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「見る」より「体験する」より大切なこと。久しぶりのアメリカ視察で学んだ「感じ取る」ことの重要性

少し前のことになりますが、アメリカに視察に行ってきました。
コロナ禍によって一変した世界、世界情勢の変化、円安によるさまざまな影響を肌で感じるためにも大きな旅? となったわけですが、渡米4カ月前に入手したチケットで大谷翔平選手の登板試合を見ることができる幸運にも恵まれました。

現地で見たからこそわかることがある。
今日は、経営者としての自戒を込めたnoteを綴りたいと思います。

消費者のマインドが激変しているアメリカ視察へ

バリュエンスホールディングスは、ここ数年海外進出にも力を入れていて、香港でブランド買取『なんぼや』事業者向けオークションプラットフォームである『STAR BUYERS AUCTION in Hong Kong』の展開をはじめ、シンガポール、アメリカ、フランス、イギリスにも拠点を持っています。

アメリカでは2019年の法人設立以来、『STAR BUYERS AUCTION』の現地運営を行ってきましたが、今年の2月にはニューヨークオフィスに併設する形で高級ブランド買取専門店『ALLU New York』アメリカ1号店をオープンし、世界の消費トレンドの先頭を走るアメリカの消費者と直接対峙することになりました。

日本に比べて、アメリカは消費者の価値観の変容がかなり進んでいます。価格や品質だけでなく、その商品の倫理的な価値を購入行動の上位に持ってくる人が多く、その製品がどのようにしてつくられたか? 生産過程、流通過程でどれくらいCO2が消費されているのかの環境負荷を見る指標や、生産に関わる労働力の正当性までが購買時の判断基準になっています。

企業側もこうした背景をよく理解していて、製品の品質や価格だけでなく、“製品の透明性”を一つの売りにしています。

製品製造、流通に関わる過程のすべてを明示するトレーサビリティが進んでいることは十分に理解していましたが、今回の現地視察で「ここまでやっているのか」と驚いたことがありました。

「見せないところ」を「見せる」ことで信用を勝ち取る

アメリカのある業者がやっていたのは、倉庫の「見える化」。クリーニングなどのメンテナンス、検品、商品管理の実務を行う倉庫での作業を見せるツアーを行い、普段は見せないバックヤードでの作業を消費者に全公開していたのです。

本来倉庫は見せるものではなく、やましいことがなかったとしてもメンテナンス作業などを消費者の目の届くところでやることはありません。しかし、顧客の信頼を勝ち取るためには、すべてを見せてしまう。アメリカらしい合理的な考え方です。

「知っていた」のに「感じ取れ」なかった

実はこの話、私は事前に現地スタッフから報告を受けて知っていました。

同じように情報としては、アメリカの企業、『エバーレーン(EVERLANE)』が各商品の材料費だけでなく、それをつくるのに関わった人の人件費、出荷コストに至るまですべての製造原価を開示することで支持を集めたこと、こうした企業の倫理観が選択基準になることは、このnoteでもすでに紹介するほど“自分ごと”になっているはずでした。

しかし、やはり現地で自分が見た「倉庫の見える化」は、写真付き、担当者の熱のこもった感想付きのレポートよりはるかにインパクトがあり、すぐに行動しなければという焦燥感を駆り立てる体験でした。

百聞は一見にしかず、百見は一触にしかず

といいますが、日本のオフィスで見たレポートと、ニューヨークの現地で実際に見た光景では、天と地ほどの情報量の差がありました。

「やはり現地で体験しなければ」という思いを新たにしたのはもちろんですが、同時に「現地スタッフの体験をもっと自分ごととして感じなければいけない」という思いを強くしました。

バリュエンスが「世界を見る」理由

バリュエンスメンバーにも折に触れて伝えていますが、バリュエンスホールディングスの“これから”を考えたとき、日本国内の成長はすでに飽和状態に近づいています。

もちろんまだまだやらなければいけないこと、やれることはたくさんありますし、今後シュリンクしていくことが予想される国内市場の中でいかに新しい需要をつくり出せるか、消費者や社会から必要とされる企業であるかを追求していかなければいけないのですが、それと同時に見据えるべきはやはり世界市場です。

コロナ禍によってある意味で距離が狭まった(フィジカル的には遠くなりましたが、オンラインでの接触が一般的になったことでタッチポイントが増えたことはみなさんの実感通りだと思います)世界で、バリュエンスとしてもこれまで以上に海外拠点にビジネスチャンスを見出していかなければいけません。

個人の体験には限界がある。だからこそ経営者には感じ取る能力が必要

海外のリユース市場では、「Used in JAPAN」として特に高級ブランド品を中心に日本で買い取られた商品が人気です。日本人の国民性なのか、丁寧に使われた、大事に扱われた商品が多く、その質の良さが群を抜いています。加えて、買取業者の真贋鑑定の技術もあいまって、「日本のリユース商品=良品」というイメージがすでに世界で定着しているのです。

コロナ禍で先行き不透明な中、海外進出を加速させることに反対する声はありました。しかし、そのときに決断できたからこそ今があります。為替は予測不能な要素ですが、円安で日本市場が海外から注目されているときに、そこにアクセスできるチャンネルを持っておけたことがすでに大きな成果です。

コロナ禍で海外の渡航が制限されたこともあり、現地に足を運んで、見て、触れる体験の頻度が下がっていました。バリュエンスホールディングスとして活躍の場を世界に広げていく以上、私自身が足を運んでしっかり見て、触って、感じることが何よりも大切。

ただし、この先海外に自由に行けるようになったとしても1日24時間は平等に訪れるので、自分一人が経験できることには限界があります。今回すでに上がっていたレポートを、まるで自分が見たかのようなリアルな感覚でピックアップできていれば、今回の視察で始まるアメリカ対応のアクションは、少なくとも半年早められたはずなのです。

すべての情報に手触りを感じながら“自分ごと”として接していくこと、感じ取る能力こそが経営者にはやっぱり必要、そんな学びを得たアメリカ視察でした。

少し長くなってしまったので、この視察で訪れた大谷翔平選手の登板試合、サッカーのロサンゼルスFCの試合観戦で感じたことは次回にお話ししたいと思います。

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