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サッカー部で身に付けた「ゴリ押しじゃない」リーダーシップ~戦力外Jリーガー社長の道のり2

21歳でガンバ大阪から戦力外通告を受けビジネスの世界に飛び込んだ私の物語を連載でお届けしています。

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思ってたのと違う? 初めてお会いする人に言われること

小・中・高とサッカー部では常に中心選手で、Jリーグでプレーしていました。今は経営者です。関西出身です。

この情報だけ持っている人と実際にお会いすると、

「思ってたのと全然違う」
とよく言われます。

思ってたのと違うって、どんなん想像してたん?
とツッコミたくなる気持ちもあるのですが、多くの人は「物腰が柔らかい」と思ってくださるようです。

たしかに、体育会系のゴリゴリのアスリート! を思い浮かべていたら、私のイメージとは違うかなと思います。

高校の部活を引退するとき恩師にかけられた言葉

高校を卒業するときのことです。

サッカー部の監督から
「お前はいつでも、どんなときも他の誰よりも手を抜いていなかったな」
と声をかけられました。

3年間の総括としてこういう言葉をもらえたことは、私にとって大きな喜びでした。

監督にこう言われて自覚した部分もありますが、たしかに私は、どんなことでもおろそかにしない、誰も見ていなくてもやるべきことはきっちりやるという課題を自分に課してサッカー部での3年間を過ごしていました。

1年生からレギュラー組で練習し、試合にも出場させていただいた私は、ある意味で同級生の中ではお手本のような存在、そうなるべきだという思いがありました。

表立ってチームを引っ張るタイプではありませんでしたが、私自身に課せられたチームの役割はわかっているつもりでした。

自分のためにも、周りのためにも手を抜かない姿勢を見せる

練習前のアップでも、実はすごく意識して絶対に手を抜かない。下手をするとルーティンのように「ただやるだけ」になりがちなアップにも目的意識を持って誰よりも声を出し、やること一つひとつに明確な効果が出るようにやることを心がけていました。

もちろんこれは自分のためで、試合に出られていたからアップは適当でいい、練習で手を抜いていても試合でいいプレーをすればいいというマインドでは、高校サッカーのその先、Jリーガーにはなれないと思っていたということもありますが、関大一高サッカー部のなかでの自分の役割として、「行動や態度、練習に向かう姿勢で周囲を変えていく」ことを意図的にやっていたように思います。

自分のためにも「手を抜く」ことだけはしなかった高校時代

キャプテンは他にいたのですが、私の行動、態度、姿勢がチームに響いたからこそ、監督は私の「手を抜かない」取り組みを褒めてくれたのだと思いますし、こういうリーダーシップの発揮の仕方があるということは、サッカー、高校時代の部活の経験を経て得たものでもあります。

ビジネスにも生きている「手を抜かない姿勢」の波及力

経営者としても、こうした「手を抜かない」、「些細なことにこそ気を配る」姿勢はかなり意識しています。

特に意識しているのは、人に話を聞く姿勢です。
ビジネスの世界に身を投じて思うのは、対人コミュニケーションの中で、相手がとってほしくない態度をとる人があまりに多いこと。リユース業の接客でも、日常会話でもそうですが、話を聞く際の姿勢はすべてのことの基本だと思うのです。

誰かと話す機会を得たとき、私は話すより聞くことに徹します。相手が心地よく話すためにどういう態度がいいのか、相づちを打ったり、質問をしたり、話している相手の立場で話を聞くという姿勢は、駆け出しの頃から経営者となった今でもまったく変わっていません。

ビジネスパーソンとして心がけている「聞く姿勢」

なぜそうするのか? 常に謙虚であるべきということもそうなのですが、私の場合、そうした方が得られるものが多かったという成功体験があるのです。

多くの人は自分の正しさ、自分の経歴や手柄を話したがります。お互いにそうなってしまうと不毛なマウント合戦が始まってしまいます。そんな話をするより、相手の思考や経験、自分とは違う意見を聞いた方がはるかに成長できる

企業のトップが聞く姿勢を意識し、商談であってもメンバーとの面談であっても、いかに相手に話してもらうかに腐心している姿を見せられたら、今バリュエンスで働いているメンバーも、何かを感じ取ってくれるはずです。

高校時代に意識していたことを監督がちゃんと見ていてくれて、それを適正に評価してくれたことは幸運でした。

注意ばかりの社員教育よりトップの姿が物を言う

ただ、私は誰も見ていなくても、誰からも評価されなくても、それでも自分のいいと思ったことを地道に積み重ねること、その姿を見せることで周囲にいい影響を与えるリーダーシップというのもあるような気がしているのです。

口うるさく注意したり、「最近の若者は……」と問題の本質を世代間ギャップに置き換えたりするより、こうした方が成長できる、だからウチのトップはああいう姿勢なんだなと気づいてもらえた方がはるかに効率がいいですし、自発的な成長につながるのです。

「ちゃんと見ていてくれた」
ということでいうと、選手権に出場したとはいえ、全国的には無名だった私がガンバ大阪に入団できたのも、ある人が私を見ていてくれたからに他なりません。

その人こそ、現在はバリュエンスの社長室シニアスペシャリストであり、ガンバ大阪の“伝説のスカウト”二宮博さんなのですが、高校を卒業した私がついに夢だったJリーガーになるまでのお話は次回することにしましょう。

続く

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