもしれないといったのがきっかけでした。名和さんにお願いできるかは未知数でしたが、もしお願いできるなら、他のどのラウンジ、サロンとも違う空間にできることはわかっていましたし、私自身、名和さんがどんなものをつくるのか、コンセプトに対してどんな空間を創造してくれるのかというワクワクが、引き受けてもらう前から止まらない状態でした。
さすがにハードル高いんじゃないかとは思ったのですが、まずは1回会いましょうという話しになり、弊社の品川オフィスで最初のミーティングをさせていただきました。
お互いに様子を見ながらみたいなところもあったので、最初は形式的な話に終始した印象でした。名和さんにしてみたら「こいつ、何者や?」みたいな感じだったとは思うのですが、バリュエンスがグループを挙げて取り組んでいるサステナビリティ、動機や歴史、ビジョンまでを伝えたところで、心なしか表情が柔らかくなった気がしたんです。
最後の15分、20分は聞き取りとか、検討のための要件確認という堅苦しさはなくなって、「じゃあ今度は、京都のギャラリーを見に来てください」
といっていただけたんです。
名和さんの制作過程を見せていただけたことが何よりの刺激に
名和さんは、京都・伏見区の宇治川沿いにあるサンドイッチ工場跡をリノベーションした「Sandwich」という拠点を持っています。工房とか事務所というより、「創作のためのプラットフォーム」であるこの場所は、私が想像していた場所とはまったく別の場所でした。
芸術家、アーティストの作業場というと、雑然としていたり、ある種のカオスを感じさせるような独特の空間のイメージってありませんか?
Sandwichは、ギャラリーも兼ねているアトリエのですが、なんていうか、とても洗練されていました。塵一つ落ちていない、管理された区域でクリエイターが作業をしている。
アーティストが一つの作品を仕上げるのには、時間も体力もコストもかかります。絵画にしても彫刻にしても、当然1年で制作できる点数は限られます。
「自分の中にある作品をあとどれくらい世の中に送り出せるか」
優れたアーティストは、才能が涸れることより、人間一人の一生では「間に合わないこと」を不安に思うともいいます。
名和さんのSandwichでは、作品の設計図に基づいて制作が行われ、組織化されたなかでアーティストたちがその能力を発揮していく仕組みができあがっていました。
制作の過程について知識で知っていた面もありますが、名和さんの素晴らしい作品の数々がここまで組織化され、合理的なプロセスで生み出されていること、その現場を目の当たりにして正直、圧倒されました。
京都に伺って、ますます「名和さんにお願いすることの意味」が膨らみ、名和さんの方でもコンセプトに共感いただき、プロジェクトがスタートすることになりました。
VALONのコンセプトや名和さんのディテールへのこだわりは明日のnoteでお話しします。
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